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【ASE-Lab.メンバーの声】 #1 〜東北大学 加藤数麻君 編〜

海外や全国各地から宇宙好きメンバーが集うASE-Lab.。
都内に拠点を置かない団体の活動に、メンバーは実際どのように参加しているのでしょうか・・・
そんな疑問を持った皆さん!運営メンバーの舟坂が調査してきました

メンバーインタビュー企画第一弾!初回はASE-Lab.の創設当時から団体に所属していて、ゼミ参加だけでなく理学系ゼミの企画や運営も積極的にこなす加藤 数麻(かとう かずま)君の声をお届けします


1. 自己紹介

舟坂:まず初めに、簡単に自己紹介をしていただけますか?

加藤:東北大学理学部物理系2年の加藤数麻です。大学のサークルは、天文同好会に所属していて、そこでの活動は新月期観望会(星をみんなで観に行く会)とか、あとはプラネタリウムを作ったりしています。

舟坂:おお凄い!あれですよね、outputチャンネルに観望会で撮った写真載せていましたよね。とても綺麗でびっくりしました!

ASE-Lab.のSlackワークスペースが提供するoutputチャンネルとは、自分で勉強したことを日々アウトプット(みんなが見える状態で載せる)するために使える、メンバー個人のチャンネルである。メンバーはこのチャンネルを利用して、勉強報告だけでなく好きな記事を備忘録的にあげたり、他の宇宙系団体での活動についてもあげたり、自由に利用しているようだ。

東北大学天文同好会の新月期観望会で加藤君が撮った写真(その1)
東北大学天文同好会の新月期観望会で加藤君が撮った写真(その2)

加藤:あーあれは自分で買った望遠鏡で撮ったんですけど、自分でもびっくりしました。綺麗な写真が撮れて良かったです。

舟坂:あと他にはASE-Lab.での活動を行っているという感じですかね

加藤:そうですね。それとあとはCansatを作っているFUSiONチームでの活動とかですかね。他にも、TSC(東北スペースコミュニティ)っていうところで小学生とかに宇宙について教える活動をしています。(こんな感じで)最近は色々やってみようかなって思って頑張っています。

2. 将来行いたい研究

舟坂:将来どういう研究をしたいとか、この先の学習の計画とかありますか?

加藤:基本的には天文学の研究をしたいと思って大学には入ったので。舟坂さんもあれですよね、ニュートリノ天文学に興味あるよって言っていましたよね。

舟坂:はい

加藤:今色々と関心が高いニュートリノや重力波などを観測する、電磁波だけに囚われない天文学が結構主流になってきていると思うんですけど、そういう色んなパラメーターで観る宇宙の構造を研究したいなと思っていて。望遠鏡とかスーパーカミオカンデとか、重力波検出器LIGOとか、今新しく作られているLISA (レーザー干渉計宇宙アンテナ)とか...そういう色んな観測器を使いながら、ブラックホールとか中性子星のコンパクト天体みたいな質量の大きい天体の研究が出来たらなと思っています。あと、銀河考古学ですかね。銀河系の成長過程だとか、どうやったら銀河が成長するのかとかそういうことにも結構興味があって。

3. ASE-Lab.に入ったきっかけ

舟坂:ASE-Lab.についてはどのようにして知りましたか?

加藤:僕はあべま(代表:阿部舞哉の愛称)とずっと色んな活動を一緒にしてきたので、あべまが(ASE-Lab.の創設を)やるって言った時から知っていて。なので最初から入ろうと思っていたというか、なんならそこで色々ゼミを開催して活動を活発化させることが目的で最初入ったようなもんなんで。元々阿部と今運営にいる本田の三人で、大学一年生に入ってから勉強会をする機会があって、その勉強会の延長というか、同じようなことをしていきたいねという風に思って、みんなでやっている感じですかね。
元々は運営という扱いではなかったのですが、企画側として色々内部を盛り上げるみたいな役割で最初からやってきました。正式に「運営」として活動し始めたのは、本当に舟坂さんと同じくらいのタイミング(3月)頃でしたね。

4. ASE-Lab.での活動

舟坂:ASE-Lab.に入ってからどのような活動をしていますかね。例えば参加したゼミだとか企画したゼミについて教えていただきたいですね。

加藤:まず、企画して運営しているゼミが、「宇宙の物理」というゼミと、「物理数学」というゼミです。それと、参加したのが「軌道力学」と「画像処理」ですね。「画像処理」に関しては色々予定が被ってあんま行けない期間が多かったので、あまり定着していないという部分が自分の中の反省としてあるのですが、他の三つのゼミは基本的にはほとんど参加して、特に「宇宙の物理」と「物理数学」は自分で立てたので全部参加しました。「物理数学」のチャンネルを覗いたことありますか?

舟坂:見てないです...内容の具体的な説明とかしていただけると嬉しいです。

加藤:ははは(笑)、じゃあまず「物理数学」の方から説明すると、『物理数学の直感的方法』(1)という本がありまして。

(1)長沼伸一郎『物理数学の直感的方法<普及板>━━理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬』、講談社、2011年。

舟坂:あ、待って、持ってます!

加藤:ふふふ(笑)じゃあ話は早いですけど、それを元に物理数学の基礎的な力だとか計算力をつけるのが目的で。やった内容は面積分、線積分、テイラー展開、固有値問題、あとはベクトル解析、divとかrotとかのやつですね。それと他にもフーリエ解析、解析力学、複素関数といい、大体その「物理数学の直感的方法」に載っているような物理数学の内容を、演習と小テストを含めた90分で一つのゼミを回すというのを1月の初めくらいからやっていて、次が最終回です。

舟坂:演習とかテストとかは毎週自分で作ってたんですか?

加藤:そうですね。僕が演習問題とかテストとか全部作って、みんなに配っていました。最後はチーム対抗でテストして、(点数が)多かった方が勝ちみたいな、ゲーム形式で勉強しようかなと思っていて。今まで勉強した内容を分野に分けてメンバーに割り振って、それぞれの問題を20点分作ってもらっています。みんなで問題作りと勉強というのを両方進めていこうかなという感じです。
 「宇宙の物理」の方は『ファーストステップ 宇宙の物理』(2)という教科書を使って、天文学の勉強をしています。こっちはどちらかというと好奇心ベースで色々勉強していこうというような活動ですね。「物理数学」とは違って、習得というのを目的としないゼミなんですけど、(内容は)恒星のことだったりコンパクト天体、連星系、太陽系外惑星とか。二週間に一回くらいのゆったりとしたペースで宇宙の物理、つまり天文学ですよね、天文学の勉強をやっていくっていう感じのことをやっています。

(2)嶺重慎『ファーストステップ 宇宙の物理』、朝倉書店、2019年。

舟坂:二つのゼミ、それぞれ全然違う形式で行っているんですね。ゼミを企画する際に、メンバー同士で自由にアイデアを出し合って、みんなにとって勉強した内容が一番定着しやすいゼミ形式を模索する機会があるのも団体の魅力ですね

舟坂:outputチャンネルはどのようにして利用していますか?

加藤:勉強した内容をまとめて載せている人もいてそれも凄いなって思いますけど、僕はTwitterとか色んなところで見た天文学のニュースとかそういうのを投げています。軽い気持ちでそういったものを共有してるんですけど、たまに自分で撮った写真とかも上げたりします。そういった感じで天文同好会の活動についてみんなに伝えるとか、さっき言った通りニュースを上げて、それにちょこっと感想載せてみたり。たまにですけど読んでみたい本とか読んだ本とかについても載せたり、自由にやってますね。

舟坂:今は運営としてはどういう企画をされていますか?

加藤:2次講座という新しい形式のゼミをやろうと思っています。こういうゼミの形式もありますよということをみんなに示した後に、僕自身がまず講座を開催したいと思っていて。それを今やっていますね。

「2次講座」とは、メンバーが大学で受けた講義内容を元に講座を行うゼミのことである。大学の講義をもう一度ASE-Lab.メンバーに還元するという意味で「2次講座」という名前になっている。

5. ASE-Lab.に入って良かったと思うこと

舟坂:ASE-Lab.の活動は地方メンバーにとって参加しやすい環境ですかね

加藤:対面活動をそもそも聞いたことがないので、活動がしやすいと思いますね

舟坂:基本的にはオンラインでの活動がメインですよね、どのゼミでも

加藤:都内メンバー同士でも、会ったことないって人も全然いると思います。ASE-Lab.に関してはなんの不自由もなく活動できています、多分普通に東北でこういう活動があってもみんなズーム使ってやってる気がしますね。ゼミってみんなで対面で集まる必要性僕はあんま感じてなくて、なんなら画面共有しながらの方が色々伝えやすかったりするし、なのでまぁ友達とか作るのがメインなら直接会ってした方がいいとは思うけれど、そういうのが目的というわけでもないのでね。勉強する上で環境的には全然困らないし、地方だからというハードルも全然ないなぁと感じます。

舟坂:他に、ASE-Lab.に入って良かったなぁって思うことはありますか?

加藤:他の人と勉強するというのは、一人で行うよりも長続きしますし、こういう機会がないと連続して何か達成しようとして勉強するためのモチベーションを保ちにくいと思います。そういう面では、ASE-Lab.でみんなで勉強できて良かったなっていう風に思います。あとは、色んな大学の人が集まっているコミュニティに所属するっていうのはあまりないことなので、そういうことができているのも大きいかなと思います。

舟坂:そうですよね。勉強会の機会を提供するだけでなく、コミュニティとしての面も強いですね。特にオンラインでの活動がメインだと、全国各地の宇宙系の勉強をしている学生と繋がれていつでも連絡が出来る。そういう場になっているというのが大きくある気がしますね。

加藤:そう思います

6. 加藤君が行っている勉強の仕方について

舟坂:いつも勉強をする時に気をつけていることはありますか?

加藤:高校の時は好きな勉強しかしたくなかったから、英語はすごく苦手で嫌いだったけれど、数学や物理は大好きでそっちばっかり勉強してました。そっちで点数稼いで(大学は)受かったような感じだったので。今もそういう傾向というか、英語とかは絶対必要だからこの先やんなきゃとは思っているけれど、基本的には数学と物理の方が楽しくて、それを勉強したいなと思っていて。全然勉強の手法とは関係ないんですけどそういう想いでやっていて。

舟坂:「好き」とか「興味」に忠実になることは、勉強のモチベーションを保つ上で重要ですよね。

加藤:僕は多分「気づき」があるのが好きで。数学とかでも方程式や定理がなぜそういう風になっているのかを、証明を見た時に気付いたりだとか。他にも割と好きなのが、物理とかだったらとんでもなく分かりにくい方程式とかがありますけど、そういう方程式を分解して、例えば天体で言ったら天体の半径だけに着目したりだとか天体の温度に着目したりして...っていう風に方程式を分解してみていくと、例えば明るさが温度の4乗に比例していることだとか、そういう定量的なものが見えてくる。そういう「気づき」が凄く面白いなって思ってて。そういう「気づき」を数学や物理はいつも与えてくれているから凄く好きなんだなって思いますね。

7. 宇宙分野の勉強に興味がある地方メンバーへ一言

舟坂:最後に地方で宇宙系の勉強に興味があるけれど加入を迷っている人や、宇宙系の勉強をしたいと思っている学生とかに向けて一言お願いします。

加藤:ヒーローインタビューの最後みたい(笑)ASE-Lab.というのはそもそも関東に拠点を置いているとかではなくて全国各地の人たちが集まっているようなコミュニティなので、オンラインでの活動がメインになりますね。その結果地方の人たちが活躍しやすい場を提供できていると思います。あとは、実際に宇宙の研究をしている大学はそんなに多くなくて。東北大学は天文学とか宇宙工学とかやってはいるけれど、多くの私立大学とか地方国立大学では宇宙系の研究室が少なかったり、宇宙に触れている人そのものが少なかったりすると思う。そういった環境の人達にとって、こうやって宇宙について一緒に勉強しようというような仲間と出会える機会ってすごく少なくて。そういう人たちが勉強を本当にやりたいと思った時に勉強できる環境を提供できるのがASE-Lab.の強みかなと思うので。ASE-Lab.で強制的なことは何一つなくて、やりたいことはやるし、やりたくないことはやらなくていいっていう団体だから、入る時にはそこまでハードルを感じずに、気軽に参加してもらえればいいんじゃないかなって思います。

舟坂:なるほど!ASE-Lab.の魅力を地方メンバーの視点から分かりやすくまとめてくださりありがとうございました!


様々な形式のゼミを開いたり、団体創設時から勉強会やイベントの企画に関わったり...天文学への情熱を原動力にパワフルな活動を続ける数麻君の今後に期待です!!

この記事を読んで私達の活動に興味を持ってくださった学生さん!是非弊団体のウェブを覗いてみてください↓ こちらから参加登録も出来ます。
団体ホームページ


取材・文:早稲田大学 先進理工学部 物理学科2年 舟坂柚香 
(広報部メンバー)


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