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星色Tickets(ACT2)_SCENE8

※場所選択でヒロイン絞り込み③
すもも②→小波と仲良く買いものするすももに嫉妬する恭司
瑠奈②→仲のいい相手以外にはとことん冷たい瑠奈
アリス②→恋人と思しき誰かと電話するアリス。恭司は赤点回避(重要①)
志那②→眠っている志那を起こさず作業する恭司

以下、志那②シナリオ

//背景:喜多川書店_夕方

恭司「おつかれ~、志那ちゃ……」
志那「すぅすぅ……」
恭司「……珍しいな」

カウンターで堂々と舟を漕ぐ女子高生店長代理。

いつも見栄を張ってばかりで、隙をみせることなんて滅多にないから、その油断しきった顔に安堵と微笑ましさを覚える。

恭司「いつもお疲れ様」

ブランケットを小さな肩にかけ、カウンター裏にある更衣室(俺専用)でパパっと制服に着替える。まぁ着替えるって言っても、ギャルソンエプロンをつけるだけなんだけど。

いつかも話した通り、喜多川書店に客が足を運ぶことはほとんどない。なぜなら目の前に超大型の〇ook――(以下略)

恭司「なぁ志那ちゃん、いつもひとりで寂しくないか」
志那「……んん」

だから、品出しも商品整理もサボって、店長代理と駄弁るなんて給料泥棒めいたことをしても許されてしまう。

まぁいつも話しかけてくるのは店長代理のほうなんだけど。

恭司「親がいないほうが気が楽って人がいるけどさ、そう思えるのは最初だけなんだよ」
恭司「三日、一週間。それくらいならいいかもしれない。けど、一か月、半年、一年。孤独に苛まれる時間が増えると人は弱っていくと思うんだ」
志那「すぅすぅ……」
恭司「寂しいなんて面と向かって言うのは恥ずかしいだろうけどさ、それでも俺は志那ちゃんに求めてもらいたいよ」
志那「……んむぅ」
恭司「……なんて。相手が眠ってるのをいいことに気障なこと言い過ぎたか」

こんなこと、正面きっては言えない。

この子は、目に見えて虚勢を張っている。本当は寂しがってるんだって、俺に必要以上に構ってくる行動を見れば嫌でもわかる。

志那ちゃんは俺に心を開いてくれているが、まだ半開きで、完全には開き切っていない。

恭司「……もっと知りたいよ、志那ちゃんのこと」

どうして母親がいないのか。志那ちゃんは話そうとしないから。

一度、跳ね除けられて以降、俺は再度その質問を投げかられずにいる。今の俺に、その質問をする資格はないと思っているからだろう。

俺だって隠してるのに、相手の秘密だけ明かそうとするのは虫がよすぎる。

//SE:扉の開く音

恭司「っ、いらっしゃいませ!」
客「すいません、昆虫図鑑はどこに陳列されていますか」
恭司「昆虫図鑑でしたら、向かって左から三番目の棚の、左手下から三段目にございます」
客「ありがとうございます」
恭司「ごゆっくりどうぞ」

一礼して、ふぅと安堵の息をつく。

実は、これがこの店で働きはじめて三度目の接客だったりする。

……というかあのお客さん、志那ちゃん寝てるのにスルーだったな。

客「お願いします」
恭司「かしこまりました」

やっぱり志那ちゃんを気にしない……かと思いきや、寝顔を見て顔に柔和な線を刻んでいる。温厚な人のようだ。

//SE:レジエラー音

恭司「あれ?」

//SE:レジエラー音

恭司「え、ちょっ……」

コード読み取れないんだけど?

客「どうかされましたか?」
恭司「……少々お待ちいただいてよろしいですか?」
客「はい。問題ありませんよ」

こんなときはあれだ、まずDPT番号を打って……

//SE:レジエラー音

と、それは家電量販店のほうか。

本しかないこの店の場合は、JANコード……じゃなくてISBNコードを直接打ち込んで……

//SE:レジエラー音

恭司「……」

//SE:レジエラー音
恭司「少々お待ちいただいてよろしいですか?」
客「はい。構いませんよ」

ほんと、温和なお客さんで助かった。

恭司「志那ちゃん、志那ちゃんっ」
志那「んむぅ?」
恭司「会計うまくできないから助けて!」
志那「会計? ……はっ、すいませんお客様! 少々お待ちください!」
客「くすくす。はい。問題ありませんよ」

その後、俺はどうして起こさなかったのかと志那ちゃんに説教された。

くそぅ、値段暗記の直接入力なんて反則じゃないか。

………。

……。










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