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星色Tickets(ACT2)_SCENE13

※場所選択でヒロイン絞り込み⑥
すもも④→廊下・告白されるも好きな人がいるからと断るすもも(重要②)
星④→校舎裏・友人に恭司と付き合っているのかと問われて強く否定する星(重要②)
瑠奈④→演劇サークル部室・瑠奈が小説を通して想いを伝えるも察してくれない恭司(重要②)
志那④→校門・志那の自転車がパンク。二人乗りして帰る恭司と志那(重要②)

以下、星④シナリオ

//背景:校舎裏_夕方

星「わぁ! 素敵!」
星「……う~ん、違うかな」
星「わっ! 素敵~!」
星「……これも違うなぁ」

すももが放課後に用事があるので、放課後は俺が雛鳥の演劇練習を見に行くとあらかじめ連絡しておいた。

俺はてっきり、雛鳥ひとりじゃ恥ずかしくて練習にならないんじゃないかと危惧していたけど……

星「わ! 素敵っ!」
星「……最初のが一番近かったかな」

何度も何度も、アリシアの表情と声色を確認する雛鳥。役づくりに没頭するその姿を見ていると、俺は反っていないほうがいいのではないかと思えてくる。

……よし。雛鳥が俺が来ないことに違和感を覚えるまでは、壁に身を潜めて遠目から見守ることにしよう。

………。

……。

//背景:校舎裏_夕方

星「う~ん、違うかなぁ」

雛鳥が演劇練習をはじめてから三十分が経とうとしていた。

肌には光る汗粒が浮かび、けれども雛鳥は休もうとする素振りをみせない。

星「よし、がんばるかぁ」

そして、汗を拭うことも、水分補給も、俺が来ないことに違和感を覚えることもなく、練習を再開しようとする。

恭司「おい、雛鳥――」
女子生徒1「お疲れさ~ん」
星「あ、みんな」

脱水症状で緊急搬送、なんてことになったら困るので、スポーツドリンクを渡しに行こうとしたら機先を制された。

女子生徒2「今日も練習?」
星「うん。本番も近づいてるし」
女子生徒3「っていっても、まだ二カ月くらい先だよね?」
星「まだじゃないよ。たったの二カ月しかないんだ」
女子生徒3「うわ、モチベたっか~」
女子生徒1「てか、ほっしー汗すんごいじゃん。あゆ、ポカリよろ」
女子生徒2「ほ~い。ふたりはなんかいる?」
星「あ、ちゃんとお金返すからね」
女子生徒2「いいよいいよ、練習邪魔しちゃってるのはこっちの方だし。……あ、邪魔だったりする?」
星「ううん、全然平気だよ。ありがと」
女子生徒3「星ちゃんいい子すぎ~! 妹になって!」
星「わわっ、えへへ、汗臭いよわたし」
女子生徒3「だがそれがいい!」
女子生徒1「目が決まってんぞ~」

女三人寄れば姦しいというかなんというか……

俺の握ったポカリが雛鳥の手に渡ることはなく、友だちと思しき女の子の持ってきたポカリが雛鳥の手に収まる。

四人で段差に腰掛け談笑している姿を見ていると、なんだか無性に目頭が熱くなってくる。

出逢ったばかりの頃はあんなにも後ろ向きだった雛鳥に、今は気の置けない友人がいる。

その現実が、堪らなくうれしく、そしてちょっぴり寂しかった。

女子生徒1「それで、岸本先輩といつから付き合ってるの?」
星「え?」
女子生徒2「ま、好きな人のためなら、たとえ火の中水の中借金の中、どこだってじゃじゃ馬のごとく張り切れちゃうよね~」
女子生徒3「と、彼氏いない歴=年齢の方がおしゃっています」
女子生徒2「うわっ、彼氏持ちマウントされたわ~」
女子生徒1「そこ、今はほっしーの話題だぞ~」

なんというか、女の子ってもっとぎくしゃくしてるもんだと思ってたけど、あの4人はそうでもなさそうだな。

星「……付き合ってないよ」
女子生徒3「うわ~、今の溜めは絶対思うところがあるやつだ~」
星「っ、違うよほんとに! せんぱいとはそんなんじゃない!」

……そんな全力で否定しなくても。

女子生徒2「じゃあ好きか嫌いかで言ったら?」
星「その二択なら……まぁ好き、なのかな」
女子生徒2「はい、言質取った」
星「いや、二択ならって話だよ?」

……二択まで絞らなきゃいけないのか。

女子生徒1「畳みかけるなら今しかないよ。なにしろ競争相手は強者ぞろいなんだから」
女子生徒3「ずっとお隣にいる幼なじみに、あの藤沢先輩に、あの那須先輩に、あの……ってもう終わりか。けど、あとふたりくらいいそうだよね~」
星「倍率すごいことになってる……」
女子生徒2「すごい優良物件じゃん。あたしも狙っちゃおうかな」
星「それは駄目!」
女子生徒3「はは、星ちゃんかわいすぎ~」
星「っ! ……もう、沙夜ちゃんきらい」
女子生徒3「わわっ、拗ねた顔もかぁわいい~! 妹になって!」
女子生徒1「どれだけ妹ほしいんだよ……」
女子生徒1「けどさ、ほっしー。実際恋愛はスピード勝負みたいなところもあるから、掴み取るなら今だよ」
星「……できるかなわたしに」
女子生徒1「できるできる。だってさっきから……あれ?」
星「どうしたの?」
女子生徒1「あ、いや……いたよね?」
女子生徒2「ん。あ、いなくなってる」
女子生徒3「お手洗いかな?」
星「さっきからなんの話?」
女子生徒1「いやいやなんでもない!」
女子生徒1「じゃ、あたしらはこの辺で! 練習邪魔してごめんね!」
星「うん、またね」

………。

……。

//背景:校舎裏_夕方

星「ふぅ。今日はこの辺にしよ」
星「せんぱい、来なかったなぁ」
星「……やっぱり嘘つき」
星「まぁ忙しいから仕方ないか」
星「わたしが一番になるのは難しいだろうし」

//SE:足音

星「ん?」
星「このポカリ、誰かの忘れ物かな?」

………。

……。






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