ADHDの私がアスペルガー傾向の夫に惚れた理由


私が夫を好きになった要因は幾つかあった気がしますが

特に印象に残っているのが

彼の見事なまでのマイペースさです。

出会った頃の夫のマイペースぶり


出会ったのはカレコレ20年近く前ですが、昔から夫は

誰とも群れようとしませんでした。

食事の時間にも、あえて誰かに声をかける事も待つ事もせず

食堂で一人、早々と食事を摂り、悲壮感さえありません。

彼自身が周りの目線を気にするような素振りは一切なく

声をかけられれば、手短に返答していました。

相手が笑顔であれば、ちゃんと笑顔で。

他にも、先輩からの、どちらかといえば強制力のある誘いに、みんなが「行きます」と答える中

「あ、僕やりたい事あるんで帰ります」

と即答していました。


あまりにもナチュラルなので、徐々に「あいつはああだから」と受け入れられていき

いいキャラだなぁと、憧れていました。

お酒を飲む席で一緒になった時も、オーダーするもの、お酒や料理に口をつけるタイミング、会話の内容に至るまで

あらゆる事に、みんなが気を配る中

夫は、それはそれは綺麗にホッケを食べていました。

大人数での食事の席では、味も分からないほど色んな情報が錯綜し

自らの食べたいものが何なのかさえ思い出せないほど自分を見失いがちだった私にとり

好きなものを食べる

好きなタイミングで食べる

行きたい場所に行く

興味がなければ断る

といった夫の自己一致感は、とても尊く感じられました。

ADHD妻とアスペ傾向夫の子育てがカオス


話が少し飛びますが、結婚して子供が産まれてから

初めての子育てに、私は文字通り散らかりました。


徐々にこのブログで触れる機会でもあればと思うのですが


ADHDの私に取り、働きながら家事をこなしながら子供を育てるという芸当はトラップだらけの戦いが一生続いているようなものでしかなく、身体も心も常に極限まで自分を駆り立てています。

そして、夫は一貫してマイペースです。

私が泣きぐずる我が子を抱いてゆらし、おむつを変えている間も食事に勤しみ

マザーズバッグと息子を抱えて、他にも携帯やら自分と息子の上着やらで完全に手の本数が足りていない時も

自らの上着のポケットに携帯と財布を入れて、身軽に歩いていました。

その場で文句を言う事も出来ますが、言い方とタイミングを考慮しなければ臍を曲げてしまいます。

彼の実家の方達といる時には文句を言う事も出来ず

後から怒りを爆発させると、家出して3日ほど音信不通になってしまいます。

アスペルガーの傾向として、パニックに陥ると、キレる・逃げる・暴言を吐く、といった行動に出ると言われていますが、夫は逃げるパターンが強く出ます。

まだまだ話せば幾らでも出てきます。私のキモチに向き合う術を持たず、断固として自らのパーソナルスペースを死守する頑なさに、私は本当に手を焼きました。

出産時もアスペルガー傾向炸裂


長男の出産時、忘れられない事がありました。

夫と並んでテレビを見ていた夜に破水して焦った私は

まだお風呂に入っていなかった!と思い立ち、「湯船につかる」という事は、破水した時一番やってはいけないと聞いていたのにも関わらず

これからいよいよ出産なのだから、どうしても浸らなくてはと焦燥に駆られてしまい、水浸しになって取り乱していました

身体中びしょ濡れで羊水が流れ出す中

何とか全身を拭き、服を着て、羊水をタオルで押さえ

産婦人科に電話をしつつ、必死でお産バッグに、買ってあった入院用の下着や着替えを詰め込んでいました。

その間、夫は私の一連の行動を、GoProで撮影していました。

妻の妊娠にあたり撮り溜めていた一連の動画のハイライトに思えた事

それ以外に何をすればいいか分からなかった事で、そのような行動をとった夫に対し

私も取り乱しており、その時は注意する事もできませんでしたが

出来れば、妻はできるだけ動かさずソファなどに寝かせて、産院バッグをまとめてくれたり、荷物と妻を車に運んでくれたりした上で、一刻も早く産院へ向けて運転する

といった能動性を発揮して頂きたかったシチュエーションではありました。

後日、克明に記録された、半泣きと半笑いがないまぜになりながら出産の準備をしている自分の様子に、夫に対する怒りが込み上げ

激しく文句を言いました。夫は拗ねて、せっかく?撮影したそのデータをこの世から抹消してしまいました。

私のADHDぶりと、夫のアスペルガー傾向がふんだんに表れたその光景は、もはや混沌でしかなく、消えてしまった映像に未練はありません。

結婚後、一番腹立つ所は、結婚前、一番好きな所ではなかったか?


この問いは、あらゆる夫婦に問いかける価値がある質問なのではと、密かに思っています。

この、私が手こずり続けた頑ななまでの夫のマイペースさこそ

結婚前、何より尊く感じた点ではなかっただろうか。

初期の子育てについて書いていると怒りが思い返されますが

よく彼を観察してみると、彼は、私が喜ぶと本当に得意そうにしており

私が怒ると、臍を曲げて暴言を口走ります。

しかしそれも、喜ばせたいと切に願っているからこそ臍を曲げるのでしょう。

夫はどうすれば良いか、本当に分からないだけなんじゃないだろうか…

少しずつ気付く事により、私の精神状態も徐々に安定していきました。

今では、これはアスペルガー傾向の夫に限らず、程度の差こそあれ、多くの男性に言える事なのではと感じたりもしています。

不器用である事の美点


夫の愕然とするまでの不器用さも私にとって

もう一つの結婚の決め手でした。

そう、こんなに女心の分からない夫に、浮気など出来まい。

自分のペースやテンポにこれほど拘る彼が

わざわざ関係性を複雑にする浮気など死んでもしないだろう。

みくびっているわけではないのですが、ネアカな私は、ここさえプラスに捉えている部分があるのです。

うちの夫、黙々と人一倍、仕事する男です。

端的に言えば、ただアスペ傾向なだけです。

そこで、全国の未婚女性に、一応ご提案だけでもしたいと思います。

生涯の伴侶にアスペルガー傾向の男性はいかがでしょうか

大成を予感した


アスペルガーの人はその集中力で、才能を人並みはずれたレベルまで昇華させる事があると思うのです。

結婚前、とある個人競技の大会に出場し、素人目にも誰より上手いと分かる、美しく大胆な技で会場を一段と湧かせていた夫を見て

したたかなようですが、1人やけに冷静に、彼と結婚しても大丈夫だな、と考えていた事を思い出します。

このレベルまで才能を形にするには、見えないところでどれだけ努力しただろう。

この競技で食べていけるわけではないにしろ、この努力が出来る人なら、何やっても食いっぱぐれないと。

現に今、彼は個人ビジネスをしながら毎日トレードに勤しんでおり、もちろんそれは簡単な事ではなく、ゼロから形にする時、血便を出していました。

自分を追い詰めていても、やると決めたらやるのです。

根性論ではなく、決めたら淡々とやるのです。

お勤めした事は一度もない夫ですが、家も買ってくれました。贅沢こそしないまでも、必要なものを買える生活は有難いです。

長男を妊娠して、私が泣きながら危機感を溢した夜がありました。

2人で平均的な同世代の1人分の稼ぎにも満たず、この子に風呂桶も買ってあげられない、習い事もさせてあげられない、他の子が手にできる知育の機会も経験も、この子には与えてあげられないと。

あの日、まるで音が聞こえるかのように、カチンとスイッチが入って

厳しい労働条件の仕事をしながら、翌日から開業に向けてPCと向かい合い(シンプルに睡眠を削っています)

10年経った今、あの頃があって今があると感謝できる暮らしになりました。子供の存在を特効薬にできる愛情の持ち主で助かりました。

自分でも気が付かず無理して、最初に身体に出る夫は、よく風邪をひいて寝込んでいます。

またか…とうんざり「薬飲んで寝ろ!」と罵っている酷な妻ではありますが、折を見て「働きすぎじゃないですか?銭湯でも行ってきたら…」と声をかけるなど、自分も夫も、意図的に息抜きを心がけられたらいいなと、思ったりする次第です。

本日の所感は以上です。

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