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「まずはやってみる!」試行錯誤力の育み方〜エレキエンジニア(なりきりラボ#14)〜

小学生向け、アウトプット型・探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。今回は、「エレキエンジニア」(なりきりラボ#14)です。

<プログラム開発者、いわたく・きいろちゃん・ほっしーに聞きました!>

いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

きいろちゃん(木幡壮真):
a.school講師・プログラム開発・新規事業立ち上げ運営リーダーを務めるマルチプレイヤー。東京大学工学部卒。大学在学中、教育系ベンチャーにて中高生向け進路プログラムの企画・営業・運営のインターンを2年間経験。東京大学アントレプレナーチャレンジ2018では教育系サービスを考案し特別賞を受賞。同年11月よりa.school「なりきりラボ・おしごと算数」メンターを務め、2020年4月新卒でa.schoolへ入社。

ほっしー(星功基):
学び表現作家/a.school研究開発者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。佐藤雅彦研究室にて「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)や「日常にひそむ数理曲線」(ベネッセコーポレーションとの共同研究)などのプロジェクトに携わる。ベネッセコーポレーション進研ゼミ中学講座にて、12年間、理科や数学の教材編集、デジタル推進を担当。「学びは自分たちでつくる:Cスタ」など、学びと表現の間を探る活動・作品づくりを行う。「文字とことばのデザインユニット・二歩」として2冊の絵本を刊行。

ー もともとは2020年6-7月の開講を予定していた「エレキエンジニア」ですが、新型コロナの流行により延期せざるを得ず、満を持しての登場ですね!

きいろちゃん:僕が入社して最初に手掛けたプログラムですし学部での専攻も工学だったので、特に強い思い入れがあって。

いわたく:緊急事態宣言の出た4月以降エイスクールでは通常授業のオンライン提供もしていたけれど、このプログラムはやっぱりつくってなんぼ、手元を見て直接サポートしてこそ講師やメンターの価値がいきるからね。

テック系としては、「プログラマー」「メカエンジニア」という定番プログラムが既にあったので、今回の「エレキエンジニア」を加えるとものづくり三兄弟といったところかな。

《ものづくり三兄弟、それぞれどんな人?》
・プログラマー:動きの指示を出すソフトをつくる人
・メカエンジニア:物理的な機構(ものが動く仕組み)をつくる人
・エレキエンジニア:プログラムとメカをつなぐ電子回路を組む人

メカだけ(例:自転車、ボールペン)、メカとエレキだけ(例:懐中電灯、電気ポット)でつくられているものはあるけれど、プログラムだけで成り立つものはほとんどない。だから、昨今プログラミング教育に注目が集まっているけれど、その指示を具現化する伝統的な工学にも目を向けてほしいとつくったプログラムです。

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プログラム前半では電気に関する基本的な知識をクイズやゲームに加え、実際に手を動かして回路を組みながら学びます。前半で学んだことをいかして後半ではオリジナルメカを制作するんですが、全編をとおして活用するのは「ブレッドボード」という簡単に電子回路を試作できる基盤。本格的な電子工作では「はんだ付け」という金属と金属をつなぎあわせる作業が必要なのですが、安全管理に注意が必要で難易度が高い。電子工作の真髄を損なわなず初心者の子どもたちも気負いなく挑戦できるようにと、使用ツールの選定からワザのステップアップまで丁寧に設計しました。

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きいろちゃん:それこそ導入部では、電子レンジやドライヤーなど、身の回りの家電がどんな仕組みで動くのか想像してみることからスタートします。いろんな事例から、電気には【インプット・アウトプット・スループット】という3つの概念があって、それらを上手に組み合わせることで点滅する電球やセンサーで反応するモーターなどさまざまな表現ができることに気がつくんです。

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でもこのプログラムの真骨頂はやはり、ひたすら試行錯誤し続けること、実体験から学びを得ること。ただ知識を蓄えて「電気博士」になったつもりでも、実際に自分で回路を組むとなるとうまくいかないことも多い。僕も工学部出身ですが、プログラムを設計しながらワークに自らとりくんで検証するなかで学ぶことが本当に多かった!

ー 教室でひとり電子工作をしながら、「なんでLEDひとつコントロールできないんだ!!」と叫んでいましたよね(笑)

きいろちゃん:そうなんです(苦笑)。頭で理解するのと手を動かして実現するのと、その間には大きなギャップがあって。これは他のプログラムにも言えることなのですが、なかでも特にエレキエンジニアは「上手くいったかどうか」が目の前ですぐに確認できるのがいいところですよね。試行錯誤力・忍耐力を養うのにすごく適しているんです。

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ほっしー:電子工作というと最初はハードルが高く感じるかもしれませんが、第4週目くらいに入ってくると「まずはやってみる」「試行錯誤し続ける」ことに自然と慣れてきますよね。勉学というと頭での理解が先にくるイメージがありあすが、これは手を動かしながら自分なりの理解を深めるのでいい。

やってみる前からあきらめちゃう、わからないとすぐに投げ出してしまうというお子さんにとってはいい訓練かも

いわたく:そうそう。あと、電子工作自体は一人でもできるかもしれないけれど、その試行錯誤の空気というか、教室に仲間がいてそれぞれがトライ&エラーを繰り返し、互いから学び合う現場感が大事だと思うんです。キットを送付しておうちでどうぞ、というのもできなくはないけれど、やっぱり教室でワイワイ盛り上がってほしい。おうちで取り組む場合は、ぜひご家族と楽しんでいただきたいですね。

ー 後半で制作するオリジナルメカはどんなものを想定しているんですか?

きいろちゃん:あくまで支給するブレッドボードやコード、LED電球などをベースにするので、その大きさやフォルムに制約をうけるところはありますが、作品の方向性自体は完全に自由です!便利なものでも、楽しく可愛いものでも、遊べるおもちゃでも。

ほっしー:表現できる動き自体はシンプルなんだけれど、そこにちょっとユニークな見立てやアイディアが掛け合わさると表現方法は無限大、という可能性にワクワクしてほしいですよね。

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いわたく:ちなみに今、中高生クラスでもエンジニアプロジェクトをやっているんですが、彼らのレベルになるとメカの設計・組み合わせからそのプロダクトを使った体験のデザインまでぐっと踏み込みます!いくらでも応用・発展の余地があるのが、ホンモノの職業に「なりきり」学ぶ醍醐味ですよね。

ー 正直なところエレキと聞いてもピンとこなかったんですが(笑)、面白そう・やってみたい!という気持ちになってきました。

きいろちゃん:そこが今回の狙いなんです。電子工作ってメカとかコンピューター好きの子しかやらない。例えばアートが好き、ダンスが好き、という他の子にとって関心をもつきっかけがなかなかないんですよね。でもこれだけ身近に電化製品があふれる時代、もっと広く一般の人というか「みんなが」トライしてもいいんじゃないって思うんです。

ほっしー:例えば、ビジュアルプログラミングの登場でプログラミングに挑戦する人が増えたじゃないですか。子ども向けのプログラミング教室が爆発的に増えたのも、こういう技術革新に支えられていると思うんです。エレキの場合、それがブレッドボードの活用だったりするんじゃないかなと。でも、巷のロボット教室では電子工作まで踏み込むところは意外と少なくて。

いわたく:電気という目に見えないものを扱う難しさがあるからですよね。ビジュアルプログラミングにせよ、レゴ®マインドストームのような機構にせよ、子ども向けの教材はわかりやすさが学びのとっかかりを与えてくれます。でも、そればかりを追求してしまうと、ものごとの本質がわからなくなり輪郭がぼやけてしまう。プログラム設計チームとしてはその絶妙なラインを攻めてみたつもりなんですが、子どもたちののめり込み具合やアウトプットからプログラムへのフィードバックを得られたらと楽しみにしています!

\来たれ挑戦者!エレキエンジニアの祭典開催中!/
日本初・小学生向けの探究学習コンテスト「小学生探究グランプリ」第三回目のお題は「エレキエンジニア」。オリジナルのエレキメカ制作でグランプリを競います。今回は、上級者向けの「はんだづけ部門」と初心者〜中級者向けの「ブレッドボード部門」の二部門にわかれてご応募いただきます。

後援に月刊誌「子供の科学」さん、審査員に電子工作アーティストの伊藤尚未さん、WHILL株式会社代表&エンジニアの福岡宗明さんと豪華な布陣でみなさんの作品をお待ちしています!!

↓グランプリの詳細・応募はこちらから。

↓近くに教室がないお客さまは、オンラインでも受講できます!(2021年1-2月開講)

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