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【型】の前に【技】を磨くべし!〜なりきり道場:発想編(なりきりラボ番外編)〜

小学生向け、アウトプット型・探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。今回はなりきりラボ番外編「なりきり道場〜生み出せイノベーション〜」です。


<プログラム開発者、いわたく&ほっしーに聞きました!>

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いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

ほっしー(星功基):
学び表現作家/a.school研究開発者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。佐藤雅彦研究室にて「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)や「日常にひそむ数理曲線」(ベネッセコーポレーションとの共同研究)などのプロジェクトに携わる。ベネッセコーポレーション進研ゼミ中学講座にて、12年間、理科や数学の教材編集、デジタル推進を担当。「学びは自分たちでつくる:Cスタ」など、学びと表現の間を探る活動・作品づくりを行う。「文字とことばのデザインユニット・二歩」として2019年11月にはじめての絵本を刊行予定。


ー 今回は「なりきりラボ」の番外編ということで、いつものように一つの仕事に挑戦するのではなく、いろいろな仕事につながるさまざまな力を磨く集中講座と聞きました。

いわたく:はい、今回の「なりきり道場」はその名のとおり、プロフェッショナルに「なりきる」ための基礎力を養うことを目的に、 問い・観察・発想・議論・プレゼン・表現の6つの技を鍛え上げるプログラムです。そのうち、20年3月に初開講するのは「発想編〜生み出せイノベーション〜」というテーマで(アイディア)発想に着目するもの。

発想というと、生まれつきクリエイティブなアイディアマンだけが得意とするものと思われがちですが、実は一定のセオリーを踏まえてプラクティスを積んだら誰でもある程度は伸ばせる力なんです。計4コマにわたる授業では、連想・ブレスト・強制発想・シックスハット法・KJ法など、オーソドックスだけれど発想力を確かに支えてくれる技を伝授します。

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ー たしかにここ十数年、大人の世界ではデザイン思考やイノベーション教育が流行ってきた経緯がありますが、どうしてまたこれを小学生に伝えようと考えたのですか?

いわたく:「なりきりラボ」では、絵本作家・漫画家やゲームデザイナー、コピーライター、起業家・経営者など、さまざまな仕事に挑戦するなかで(アイディア)発想を迫られる場面がたくさんあるんですね。そういう場面でクラスを見渡すと、発想を得意とする子、苦手とする子とが極端に分かれるんです。答えがない問いに対して自由にあれこれ考えることが好きな子もいれば、ルールや枠組みが明確な問いに対して論理的に思考を積み重ねるのが好きな子もいる。また、クオリティにこだわりすぎて(最初から完璧な答えをだそうと思って)発想すること自体を苦に思ってしまう子も。

でも、まだ苦手意識を持つには早い気もして。ただやり方を知らないだけだと思うんです。だから、いくつかの技を身につけるだけで発想力は鍛えることができると知って欲しい。それも、いくつかの方法論のなかから自分にフィットするものを見つけることができれば、発想する楽しさにもつながります。特に論理的思考力が強い子には、方法論に則った地道なアプローチが合っているかなと。

ほっしー:発想力に着目したのは、子どもたちのニーズにこたえるほかに、大人目線での課題意識もあるんです。

大人になるとクリエイティブなことを生業にする人とそうでない人が明確にわかれてしまって、その両者を行き来したり理解し合ったりするのが難しい。でも、子どもの時分に少しでもクリエイティビティに触れるような多様な経験をしていると、もしも自分がその道を進まなかったとしても、相手の立場を少しでも想像してコミュニケーションがとれるようになりますよね。

教育全般に言えることですが、さまざまな選択肢を体験したうえで取捨選択するのとそうでないのとでは、大きく異なると思うのです。だからこのプログラムのゴールは、全員が発想力豊かなアイディアマンになることでは必ずしもなくて、せめてそのきっかけになるような豊かな体験を提供することなんです。

ー たしかに、豊かな選択肢が提示されること、そのなかから自分で極めたいことを選びとることは大切ですよね。さて、もう少し具体的なプログラム内容を教えてもらえますか?

いわたく:全4コマで構成されるプログラムなのですが、毎回2つの発想法を紹介します。例えば【シックス・ハット】。「まとめ役」「批判役」など、異なる人格(役割)から同じ事象を考察することで、多面的なものの見方ができるようになります。

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一方【連想】はその名のとおり、キーワードをいくつも並べてつなげることで思わぬ組み合わせを生み出す方法です。

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授業前半ではひたすら発想をひろげ拡散し、後半で収束・ブラッシュアップすることを繰り返します。発想に苦手意識がある子はもちろんのこと、発想好きの子にとっても理論を学んでパワーアップできるいい機会ですね。

ほっしー:言うなれば、「自分という檻からでるためにどうすればいいか」というお題に取り組む感じですよね。普段自分が何気なく採用している思考法を横に置いて新しい考え方を取り入れてみることで、これまでとは違う世界が開けてくるかどうか。

ある種のストレスを感じてしまう子どももいるかもしれません、自分とは違う思考法を取り入れるのは負荷がかかることですからね。

ー ちなみに、いわゆるデザイン思考を学ぶのとはどう違うんですか?

いわたく:一部重なるところもあるけれど、デザイン思考を体系的に学ぼうとするとステップがだいぶ複雑。「なりきり道場」ではとりまわしのいい小さな道具を身につけるところにフォーカスしています。今後の「なりきりラボ」シリーズでもっと大きなプロジェクトに取り組む時に、ここで手に入れた道具のどれを選んでどう組み合わせるのか、どんなタイミングで活用するのかがポイントになってきますが、それは実践編で鍛えていきます。

ほっしー:デザイン思考は空手の型だとすると、今回は一つひとつの技を身につける感じですね!普段の「なりきりラボ」では型に挑戦し続けているので、今一度技の磨き込みをしようということですね。

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グッドデザイン賞受賞の小学生むけ・アウトプット型探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」は、東京は本郷・池上の直営校のほか、全国のパートナー校で受講できます!(2020年4月からは、オンライン受講も可能に!)くわしくはエイスクールのホームページをご覧ください。


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