きっと、プロポーズ
いつもみたいに、彼氏の家の近くの居酒屋でご飯を食べ、少しだけお酒を飲み、家に向かって歩いていた。
揚げじゃがという料理が美味しいお店だった。
「一年半記念日に何か食べたいものはある?」
と、突然聞かれた。
"そう切り出してきたか" そう思った。
私たちが、これまでに記念日をお祝いしたことは一度もない。
「半年経ったね」「そうだね〜」
「付き合って1年だね」「ほんとだね〜」
という感じで、記念日に特別なご飯を食べたりどこかに行ったりすることはなく、いつもと変わらず過ごしてきた。
それなのに、一年半記念日だけなぜ?!と思うだろう。
昨年末、結婚の話が出た時に、彼は交際一年半を結婚の目処にしていると言っていた。
その交際一年半を、今年の夏に迎える。
だから、もしかしてプロポーズの話かな?!と少し舞い上がった。
「それはそういうことなのかな?」と聞いてみると、
「サプライズしたいから」と彼は濁して答えた。
いつもデートの予定は、私がほぼ決めているし、今年の私の誕生日の予約も私がお願いしたからしてくれたぐらいには、計画不精な人だ。
ご飯の予約やその他の計画を立てることも、スケジュールを管理することも苦手な人なのに、サプライズを自らするなんて、最もかけ離れた人だろう。
だから、彼の口から「サプライズ」という単語が出てきたことに驚いた。もはやその言葉にサプラーーーイズした。
そういう人だからこそ、色々と考えてくれるのは殊更に嬉しい。
だからついでに、「少し遠くに行くのはどうだろうか」と密かな要望を言ってみた。
近場だと見知った街に囲まれて日常の延長線上にいるようで、気持ちが上がらない気がするから。非日常的な場所にいれば少しはワクワクするだろう。
だからその時は、どこか遠い所でしてほしいと、密かに思っていた。
きっとプロポーズがあるだろう(願い)と期待して、家に帰って、普段つけないカラーコンタクトを購入し、張り切ってネイルサロンも、予約してみた。
結婚に憧れはなかったけれど、プロポーズへの憧れはあるものだ。自分も結構女の子だな〜とつくづく感じている。
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