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ダイエット小噺 1話〜美容なんてくそ食らえ〜

"晩年ダイエッター"

この言葉を聞いて、自分を思い浮かべる女性は、どれほどいるのだろう。

もしかしたら、10人に1人は「そうである」と静かに右手を挙げるかもしれない。
SNSの裏アカウントで、「ダイエットするぞ!!!」と3ヶ月ごとにつぶやく彼女は、晩年ダイエッターの代表例だろう。

女性にとってダイエットとは、まるで恋愛や結婚のように、永遠に難解な課題である。

そして、かく言う私も晩年ダイエッターのひとりである。
現在進行形でそうであるし、過去の記憶を辿っても、思い出せないぐらい前からそうであった気がする。

高校1年生の16歳のころには、「あと2キロ痩せてえ〜」と切に願いながら、塾の隣にオープンしたファミリマートで、アルフォートの青と白をダブル買いし、「やっぱ白のほうがうめえわ〜」と思いながら勉強に励んでいた。

高校を卒業し、一人暮らしとともにスタートを切った大学生活では、あらゆるダイエットに励んだ。

バナナダイエット
きなこヨーグルトダイエット
スープダイエット
8時間ダイエット
朝食抜きダイエット
糖質制限ダイエット
カロリー制限ダイエット...

テレビで放送されていたもの、
ネットの記事で取り上げられていたもの、
色々なものから情報を得て、その度に試してみた。

しかし、何一つ成功しなかった。

ダイエットをしているつもりだったのに、体重は減るどころか、むしろ増えていった。

なぜ当時大学生だった自分がダイエットを成功させられなかったのか、遡ってもよく分からない。

ただ、インスタグラムで「いいね!」をつけた写真は、全国各地で話題になっている色とりどりのスイーツの写真ばかりであった。

今考察するに、当時わたしは自分の外見にあまり興味がなかった。

その証拠として、いつもメイクはワンパターンだった。

顔には下地だけを適当に塗る。
目の上にはブラウンのアイシャドウを濃く濃く塗り込み、黒のアイライナーを猫のように跳ね上げる。
右は吊り上がり、左は曲線を描いた左右異なるふさふさの眉毛。
唇にはニベアの色付きリップ。

それで、終わりだった。

大学生だった私は、それ以外の化粧の方法を何一つ知らなかったし、知ろうともしなかった。

本当に外見に興味がなかったのだ。
でもなぜか、ダイエットだけはしていた笑

ファンデーションも塗らず、かっぴらいた毛穴丸出しの顔を、公衆トイレの匂いのごとくお披露目していたと考えると、私と関わった人類全員に非常に申し訳なく思う。

大学に入学する際、初めての化粧品として親に買ってもらった、マジョリカマジョルカのチークも、マキアージュのファンデーションも、資生堂のビューラーも、口紅も、4年間という長い間、持ち主に意味を分かってもらえず、日の目を見ることはなかった。
彼等にも、ともに謝罪をしたい。

そして、極め付けのお風呂タイムも、相変わらずわたしは面白かった。

髪はシャンプーのみで、洗顔料はボディソープ。

シャンプーと同時に買ったはずのトリートメントは、一向になくなる気配がない。

お風呂から出たあとは、化粧水や美容液、乳液などは付けず、カピカピに。
髪はドライヤーで乾かすのが面倒だったので、自然乾燥で、そのままベッドにダーイブ!

それらに意味を見出すことができていなかった。

顔に塗るタイプの水分や液体は、自分の肌にどんな影響をもたらすのか知らなかったし、結局髪は、何もしなくても自然に乾いてしまうのだ。

この時、わたしは一生変わらないし、変われないと思っていた。

新発売の化粧品に群がる女子大生の生態を心底不思議に思っていたし、軽蔑さえしていた。

そんなこじらせ女子が、ダイエットに成功し、美容に興味を持つまでの小噺をしていこうと思う。

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