ダイエット小噺 12話〜ダイエット成功と落とし穴〜
「綺麗になったら幸せになれる」と思っていたけれど、現実はそうではなかった。
ダイエットに成功しても、わたしは、わたしのことを、認めてあげられなかった。
周りの女子が可愛くて嫉妬したり、友達からの褒め言葉を素直に受け取れなかったり、ダイエットにもメイクにも気を遣わなくても綺麗な人を見て卑屈になったり、美容に執着していけばいくほど、見た目の嫌な部分が見えるようになり、心は醜くなっていった。
似ている芸能人にメイクを寄せて、人気モデルを見て私も痩せなければと奮起し、「私は私だから。」と自分自身を肯定することがどんどん出来なくなっていた。
メイクにもダイエットにも無頓着でいた時の方がよっぽど幸せだった気がする。
他人による外見の評価にも、自分に対する見た目の評価にも、興味がなかったし、そんな自分を受け入れることができていたから。
中途半端な美意識は自分を苦しめ、自分の価値を見出せなくなっていった。
他人の目が気になりはじめ、「男女問わず誰からも、可愛いと思われたい」という思いが膨れ上がり、いつの間にか、他人の評価は自身の価値に変わった。
ただ、生きていく上で一番必要なのは、謙虚に努力している自分を認めてあげることなのだ。
謙虚に努力をすることで、未来への自信に変化していく。ただそれらってとても漠然としていて見えないもの。それでも意識して行動することで、それは見えるものに変化する。
努力しているのに、まだまだ足りない、まだまだ足りないと100を満たすまでの不足分を補うのではなく、今の自分は100でそれを120にしていくそんな気持ちでいる。
ダイエットを通じて、自分自身のあり方や生き方が少しだけ見えてきた。
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