結婚願望はないからプロポーズしてほしい

「お前、結婚せんのん?」

ついこの前、よく集まる会社の同期の飲み会で、既婚の男友達に言われた。

入社して6年が経過した。入社時に仲良くなった同期8人組は、結婚や育児、行きたくない等の理由で、 5人に固定化されつつある。

今では8人のうち4人が結婚している。地方における28歳の結婚率を考えると、どちらかといえば少ない方かもしれない。同期の絆なんてそんなものだろう。

しかしながら彼のこの発言は、自分が独身メンバーの中で"最も結婚に近い人"と思われているから言われたものなのだろう。
私も交際相手も結婚適齢期であるし、付き合いはじめてからそれなりの期間が経っていることを、みな知っている。

「あなたは奥さんと結婚する時、この人しかいないって思った?」

返答に困ったので、とりあえず彼にそう聞いてみた。

「思ったよ」

彼の人柄を考えると、"なんとなく"とか"彼女が結婚したそうだったから"とか、そういう答えが返ってくると思ったら、食い気味にそう言われてしまい、少し拍子抜けした。

そんなにはっきりと「結婚するならこの人しかいない」と思えるものだろうか。

私が思うに、学生の時から付き合っている人など、学校や職場で相手と出会って交際した人は、そう思えるのかもしれない。


好きだから付き合う、心地いいから長く関係が続く、そして結婚する。交際も結婚も自然発生的に生じた出来事だから、結婚するならこの人だろうと疑問を考えることなく思えるだろう。


一方、私のようにアプリや結婚相談所で婚活をして相手と出会った人は、自分の将来や結婚という目標ありきで行動しているため、いい人と出会ったとしても「この人しかいない」とはなかなか思えないのではなかろうか。

というよりも、
「この人を逃すと当分結婚の機を逃すかもしれない」といったリスクヘッジの一種のような感情から、結婚という選択をするのではなかろうか。

そんな私も「結婚するならこの人しかいない」という感情がない。そもそも結婚に対する願望が薄く、周りの圧力や自分の評価を気にして婚活を始めたに過ぎないから。

だから、私の中で結婚する理由みたいなものが決定的に欠如している。

それでも、プロポーズはしてほしいと思っている。
「結婚したい願望」と「プロポーズされたい願望」は、全く別物として存在するのだ。

ことさらに、相手が苦手なシチュエーションでプロポーズをしてほしい。結婚に対する意思があることをきちんと態度で示してほしい。

「結婚願望がある、だからプロポーズしてほしい」

ではなく、

「結婚願望はない、だからプロポーズしてほしい」

なのだ。

プロポーズしてもらえれば、こちらだって結婚を考えざるをえないし、断る理由がないことにきっと気付くだろう。

それは、一種の承認欲求のようなものだ。

相手に求められたい、必要とされたい、君しかいないと言われたい。

浅はかにも、自分の結婚願望はこのような感情としか結びつかなさそうである。

こんな自分ではありますが、プロポーズお待ちしております。

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