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[モンゴメリ生誕150周年]アヴォンリーへの道ー旅2日目①

羽田からトロント経由でシャーロットタウンに降り立ったのは深夜。そのまま空港からほど近い、プリンスエドワード島(PEI)で最も最近に建てられたというHumpton Inn & Suite Charlottetownに一泊でした。
実質旅の初日の2日目。翌朝カーテンを開けると、山がなく、高い建物も少ないPEIの広ーい地平が見渡せます。天気予報では最高気温24度、最低気温14度。すっきり晴れて爽やか!いいことありそう!

Humpton Inn & Suite Charlottetown 
カナダでは公的機関はもちろん、特別な日でなくても、コーヒーショップやなんてことのない家の庭に赤と白のメープルの国旗が掲げられていておしゃれに映える。

午前:シャーロットタウンにて、長老派協会、カナダ建国国家史跡・州議事堂、クイーン学院のモデル・ホーランドカレッジ車窓観光

車窓から、100年近く経っていても大切にメンテされ、庭の花々が丹精されたかわいらしい家々、芝生が手入れされた公園やヨットが浮かぶ海を眺めていると、広さも当然ながら、日本と全く違うゆとりを感じます。

ビクトリアパークを左手に、シャーロットタウン港を右手に眺めるビクトリアパークロードウェイを抜けるとすぐ、堂々たる長老派教会、Kirk of St. Jamesが現れます。
このツアーの魅力は、随所で松本侑子先生と、PEIを知り尽くした現地ガイドの方が様々な解説をしてくださり、アンの物語について、モンゴメリについて、さらに深く理解できるところです。

長老派教会、Kirk of St. James。Kirkはスコットランド語でChurchのこと。
教会の十字に丸が組み合わさるケルト十字は、太陽神を崇めるケルトの原始的な信仰を反映しているのだそう
教会のステンドグラス
PEIから出征して犠牲になった兵士たちの記念碑。カナダは英自治領だったため英国と一連托生で第一次世界大戦に参戦した。「アンの娘リラ」はまさにその時代の話。完全に独立した後の第二次世界大戦、朝鮮戦争、最近ではアフガニスタンでも戦っている。奥は現在修復工事中の州議事堂

カナダの歴史は浅く、1864年にイギリス植民地から独立すべく、カナダ各地の代表が集まって建国会議をしたのがここPEI。そのため、PEIが東西に横長でゆりかごのような形をしていることもあり、建国のゆりかごともいわれます。
・・・というのはあくまでヨーロッパからの移民の理論で、実際には遥か2000年前からミクマク族をはじめ多くの先住民の部族が住んでいました。フランスが16世紀にカナダを「発見」して以降、フランス領になり、英領になり、先住民が迫害されてきた歴史を埋もれさせないよう、昨今ではどんな史跡にも先住民の歴史の紹介が置かれるようになっています。
ミクマク語で「波間に浮かぶゆりかご」を意味するアベグウェイトがプリンスエドワード島という名に変わって久しい、と「アンの夢の家」冒頭に出てきます。

さて、イギリス植民地からの独立というのは、英王室にたてつくこと。王室びいき(王党派、ロイヤリスト)が多いPEIとしては、本当はカナダ加盟に後ろ向きでした。なぜ王党派が多いかというと、アメリカの独立戦争が関係します。なぜか。1776年のアメリカ独立宣言とそれに続く革命戦争はイギリスからの独立を求めたもの。しかしイギリスに忠誠心を持ち、戦いたくない大勢のアメリカ人たちがカナダ側に移住したのでした。
ので、カナダ各地の指導者がPEIに集まって建国会議するなど、当のPEIにとっては外堀を埋められる形で、「なんでうちに来るんだよぅー」という迷惑な話であったのかもしれません。
カナダ建国後も加盟を引き延ばしていたPEIがついにカナダに加盟したのは1873年。その翌年にモンゴメリはカナダ人として生まれます。
カナダ加盟の決定打となるのは鉄道建設事業だったという話はまた後で。

州議事堂工事中のため、隣接するコンフェデレーションセンターに移設されていた「連邦誕生の間」。この日は高校生が校外学習中。この手の歴史学習にぐだーとしているティーンエージャーはどこの国も同じ。
クイーン学院のモデル、ホーランドカレッジ。今は専門学校的な位置づけとのこと。

孤児院からマリラ・マシューに引き取られて4年後、受験生組に選ばれたアンはギルバートや他の数名とシャーロットタウンのクイーン学院に進学し、ホームシックになりながらも、奨学金獲得を目指して必死で勉強します。
(アン15-16歳)

2歳で母を亡くしたモンゴメリは、父の再婚で15歳の頃サスカチュアンで暮らしますが、義母と折り合いが悪く島に戻り、クイーン学院のモデルであるプリンス・オブ・ウェールズカレッジ(現ホーランドカレッジ)に入って教員免許を取得しています。
(モンゴメリ19ー20歳)

(続く)





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