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国道376号旧道群①~周南市大道理地区

地理院地図の誤り

まずはこちらの最新の(令和6年1月29日)地理院地図を見ていただきたい。
国道の赤色で塗られた道が国道376号。場所は周南市大道理地区の大畠付近である。

記されているのは、何の変哲もないトンネルと、その脇に尾根を迂回する形で残る旧道と思しき道だ。地図を見る限り、旧道も普通に自動車で通れそうだし、何かここに書くことがあるんかと訝しく思われるかもしれない。
しかし、実際にこの地図を頭に入れた状態で国道を走行すると、違和感に気づく。身も蓋もなく言えば、「地図が間違っている」。
ではどう間違っているのかといえば、あちこち間違っている(笑)のだが、以下のGoogleマップが私の現地見分後の感覚と適合した正しい地図だ。

スマホなどで見ると小さくて分かりづらいかもしれないが、もっとも大きな違いは、現道と旧道との接続部である。
地理院地図だと大道理トンネルの東西坑口付近に旧道接続箇所があることになっているが、Googleマップでは東口付近に旧道接続箇所はなく、旧道は東口側の現道と立体交差して現道の下をくぐっている
まさか、天下の国土地理院作成・地理院地図がこんなに派手に間違っているなんてことがあるのか?と疑問に思われる節もあるかもしれないが、これについては人が作ったものである以上、仕方がないことなのだ。私のレポートは結果的に地理院地図の間違いを証明することになるが、いつもお世話になっている地理院地図に対し批判的な意図は一切ないことをあらかじめ断っておく。こういうこともあるんだね、くらいに思ってもらえば幸いだ。ただ、近い将来修正された地理院地図が出たら、私の貢献かもしれない笑。
以下、現地の状況を見ていただこう。

思わぬ発見

Googleマップに書込み
駐車場から南方向を撮影

現地見分は、上記地図のP印を付した駐車場に車を停め、徒歩で行った。旧道区間1~3の順に歩いていく算段だ。2024年1月のこの日は、寒波の影響で2日前に積もった雪が残るコンディションであったが、予定では変な道に踏み込むつもりはなかったので、歩行に大きな影響はないと判断した。
私が利用した駐車場は、春には大道理名物の芝桜が見頃ということで大変な混雑を見せるのであるが、身を切る寒さの時期に私以外の利用者は見当たらなかった。

駐車場を出て大道理トンネル方向を撮影

駐車場を出ると、すぐ隣に神社がある。写真の石垣が画するのが神社の敷地だ。ここに、徒歩でなければ見落としてしまうこと必至の重要な発見があった。上記地図の星印の位置、この写真にも石垣に紛れるようにひっそりと立つそれは・・・

道路改修記念の碑!!
探索で見つけるとテンション上がるやつだ。その道路の詳細な個人情報が得られるボーナスチャンスだからな。しかして、今回は。

裏面なしで、詳細情報はこの下段に集約されているのだが、これは。
風化が進んでいて読めない字が多い・・・。
現地で判明したのは、
「従右波・・・
穂村・・・
明治二十年
同・・・年
同・・・
大・・・
・・・(以下不明)」
というところだ。2行目の穂村は、かつてこの辺りにあった村名、長穂村ではないかと想像できた。明治20年以降の道路改修の歴史が明らかになりそうな碑文であるが、現地ではこれ以上どうにもならないので、写真に収めて立ち去った次第。

旧道区間1

それでは、肩慣らしに旧道区間1へ入っていこう。

神社を過ぎたところで進行方向を撮影。左の2車線道路が国道376号。で、右手に登っていく道がやたら目立っているが、これは案内板にあるとおり交流館(廃校)への道なので、旧道ではない。
旧道は、案内板の後ろにある。

さきほどの位置から10m進んだところ。この右側の道が旧道だ。郵便局が新旧道に挟まれて肩身狭そうにしている。

特段語るものもない旧道だと思ったので、黙々と進んで現道と合流。この旧道は地理院地図にも載ってるし、敢えて紹介する意味はないかなと思っていたのだが、直上の写真を見てほしい。現地では気づかなかったので見切れてしまっているが、左端の「西集落集会所」の入り口が現道ではなく旧道側を向いて存在していることが示唆的だ。かつての集落の生活に密着した道路は、間違いなく今いるこの旧道だったのだと、暗に語って聞かせてくれているようだ。

旧道区間1が終わると、50mも行かないうちに旧道区間2の入り口が見えてくる。上の写真で山口県名物・黄色のガードレールに沿って緩やかに下っていく道がそれだ。
ここからが、地理院地図の誤りを証明する本番である。

続く




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