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プリンタニア・ニッポンの話がしたい


生体プリンターから出力された、もち

『プリンタニア・ニッポン』(著:迷子)
舞台は近未来。主人公の『佐藤46』が柴犬を飼いたくて買った生体出力プリンタがエラー(?)で出力した、白くてもちもちした生き物『プリンタニア・ニッポン』との生活を描いた漫画。

多分この段階で、生物を出力…!?となっていると思います。お察しの通りSFです。とはいえ、絵はかわいらしく、人々も楽しそうに生活しており、ほのぼの日常系として読めるのですが…

管理された世界

私も管理されてえ~~

生活改善コンサルタントが一人ひとりについています。この世界では親のような存在でしょうか。普段は実体がなく、かわいい(この場合のかわいいは正円の目に三角の口)顔のモニターとして存在していて、場合によっては物理ボディで行動したりもできます。小さい頃は抱っこ型のコンサルが配布されるらしい。ほしい~~~!
コンサルも微妙に性格がちがってくるのですが、核となる部分はもとは同じのようです。長所や短所を教えてくれて、改善方法も提示してくれる。運動が少なければ促してくれる。一緒に謝りにも行ってくれる。最高か~!

社会を管理する「猫」

いたるところにいる、円柱型に耳をつけたような形の猫目のロボット。彼らがこの社会を管理しています。「評議会」というものがあり、何かあると評議会からの質問に答えなければいけなくなります。猫目に囲まれた空間で問い詰められることも…
そして人々にはそれぞれレベルがあり、そのレベルによって住む場所や職業、情報開示が決まっているようです。佐藤46や友人の『塩野1』はおそらく到達レベルがそこそこ高いのですが、新しく友人になる『瀬田8』はもともとはスクールの課題などが苦手でレベルが低く、開拓地で働いていました。

瀬田くんが好きすぎる

瀬田くん、自己肯定感が低く、事故で腕が無くなって日も経っていないからもう少し休んでいいのに、自分にできる仕事なんか無いと目がぐるぐるしがち。私も自分に期待してがっかりしたくないから、開拓地で働きたいよ…。でも瀬田くん自身の性格と、プリンタニアのストレスに寄り添う性質と相まってプリンタニアたちに好かれています。そのおかげで無事に仕事にも就けました。
単行本のおまけや作者のツイッター…じゃなかったXか、に出てくる瀬田くんの自己の話を読むと瀬田くんのことめちゃめちゃ好きになります。本編だけでも好きなんだから更に好きになっちゃう…一つ縛りにしているのも好き…

何があったのか

主人公たち含め、現在生きている人々はみんな「新人類」。旧人類になにがあり、どうして「猫」が管理する社会になったのか。
「猫」が諦められないのは何故なのか。
開拓地は瀬田くんが腕をなくすような危険な場所。どうしてそんな場所になってしまったのか。
名前の後の数字の意味。
ペットは生体プリンターから出力するけど、人間は?
先に書いたレベルの話なんだけど、これは別に命令を聞き、管理しやすい人を増やすためのものではないんですよね。人に自分のロジックを押し付けないためのテストや友人関係の構築の訓練(友人制度はあるものの本当に苦手な人は免除も可)があるし、高レベルの人には過去の情報も開示されるけど、そもそも知らせないということもできるのに、「知る権利」を与えている。そしてそれを知った人が生み出したのが『プリンタニア・ニッポン』。
本人はかわいいから、という理由で生み出したけど、それが許されたのは当然それだけが理由ではなかったから…
ストレスに寄り添う性質
やたら頑丈で環境の変化にも強い
人への感応力が異様に高い
プリンタニアが生み出された本当の理由が明かされるのが楽しみです。

もちもちしたものは、かわいい

プリンタニアがかわいいのは自明すぎて書いていなかった。
表紙見ればわかりますでしょう、このかわいさ。
抱っこしてみたいでしょう。
試し読みできるので、私たちは想像のプリたちを撫でまわしましょう。



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