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たしかなこと。


前回に引き続いて、喫茶店で働き始めた最近のことを書く。

コーヒーはドリップで淹れる。
お湯を細く注ぐのは難しい。
上手な人の腕の動きを見て、少しコツがわかってきた。

細く注ぎ続けていると、豆たちが膨らむ。
ぷくぷくほわほわ
それを見るのが楽しい。
毎回飽きずにおお〜、と思う。

新しい場所で働くとき、とにかく人の真似をする。
なんというか、どこまでが必要なことなのか
そういう感覚に欠けていると感じる。
なので人の真似をする。
要点を見出すことが下手。

真似をするのは昔から得意だし
怒られることがとにかく嫌いなので
仕事を覚えるのは早いと思う。
全体的に業務がこなせるようになるまでは
必死で覚える。

7〜8割くらいできるようになると、
そこからの探究心みたいなのが底抜けに無い。
問題なく日々をこなせるようになると
それなりを続けていく。

そういう自分に対して、
責めるでもなく、どうしてだろうかな、
と思うことはよくある。

豆がふくふくほわほわ膨らむことは
飽きずに見ていられる。
その時に漂う香りと、その瞬間に少しだけ
自分の時間がゆっくりになる感覚。
少しだけ空間を広く捉えられるような気がする。
いまこの身体が感じ取っていること、という明確さに安心する。


情報が多すぎて、振り回されるのは容易すぎる。
頭の中で考えることが先行しすぎる。
正しいか正しくないか、それしかないように感じることがある。

やかんを傾けてお湯を注ぐときの重み。
ポトポトとコーヒーが落ちていく音。
鼻孔に広がる香り。
そういうのは、信頼できる。


人生に突如出現した
(お金を払った誰かの)コーヒーを淹れる時間が
思いのほか自身の喜びに通じていて驚いている。


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