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息子がはじめて、自分の靴を買った
めっきり息子との会話がなくなってしまった。
日々話をしないのがデフォルト。火急の用事がある時以外、息子から声がかかることはない。わたしと息子2人しかいない家の中で、息子は食べ物すら自分で作るようになってしまったから、なんだかシェアハウスに住んでいるみたいだ。
いや、片付けや洗濯は完全に私任せだけど。
息子、来春にはもう高校生。
初めて、自分で洋服や靴を買ってきたお話。
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生まれてから15年間ずっと、息子の着るものは私が買っていたものだ。
小さいころは、飛行機とかのプリントのある服を喜んで、でもいつの間にかシマシマさえも嫌がるようになって、小学生高学年では、黒とか紺とか暗い色ばかりになったよね。
中学生になったら淡いグレーやくすみのある水色も着てくれたけれど「何色がいい?」って聞いても「派手じゃないやつならなんでもいい」って、たいした主張もない様子だった。
それが、
こないだいつものように「服買うついでに何か買うけど欲しいものは?」って聞いたら「自分で買うからいい」って。
え、そんな選択肢があったの!?
でもしばらくしても一向に買いに行く気配がない。
もうだいぶ朝晩は冷えるというのに、綿の学ランだけじゃ寒いんじゃないかってひそかに心配していたところ、
「俺のネックウオーマー 知らない?」って聞かれた。
思えばこれが、始まりだったんだ。
(忘れないようにネックウオーマー 事変と名付けておこうか・笑)
ああ、昔使ってたやつね。どこだろう?
…探してもなかったから、息子が学校に行ったあとに、amazonでポチッとして2日後にネックウオーマーが家に届いた。けれど、渡そうとしたらもうすでに新しいネックウオーマー が家の中に転がっていた。
あ、自分で買ったんだ…!
ユニクロだ。
それを皮切りに、次の日には見知らぬコートを着ていた。
今まで決して着たことのない類の、カーキ色の大人びたウールのコート。
そんな選択肢があったんだ…
軽い方がいい、汚れてもいいやつ、動きやすいの、息子の服は機能性重視だと思っていたから、私服ならナイロン製のダウンとか選ぶし、制服用のコートは「絶対に着ない!」と強く言われていたから、極暖のヒートテックを買うしか考えていなかった。それにもし私が買うとしたら、紺色のPコートかダッフルコートにしたと思うけれど…息子の着ているのは、カーキ色のチェスターコート。
かっこいいじゃん。
いつのまに。
初めて息子が学ランの上にコートを羽織ったのを、なるべくさりげなく「買ったんだね、似合ってるよ」って言ったけど、聞こえているんだかいないんだか、何も返事をせずにでかけていった。
そして
今度は玄関に見慣れない靴があった。
確かに、靴はずっと買い替えなくちゃって思っていた。
底に穴が開きそうなくらい履き潰していたし。
寒くなる前にと3ヶ月くらい前にネットで私が買った靴は、小さくて履けなかった。今履いているサイズより大きいものを買ったのに、息子の足はさらに成長していた!(つまり、今ある靴は足に合わせて伸びに伸びているというわけだ)
さらにその靴はデザインも気に入らなかったらしく「なんでそんなに黒い靴ばっか買うわけ?」と文句を言う。
(制服にあわせるなら黒の方がいいって思ったんだよ)
そういえばあの靴返品して、そのままだったね。
息子の買った初めての靴は、
VANSのスニーカー。
黒だけじゃない。白いラインがいっぱい入ってるスニーカー。
へえ、こういうのが欲しかったんだ。
紐履は紐を結ぶのがめんどくさいから嫌だって言ってたの、最近だと思ってたけど、あれは1年くらい前だったか。
もう、違うんだね。
キミの変化は驚くほどはやい。体も、心も。
自分が初めて友達と洋服を買いに行った時のことを、ふと思い出した。あれは中学1年生だったかな。原宿の竹下通りに、親からもらった1万円を財布に入れて、あれこれ選んだんだっけ。ニーハイソックスとか、ダボダボのTシャツとか、当時の流行りの服を着たくて…楽しかったな、あの時。
息子はたぶん、学校帰りに買ってきた。
友達と行ったかどうかは知らないけれど、いや、驚いたよ。なかなかいいセレクトじゃない。私が最初に買った服よりも、だいぶまともで実用的なものたち。
…あなたの洋服を買う役は、もう、お役御免だね。
使われることのないネックウオーマーを最後に。
しっかりとしたカーキ色のロングコートは、
なんだか息子をとても大人びて見せていて、
またひとつ、離れていったんだなって、思う。
すごいスピードで、わたしの知らない息子になっていく。
喜ばしいことだ。誇らしく思うよ。
高すぎず妥当なラインでちゃんと買い物できて、
まともな大人になれそうじゃない。
うれしさと、ほこらしさと、ほんのちょっとのさみしさと。
なんだかこの瞬間を忘れたくないなと思って、
noteに記すこととしよう。
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