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【大河ドラマ・光る君へ】よしこさまって言っとけば、ちょろい。

早くも第十回。
十回かぁ…早いなぁ、ホント。

ってもう三月も中旬ってことか。
ホント、早いわ。
大河ドラマを楽しみに生きてると、あっという間に一週間が過ぎる。
それをくり返してると、あっという間に一年が過ぎる。

それでは「月夜の陰謀」の感想です。

長くなったので、ところどころ目次をつけました。


*****

「その日を逃せばもはや事はならんのか」(兼家)


「さようにございます」(安倍晴明)

べつにそんなことはないだろうよ。
他にもいい日は探せばいくらでもあるよ。
でも、そういうハッタリをかますのが仕事なんだろうな~。

「このタイミングしかない」は言い換えれば「このタイミングなら出来る」ということでもあって。
たとえ根拠が安倍晴明の言葉だけだとしても、自信をつけさせれば、困難に打ち勝てるはず。

陰陽師とか占い師とか・・・そういう仕事なんだよね、きっと。

*****

息子たちを集めて、具体的な策を披露する兼家。

緊張の道兼は、自分の役割を確認するので手一杯な感じ。
兄の道隆は、父の策を(道兼よりは)把握しながら。

義理の兄弟の道綱は、この場にいるだけで気後れしている様子。
そのうえ「お前があとで始末せよ」と、目撃者を殺すよう命じられて、衝撃を受ける。

人殺しは下賤の者のやることだ…と言ってた兼家。
道綱はそっちグループなんだね。

そして我らが道長は・・・とりあえず後からついていく感じ?
大役を仰せつかったわけでもないしね。

*****

花山天皇の出家したい気持ちを打ち明けられた義懐


「お心をお改めくださいませ!女御様も大勢おいでですし、新しいおなごもいくらでもご用意いたします。御子をもうけられませ。そうすれば気持ちも明るくなられ、政にむかう気力も湧き出ましょう」

うーん・・・。
冷静に考えると、義懐の言ってることは、なにひとつ間違ってない。

天皇の出家を止めるのは当たり前のことだし。
むしろ出家させようとしてる兼家のほうが悪者だしね。

女御様とか新しいおなごとか。
東宮時代からの女性遍歴を考えれば、「オンナ好き」「オンナがいればゴキゲン」「気に入るオンナが見つかればそれでいい」みたいに思われるのは仕方ないことだし。

御子を、と言われるのは花山天皇に限らない。
天皇たるもの、御子を求められるのは仕方ない。

オンナや御子がいれば、気持ちが明るくなるというのも、たしかに。
いい気分転換のきっかけになることは間違いないと思う。
とくに子どもがいれば、これまでの大人だけの生活とは一変するし。

そして「政にむかう気力」が大事なポイント。
義懐は天皇の仕事を乗っ取る気はない。
天皇の下で、うまい汁を吸いたいだけ。
そのためには天皇に「適度に」仕事をしてもらわないと困るのだ。

でもさー。
うまい汁はともかくとして。
そりゃ、天皇には仕事してもらわないと困るよね。

つまり、義懐は花山天皇に対応するための、わりと常識的なことを言ってるのではないかと思う。

問題は、花山天皇の「心」を無視していること。

その点では藤原実資(ロバート・秋山)のほうが、花山天皇の心…っていうか、一般論としての「人の心」に関心が向いている。

義懐は、ちょっと短気なのかなー。
「あーもーいい加減にしろよ!このガキがっ。さっさと仕事しろや。俺にうまい汁吸わせろ!!」ってところか。

*****

「あ~ぁ。あいつらにも嫌われてしまった」

おぅ。花山天皇、ちゃんと分かってらっしゃる。
愛しい人への恋慕に悩む彼は、人の心がちゃんと分かるようですな。

「どこまでもお供いたしまする」(道兼)
「まことか?」(花山天皇)
「お上・・・」(道兼)

えっ。なに。今度はBL!?
ふたりの後ろにバラの花が見える…と思ったのは、私だけ?

*****

「ッよしこさまのことを考えますと!23日がよろしいかと」


「23日・・・すぐではないか」
「23日はさいせーがにじゅうはっしゅくのてーしゅくをおかす日。お上にとっても、亡きよしこさまにとっても、最良の日にございます!」

食い気味の「ッよしこさまのことを考えますと!」が、道兼の「今こそお上をからめとる時!」という気合を表してるよね。

兼家が安倍晴明から23日を提案された時も、「すぐではないか」と言ってた。
それより後なんだから、花山天皇にとってはますます「すぐではないか」だよねぇ。

いざ出家するとなったら、あれこれ身辺整理をしたり、世をはかなむ時間(?)も欲しいし…そんな急なこと言われてもねえ。

安倍晴明が言った「さいせーが…おかすひ」という23日の説明。
それは兼家を経由して、道兼の口から花山天皇にまで伝えられた。

でもこれは安倍晴明が言うから説得力があるのでは?
道兼が、調べもしないでぺらぺらと提案するのは、ちょっとおかしくない?

花山天皇よ。
「道兼、おまえは陰陽道に詳しいのか?」くらい、つっこんでくれよ!

「よしこのためにも、早いほうがよいわな」
「はい・・・お供いたしまする」

道兼が礼をして、上げた顔のうさんくさいこと!!!
「俺、お上のことだけを考える、優しいイケメン」みたいな顔がうさんくさいよぉぉぉ。

*****

兼家のプランB


「しくじった折には、父のはかりごとを関白に知らせに走るのだ。さすれば、お前だけは生き残れる」

一瞬、「パパ!道長のことを大事にしているのね」とか甘っちょろいことを考えてしまった。
そんなわけなかった。

「この謀(はかりごと)がなれば、手柄は道隆のものとなる。道隆はそちら側だ」

ですよねーーー!
そういうプランですよね。

私はまだまだ「光る君へ」の世界に慣れてない。
「権謀術数」とか、おそろしい世界のお約束に慣れていない。

あぁ…鎌倉殿のときはあっさりあの世界のルールに慣れたんだけどな。
あれは単に、史実を知ってたからだったんだな。

*****

「道隆はそちら側だ」と言って、兼家が去った後の道長。
しばし呆然。
そして挟まれる、散楽一座を埋葬して泣き崩れるシーン。

あの。
私、どういう意図であの泣き崩れるシーンが挟まれたのか、ちょっとよく分かってない。

右大臣家における道隆はそちら側で、自分はこちら側。

社会全体における散楽一座はあちら側で、自分はこちら側。

身分差とか、立場とか、そういうこと???

*****

琵琶を奏で終わったまひろと、弟の乳母いと。
弟が婿入りするときには、ついていったら?と言うまひろ。
「まことでございますか!?・・・(略)・・・殿様はあきらめます。高倉にくれてやります」

いとは、いつのまにかお笑い担当になってる。

ところでまひろの父である殿様を「あきらめる」とか言うような状態は、どうなんだろう?
殿様が召使に手を出すのは普通にありがちだと思うけど、それを子どもたちにオープンにするのはさすがにどうなのか?
ずっとそのことが気になってるんだけどなー。

でも、直後にまひろは高倉の女性がどんな人なのか、興味を示している。
一夫多妻が当たり前の世の中では、男女関係を取り巻く人々の気持ちが、今とは相当違うのかもしれない。

*****

「貧しい家、ばっかりでございますねぇ」
「うん・・・」

さくっと高倉の女の家の敷地に入っていく、まひろ。
えええっ!姫さま!?という驚きを顔にはりつけている乙丸。

乙丸は毎度、表情が素晴らしい。

道長の右大臣家とは違って、本当に家族のような主従関係。

*****

「藤原道長様の従者、百舌彦でございます。こちらを」


おー!道長とまひろの関係を気にしていた百舌彦。
ようやく晴れがましいお役目につけたのね!

それにしても青い紙にはさまれたお手紙。
なんだか素敵!
知的な若様のイメージにピッタリの青い・・・ん?

道長ってべつに知的なイメージでもなかったよね???
あの青は何をイメージしてるのでしょうか。

しばし考えてみたところ、思い当たるのはただひとつ。

遠くの国。
海に象徴される、遠くの国。

*****

道長からの手紙を胸に、いそいで家に入るまひろ。

それを待ちかねたように飛び出してきたのが、いと。
高倉の女のことがよっぽど気になってたんだろうなぁ。

「いかがでございました?」(いと)
このセリフの後の、まひろのセリフがどうにも早口過ぎて聞き取れない。
なんて言ったんだろ。

でもたぶん、「聞き取れないくらいの早口で返事」したんだから、「聞き取れないのが正解」なんだろうな。

*****

道長からの手紙を急いで開く。

「古今和歌集・・・なんで?」(まひろ)

道長からの和歌。
「そなたを恋しいと思う気持ちを隠そうとしたが俺には出来ない」

(挟まれる、散楽一座の埋葬シーン)

「あの人の心はまだあそこに」(まひろ)

まひろからの漢詩。
「これまで心を身体のしもべとしていたのだからどうしてひとり、くよくよ嘆き悲しむことがあろうか」

道長からの和歌。
「そなたが恋しくて死にそうな俺の命。そなたが少しでも会おうと言ってくれたら生き返るかもしれない」

(読んだ後、うっすら微笑んでいるようにもみえるまひろ)

まひろからの漢詩。
「過ぎ去ったことは悔やんでも仕方がないけれど、これから先のことはいかようにもなる」

道長からの和歌。
「命とは儚い露のようなものだ。そなたに会うことが出来るなら命なんて少しも惜しくはない」

まひろからの漢詩。
「道に迷っていたとしてもそれほど遠くまで来てはいない。いまが正しくて昨日までの自分が間違っていたと気づいたのだから」

すれ違い。
ひとことで言って、すれ違い。
かみ合ってないよ。

*****

藤原行成に、まひろとの文のやり取りについて相談する道長。

「でも…道長様には好きなおなごがおいでなのですね」

えっ。またBL!?
行成は道長がお好み???

「いや・・・少し分かった」(道長)
(にこぉ…と微笑む行成)
「お役に立てたなら嬉しゅうございます」(行成)

*****

道長姉の詮子と道長の会話。
「ふたつの源氏を掴んでおけば安心でしょう?」

さすがです、姉上。
親譲りの才覚。

*****

姉上詮子との会話の後、「宿命」ということを考えた道長。
まひろにまた手紙を出す。

今度は漢文。
「我もまた君と相まみえんと欲す」
(あなたと会いたい)

困ったような顔をするまひろ。

一貫して、道長はまひろに会いたいとそればかり。
対するまひろは、散楽一座の経験を胸に次の段階へと進んでしまっている。
道長は、まだ次の段階に進んでいないのだ。

*****

いつもの六条の屋敷に行くまひろ


待ちかねた道長にガバッと!

びっくりしたー。
まひろ、びっくりしなさいよ。
いくら待ち合わせしてたからって、いきなりガバッとは、ないでしょー。

「一緒に都を出よう」

えっ。マジか。俺の女になってくれ、じゃないの?
正妻としてむかえるのは無理だけど、大事にするから。
・・・とかそんな感じでしょ?

「海の見える遠くの国へ行こう。俺たちが寄り添って生きるにはそれしかない」

そんなことないって!!!
普通に、右大臣家の三男坊と愛人ってことでいいじゃないの。
身分の低い愛人がいるからって別に問題視されたりしませんってば。

全部捨てるから、俺と一緒に来てくれ、という道長。
「道長様・・・嬉しゅうございます」と答えるまひろ。

えっ。マジか。嬉しいか、それ?
まひろが道長と同じステージに立ってるのなら、嬉しいかもしれないけど。
もうまひろは散楽一座の件で次のステージに進んじゃったでしょ。

今さらそんなこと言われても、もう喜べないよ。

まひろが一回家に帰ったら、あれこれ考えて、もう行く気が失せちゃうだろう。
「だからこのまま行こう」という道長。

えっ。当然、道長は準備万端で来てるんだよね?
何もかも捨てて遠くへ…って本当に何もかも捨てるわけじゃないよね?
とりあえず当座の資金とか用意してるんだよね?

まさか手ぶら?
そこまでお坊ちゃんじゃないよね?

「まひろも・・・父と弟を捨ててくれ」

ねぇ…。
ちょっと自棄になってない?
兼家からの業務命令が重い作戦の一部過ぎて、現実逃避したくなったんでしょ。

まひろのこと、目の前にちょうどいい女がいるって思ったんでしょ。

「大臣や、摂政や関白になる道を、本当に捨てるの?」

言ってやれ、まひろ。
なんでも出来る地位につけるのに。
私なんか頑張っても(女だから)無理なのに。

恋に目がくらみ、そのうえ父の謀から現実逃避したいお坊ちゃん。

花山天皇も大変だけど、こっちも大変だよねぇ・・・。

「俺の願いを断るのか」

えっえらそー。笑
よっ!いいとこの三男坊!

「ひもじい思いをしたことのないあなたが、生きてくために魚を獲ったり、木を切ったり、畑を耕している姿・・・」

つまるところ、それよ。
現実的じゃないのよ、遠くの国へ行こうっていう話は。

だから、ねえ道長。
悪いことは言わないから、愛人にしときなさいって。

*****

「どっちも。幸せで悲しい」

道長とまひろは結ばれた。
史実は知らんが、このドラマではそういうことでいいと思う。

まひろは、道長と思いが通じ合って幸せ。
でも、この幸せが続くものではないと理解しているから悲しい。

*****

運命の、六月二十三日の夜


女性用の桂をかぶってこっそり移動する花山天皇。
途中でよしこの手紙を忘れたことに気がつく。

そこだ!そこだよ、花山天皇。
道兼が天皇の文箱を開いたのか?ってもっとしっかり突っこめ!
丸め込まれるなぁ~。

やがてふたりは首尾よく牛車に乗り込む。
牛車の後ろのすだれを引き上げていたものを、思い切りびしっと引いて、すだれを下ろす道兼。

あっ。ちょっと待って。
もう一回見せて。
うーん。よく見えない。

すだれ、どういう風に持ち上げられてたんだろ。
びしっと引くだけで、さっとカッコよく下ろせるって、どういう仕組みなの?
気になる~。

*****

「揺れるのう」
「夜明けまでに剃髪なさらなければ、よしこさまは救われません」

時間内に事を終わらせるべく、牛車は夜道を急ぐ。
よしこさまを出せば、なんでもOKだと考えている道兼。
よしこさまを出されれば、なんでも
OKな気がしてきちゃう花山天皇。

いやいやいや…。
気づこうよ、花山天皇。
なんかおかしいって気づいて!
気づいても、遅いけどね。

*****

事が成り、関白の元へ「行ってまいります」と道長。
凛々しいお顔ですこと。

まひろの前で現実逃避しそうだった時とは大違い。

あのさー。
結局、まひろと結ばれちゃったけどさー。
意見の相違はどういう風に落ち着いたの?

道長は遠い国へ行こうって、現実から逃げようとしてて。
まひろは現実を最大限利用して、世の中をよくしようって言ってて。

気持ちは平行線だったのに、どうして結ばれちゃったの?

結局、まひろの言うとおりにしようってことになったの?
そのうえで、まひろとはこれまで通りに会いたい…ってこと?

なにかしら気持ちのふんぎりがついていて欲しいものだけど。
そのあたり、どーなん?

*****

「道兼、次はお前の番じゃ」
「私は・・・これにて失礼いたします」

ぶっ。
所用が…とか誤魔化して、一回帰ってからまた来るとか言うのかと思った。

「おいっ待て道兼!」と言ったときの花山天皇。
いや、花山院。
目が久しぶりに覚醒してた。

「よしこーよしこー」って言ってた時とは目が違った。
さすがに正気を取り戻したね。
あきらかに騙されてようやく気づくとは。
残念。

*****


ふー・・・。
次回予告も目が離せない。
愛人にしとけってばー!


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