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ただひたすらじっとしている

2008年に制作したLinesをベースに8枚のフレームで構成した作品『Lines 〜あの空の向こうはこの空〜』。2011年に新宿ゴールデン街Naguneで開催した個展「Under the sky-あの空の向こうはこの空-」 では、空の繋がりをイメージして、8枚のプリントアウトパージョンを制作。その後、『かかわりのアート』展 (霧島アートの森 鹿児島 2013)に向けて、タブレット8枚を使ったバージョンへと発展しました。

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それぞれのフレームが、夜明けから夜更けまでの空の色をバックグラウンドとしていて、その中を飛行機がゆっくりと飛んでいきます。フレームの前で身動きせず佇んでいると、綺麗な飛行機雲がまっすぐに描かれていきますが、体を動かすと飛行機雲は途切れてしまう。何かすることが求められるのが一般的なインタラクティブアートですが、何もしないことをするという、逆説的な作品でもあります。

作品のきっかけは15年近く前にラオスを訪れたとき、年配のガイドさんが空を見上げて、「ラオエアだよ」といいながら誇らしげに自国の飛行機を目でおっていたのが印象的で、当たり前だけど、飛行機が国と国をつないでいるんだということや、飛行機は空が世界と繋がっていることの象徴でもあるんだということを強く感じたのがアイデアの発端だったように思います。

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この作品でお客さんは、ただひたすらじっとしていることを求められるのですが、体を揺らしては止めて綺麗な点線を描いているお客さんを見かけたときは、想定を超えた遊び方が面白くて、後ろからニヤニヤしながら眺めてしまいました。


※写真は過去の展示風景です。
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あさのこうへい「あそぶミュージアム 旅する光の世界」
2020年09月01日(火)〜2020年10月18日(日)
http://www.earthplaza.jp/event/20200901asano/


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