『色についての話』価値観を変える赤
『色についての話』
原色の赤が少し苦手。
色に関しては、洋服屋という仕事柄もあってか、ほとんどの色に対して食わず嫌いもしないし、抵抗はない。若い頃(今から20年前)その当時はまだ男性がピンクを着ることに多少の抵抗があった時代。その頃はピンクがマイブームだった。
『男は着ない』
『みんなは着ない』
そんな枕詞が付くと、我こそわ!と名乗りをあげずにはいられなかった、若かりし頃の思い出。
そんな私ですが、幼少期は色白ぽっちゃりの、それはそれは可愛らしい子供でした。(自分で言うなって?)
そう、色白をいいことに、娘の欲しかった母親は女の子が着るように色も着せてくれました。
『色白は正義』と、叩き込まれたのはこの頃。
きっと三つ子の魂百まで。を地でいくよしくん。
実は、そんなよしくんにも苦手な色がありまして。
それは『赤』。似合わないわけじゃないんだけど、なかなか手に取らない。なぜだろう。
特に洋服全般。なかなか着ない。周りからは似合うよ!もったいないよ!と言われるんだけど、買ってみても、手に取らない。だから買わない、そんな選択を繰り返してきた色。繰り返されるこの感覚が苦手意識を生んだのか、唯一無二活かせていない色。
しかしここ数年、自分の中のスタンダードが飽和してきて。自分らしさを追求するあまり、大好きなネイビーばかりを買い漁る。買い漁る。元がしつこい性格なので、突き詰めるネイビー。これでもか、これでもか!とクローゼットに溢れかえるネイビー。
そここら少しだけ気持ちに変化が生まれて、手持ちのネイビーを活かそう!と気づいて、突如訪れたアースカラーブーム。特にカーキ。
トップスも、パンツも。コートもシャツも、カットソーも、スニーカーも。今度は家に溢れかえるカーキ。
『ワントーン』なんて魔法の言葉に騙されて。
カーキもワントーンならネイビーもワントーン。
差し色。なんて言葉を忘れるくらいに、ワントーンワントーンに陥ってしまう始末。自分では色の魔術師だと思っていたのに、気づけば手持ちはアースカラーとネイビーばかりに。
ちょっとだけ食傷気味で、何か変化を求めていた。
色を求めるあまりに、色に追い詰められたような感覚。好きなものを買いたいのに、好きなものが買えない。不思議なジレンマに陥る。そんな時、展示会での何気ないやり取りの中で、お世話になっているULTERIORのデザイナー、牧さんとの会話の中での閃き。閃いたのよ、本当に。
谷崎潤一郎氏の陰翳礼讃。ULTERIORのファーストコーレグションより引用されてきた本。お客様から本を借りて読み直してみて(ごめん、そろそろ返さなきゃね)光と影の関係、色の濃淡、彩度。
僕に降りてきた閃き。
『自分の好きな赤作っちゃえばいいじゃん』
って事で、依頼したガーネット。狙いとしては僕と同じような感覚の方に向けて。
①ネイビー好きが取り入れやすい
なんといっても、僕のお店でのネイビーの支持率の高さたるや。先日お伝えした15周年
15年間、僕の中での主力のカラーはいい意味ではブレることなくネイビー。
悪く言えばよくも飽きずにネイビー。
そんなネイビーを活かせる色。原色の青と赤では成し得ないそんなバランスになる僕らのための色。②飽きの来ない色である
せっかく買ったら、長く着て欲しい。他にはない色になるからこそ、あくまでも『定番』として捉えてもらえる色がいいなと。飽きないけど、なんらかの印象をもたらす色に。
ここがなかなか難しいところ。③赤好きにも認めてもらえる
とはいえ、あくまでも『赤』だから赤が好きな人にもちゃんと選んでもらえるように。
壮大なビジョンを叶えて生まれてきた僕の我儘カラーのGARNET。ガーネットはなんとなんと、僕の誕生石の色であります。(一月生まれ)ちなみに神足も同じ誕生石。
避けていたはずの赤だけど、こうやっていろいろ考えると『縁』のある色なんだなと。
こんな小さなきっかけで、好きになれちゃう。
そんなこんな僕の思いを載せて。
色の好みなんて、主観的に捉えてるだけだから、食わず嫌いしてるのは損なことです。(お前が言うなってね)今更ですが、この色と出会ってから、真っ赤な赤も、くすんだ赤も、好きになれました。
去年もたくさん着ました。ロンTで。
けどね、今年は半袖が着たい!!ってことで今年も推していきます。
ジャケットのインナーとか、シャツの中。一枚でも。今年はもっともっと着たいので、2枚買う予定です。
元来、人と同じ。よりは人と違う。を求めてきたし、少し天邪鬼な性格をしてるからこそ『色』にはこだわりを持ちたい。
共感してもらえる人に着てもらえたら幸いです。
こうやって新しい色を取り入れることで
新しいインスピレーションが生まれてきます。
やはり新しいインプットって大切。化学反応(ケミストリー)は大袈裟な比喩だけど、手持ちの洋服、ワードローブのアイテムたちも、新しいアイテムを加えることで、見え方に変化が生まれる。
絵画を見たり、アートを見たり、今だったらグラフィックとか、CDのジャケット、雑誌の表紙、さまざまなものに触れて、インスピレーションにしてみて欲しい。
インターネットの発展で、ウェブ上でなんでも知れるし、見れるんだけど、生で見たり、触ったりすることでしか、知り得ないもの、もっと大切にしていきたい。
このTシャツの色、うちの吉村が、カメラの技術と機能を駆使して、色の表現も、質感も、最大限に実物を再現してくれてるんです。
それでも、『触った感じ』『着た感じ』のインパクトだけは再現不可能。この色も、自然光の下で、身につけた感動と共に、味わって欲しい。
余談なんだけど
最近の『色』のインスピレーションは『お花』や『植物』。やっぱり季節の旬、今しか咲かない花の色から、インスピレーション。
このお花の落ち着いた『赤』
発色は良いけど派手じゃない『黄色』
赤はまさしく今回のガーネットにも通ずる雰囲気。
自然界のインスピレーションを、ぜひあなたのコーディネートにも落とし込んでみてください。
may the force be with you!!!
あさの
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