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Nina Ananiashvili Don Quijote Kitri Var
ニーナ・アナニアシヴィリのキトリ。 はぁ…なんて可愛い人なんだ。 ロパートキナのマリインスキーとニーナのボリショイは、同じロシアのバレエ団でも、だいぶ雰囲気が違う。 マリインスキーは芸術としてのバレエ。 容姿端麗で、ロシアの至宝と呼ばれる技術を持ちながら、誇張せず、見せつけず、優雅で繊細で幻想的で、それでいて女王の威厳を持ったロパートキナそのものというイメージ。色に例えたら気高い純白。 ボリショイはエンターテイメント性が高いと言えば良いのでしょうか。色に例えたら鮮やかな赤。ニーナの華やかな容姿と、桁外れの身体能力が繰り出す技の数々。表情豊かでドラマチックな演技。どう?すごいでしょう?綺麗でしょ?わくわくするでしょう?見て!楽しんで!と語りかけてくる様な踊りがそれを象徴している。 華があるとはこういう事か。 高く上げた脚から、爪先から、指先から、キラキラと音楽が聞こえてくるみたいだ。 そして笑顔。明るく温かい人柄がにじみ出ている。世界中が魅了されたのは、技術よりもまずこの笑顔だろう。 この人はバレエをやっていなかったとしても、周囲の人を幸せにして愛されただろう。 踊れなくても笑顔はお手本に出来るよね。 笑っていこー。 #バレエ #ロシア #ニーナアナニアシヴィリ #ボリショイバレエ
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プルシェンコ 『ニジンスキーに捧ぐ』 2004 RN 芸術点オール6,0 Plushenko
前回のセルゲイ・ポルーニンとよく似た境遇のエフゲニー・プルシェンコ。彼は私と同じ1982年に産まれた。 彼を初めて観たのは、2002年のソルトレイクシティオリンピック。何か迷いを振り払う様に、氷上で必死に踊り狂う金髪の少年に、目が釘付けになった。 当時の私は、ぐうたら短大生で、就職も決まっていなかったけど、実家暮らしだし何とかなるっしょ。氷河期だし仕方ねー。なんて思ってた。 彼の生い立ちや、当時置かれていた状況に関して、何の予備知識もなかったけど、彼が闘ってきた19年と、私が親の保護下でぬくぬくフワフワと生きてきた19年が、全く密度の違うものである事を、思い知らされた感じがして、どうしようもなく、恥ずかしく情けなくなった。 後で分かった事ですが、私が観たのはフリーの演技で、プルシェンコには同国のアレクセイ・ヤグディンという、ものすごいライバルが居て、常に二人だけ異次元の優勝争いをしていた。オリンピックもどちらかが金メダルと言われていたけれど、プルシェンコはショートで大崩れしてしまい、余程のドンデン返しがない限り、優勝は無いとみられていた。 結局、このオリンピックはヤグディンが優勝。彼の演技はショート・フリー共にパーフェクト。王者に相応しいものでした。 それから再びプルシェンコを観るのは、次のトリノ五輪だったのですが、ここで彼は圧勝するんですよね。日本のアナウンサーに「表彰式というよりも戴冠式」と言わせるほどの、圧倒的大差で。 でもその時、既に身体はボロボロだった。膝の半月板の負傷に鼠径ヘルニア。度重なる怪我と手術…。神様、もう少しだけ時間を下さい。彼がベストな演技が出来る様に…まだ20代ではないですか!と思わずに居られなかった。 ルール改悪に異議を唱える意味も込めて、休養から復帰し、出場したバンクーバー五輪でも身体の痛みがあり、四回転を決めたものの銀メダルに終わる…。 四年後のソチ五輪では、背中の激痛で途中棄権。何と過去の手術で背中に入れたボルトが折れていたそうな。宇宙空間でも耐えられる、とお墨付きだったらしいのですが、どれだけ過酷な練習をしてきたのか。そのまま滑って居たら、命の危険すらあった。棄権は誰も責められない。誰よりも、彼自身が祖国ロシア開催のオリンピックで滑る事を望んでいたのだから。 そんな彼の演技で一番素晴らしいと思うのがこちら。2004年ロシアナショナル「ニジンスキーに捧ぐ」ニジンスキーとは伝説のバレエダンサー。セルゲイ・ポルーニンは現代に蘇ったニジンスキーとも言われています。 ニジンスキーが演じたバレエの振り付け、ポーズを、散りばめた芸術的なプログラム。バレエの天才とフィギュアの天才が、時代を超えてひとつに重なる様でゾクゾクする美しさです。 この演技の芸術点で、全てのジャッジが、当時の採点方法で満点に当たる6.0を出しました。現代の採点方法でみると、ソルトレイクでのヤグディンも、このプログラムも、あまり点数は出ないと言われていますが、そんな事はどうでも良い。美しいもの、すごいものは誰が観ても美しいし、すごいのだ。 ニジンスキーもセルゲイやプルシェンコと同じく、大き過ぎる才能に悩み苦しみ、最期は狂気の淵に堕ちてしまった人物です。天才を理解できるのも、演じられるのも天才だけ。 このプログラムを演じるプルシェンコは、この世では無いどこか別の世界にいる様で、これを演じているのは、本当に生身の人間なのか?とすら思わせる気迫を感じます。 彼は長くフィギュアの皇帝と呼ばれ、その意思は、ロシア国内はもちろん、日本の羽生結弦選手にも引き継がれています。現在は自身の名前を冠にしたアカデミーも設立して、後輩の育成に取り組んでいる。 彼がこれからもフィギュアを愛し続けられます様に。それからくれぐれも身体を大事に!と願わずにいられない。彼はよく後輩達に「ステイ、ヘルシー」という言葉をかけていて、とても温かくて優しい言葉なんですが、当の本人が一番出来てない。いつも手術からの練習再開が早過ぎるし、つい最近も首を痛めたらしい。全く、それあなたが言いますか?オブ・ザ・イヤーだ。 #エフゲニープルシェンコ #フィギュアスケート #ニジンスキー #ロシア
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Sergei Polunin, "Take Me to Church" by Hozier, Directed by David LaChapelle
映画『DANCER』を観てきました。 邦題が『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』と、長ったらしく説明的なのは、彼が史上最年少で英国ロイヤルバレエのプリンシパルになったものの、僅か2年で電撃退団した為、「ヌレエフの再来」「21世紀のニジンスキー」とまで言われる天才でありながら、日本での知名度が低い為でしょうか。 映画化が決まり、日本のTVに出演した彼を観て、初めてこの動画を観た時は、重力無視の跳躍!ブレない回転!完璧なポーズ!とその技術と身体能力に興奮したのですが、映画の終盤で同じダンスを観た時の感想は全く違うものでした。 映画はドキュメンタリー方式で、セルゲイ本人、家族、ロイヤルバレエ時代の仲間、恩師達のインタビューと舞台映像で、彼の生い立ち、人となり、電撃退団の真相、その後の復活までが明かされていきます。 ここからはネタバレ含みます セルゲイはウクライナ・ヘルソンの貧しい家に生まれたのですが、彼の才能に気づいた家族は、自分達とは違う人生を切り開いて欲しいと願い、家族一丸となって彼の才能に賭けた。父と祖母は、彼を名門キエフバレエ学校に通わせる費用を捻出する為、外国に出稼ぎに。セルゲイ少年は母と2人で田舎を出た。 バレエ学校で彼の才能は飛び抜けていた。それを見た母は、次の決断をするのですが、これがすごい。息子の才能に相応しい場所として選んだのは英国ロイヤルバレエ。試験の為に2人で渡英し見事合格。しかし母は英国に残れない。ビザが無いのだ。不法滞在も考えたが、それが息子の足を引っ張るのでは本末転倒。泣く泣く1人帰国した。これは相当な覚悟が無いと出来ない決断だと思う。 卒業後の彼の活躍は言うまでも無く、ここで後々彼を助けてくれる、沢山の友人も得るわけですが… 家族と再び一緒に、幸せに暮らす為に、言葉も分からない英国で、自分の才能だけを武器に戦う。これって健気で可愛いとか、そんな次元の話じゃない。自分に全てを賭けた家族の為にも、逃げる事も失敗する事も許されなかった。必死に努力した結果、家族をバラバラにしたのもまた、その才能だったとしたら?最大の目的を失った彼は次第に追い詰められて行く… タトゥー、夜遊び、ドラッグ… メデイアは刺激的な部分だけを拾って、天才の破滅と煽って更に彼を追い詰めた。ロイヤルバレエを退団した時も、驕り高ぶった若者の身勝手な行動と非難した。そんな悪評から、彼を受け入れるバレエ団はなかった。 ロシアに渡ったセルゲイは、オーディションバラエティ番組で踊った。その場で審査員に採点されるのだ。英国ロイヤルバレエのプリンシパルが踊るような場所ではない。観ていて泣けてきた。しかし素晴らしい舞なのだ。 当然、目の肥えたロシア人達にも認められた。ロシアでセルゲイは最大の理解者に出会い、彼の舞台で踊る事になり、しばらくは充実した日々を送る。だけど大き過ぎる才能故、また行き詰まる。 普通の生活が欲しい…と引退を決意した彼はロイヤルバレエ時代の親友に振付を依頼する。それがこの動画。 歌詞の日本語訳と共にこの動画が流れた時、自分の前後左右の席から、すすり泣きが聞こえた。私も泣いていた。天才の苦悩なんて分かるはずも無いのに。分かるとか分からないとか、そんなことを超えた何かを彼は伝えていた。光の差す教会で踊る姿は、まるで祈っている様だ。 引退を決意して撮ったこの動画は、大きな反響を呼び、結果彼に再び踊る道を示した。 飛んでいる時だけ、本当の自分になれる。 セルゲイはそう言った。踊る事が楽しくて、家族が喜んでくれるのが嬉しくて仕方なかった頃から、変わっていないのだ。 舞踏の神様に愛された彼が、どうかこの先も長く、踊る事が好きだと思っていられますように。それが1分1秒でも長く続きます様に、そう願う。 #バレエ #セルゲイポルーニン #DANCER #映画
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Tatsuki Machida SP 2014 WC
来週アイスショー観に行くのですが、特に楽しみなのが町田樹氏です。彼、独創的ですよね。アスリートと言うよりアーティスト。 羽生結弦がプルシェンコの影響を受けたなら、町田樹はアレクセイ・ヤグディンやステファン・ランビエールに近いように思う。 町田樹のプログラムで一番好きなのがこちら。『エデンの東』です。翌シーズンのSP『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア』も大変素晴らしいので迷いましたが、やっぱりこちらですね。 このシーズンのテーマは「ティムシェル」日本語にすると「汝、意思あらば、可能ならん」「汝、治むることを能う」という強力な言霊。使う対価は覚悟。それを体現する様に、グランプリシリーズ・全日本で結果を出し、オリンピック代表に選出される。そして世界選手権で銀メダルを獲得。 演技後のコーチのリアクションからも、会心の出来だった事が分かります。コーチ陣が良い人オーラダダ漏れで、涙ぐみながら「やったな!」って労う様子が最高です。でも本人は演技後にガッツポーズとかしないんですね。リンクから出るまでを全て作品として演じ切ってる。表現者として魅せる事を一番に考えて。もちろん試合ですから、勝ちたいと言う気持ちも当然あったでしょうし、実際金メダルの羽生選手とはかなりの接戦で、観ている側もこれはどちらが獲るかわからないぞ!と手に汗握って見守ったかなり熱い大会でした。 「ティムシェル」を完成させたこの演技は、世界中の解説者が絶賛し、かなり興奮気味の実況もあります。やはりすごいものは誰が観てもすごいのだ。 バンクーバー五輪前からのルール改悪にはうんざりでしたが、採点や順位なんて関係なく、すごいものを魅せてくれる人達が居るから観るのやめられません。 #フィギュアスケート #町田樹 #エデンの東
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世界的なバレリーナ、ウリヤーナ・ロパートキナとは!?映画『ロパートキナ 孤高の白鳥』予告編
7月公開の『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』にも出演している、ウリヤーナ・ロパートキナ様。公開時観損ねて、近所にTSUTAYA的な店もなく、時間だけが過ぎていましたが、やっぱり観たいのでDVDをポチろうかな。今は美しいものを大量摂取したい時期の様です。この方は世界最高の白鳥と呼ばれ、ロシア・マリインスキーバレエ伝説のプリンシパル。パリ・オペラ座で、史上最年少エトワールになったギエム様は、オデットでもキトリでも何を演じてもギエム様で、圧倒的な存在感に引き寄せられて、前のめりになって観てしまうし、許されるなら至近距離でガン見したかったけど、ロパートキナ様の白鳥は、近付いたら消えてしまいそうな繊細さと儚さで、遠くから息を潜めて見つめていたくなる。 最近、観劇欲が高まっています。映像は沢山あるけど、やっぱり生で観たい。好きなダンサーやスポーツ選手や歌手や役者が居るなら、迷ってないで可能な範囲で観に行ったら良い。みんないつかは引退してしまう。ギエム様もロパートキナ様も、生で観たことは一度も無いし、浅田真央選手も現役時代に遠くから一度きり。永遠は無い。だから美しい。同じ時代に生まれ、目にすることが出来る幸運に感謝。 #バレエ #ウリヤーナロパートキナ #ロシア #マリインスキー #白鳥の湖