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「稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方」 作者:稲盛和夫

稲盛和夫は、「盛和塾」という経営者の集まりを長年続けていた。真摯に経営を学びたい経営者が入塾し、全国、そして海外にまで会員が広がり、国内56塾、海外48塾と、「組織」といっても差し支えないであろうほどになっていたが、2019年末に閉塾した。その時の塾生数は約15,000名であったという。
その発端は、1983年に講演を聴いた若手経営者から、どうすれば経営が上手くいくのかを教えてほしいと懇願されたことからだったそうだ。

一人でも生きていくのが大変な世の中で、経営者はたとえ中小零細企業であろうと、従業員とその家族の生活を守っている。重い責任を背負う経営者たちが、お互いに腹を割って悩みを打ち明け、励まし合い、研鑽する場として、盛和塾活動は広がっていった。
と、本書の前書きに於いて、著者の稲盛氏は語っている。
そして塾生たちは、「心を高め、会社業績を伸ばして従業員を幸せにすることが経営者の使命である」とする氏の経営哲学を熱心に学び続けた。
盛和塾では、講義の他に、「経営問答」と呼ばれる経営指導の時間がある。塾生が実際に直面している経営上の問題を赤裸々に発表し、これに対し、稲盛氏が真剣に考え、アドバイスを与えるというものである。
その「経営問答」の一部をまとめたのが本書である。
本書では「高収益企業のつくり方」にテーマを絞っており、各章毎に稲盛氏の考えを述べ、その後に関連した問答を掲載するという形式を採っている。

多角化に挑むにはどうあるべきか。その時経営者に覚悟と集中力はあるか。
M&Aの真の秘訣は経営者の徳。
目標達成者には、報酬ではなく栄誉と賞賛を。
技術力も優れ、販売力も優れ、従業員の心も優れ、人間関係も優れ、あらゆるものが優れていて初めて強い会社になる。

経営者の悩みは様々だ。
しかし、その悩みの本を正せば、いかにして高収益企業となるかということに繋がることは多い。
そして、現状を打破するために経営者が下した選択が正しいとは限らない。
稲盛氏は、成長を求めるばかりに、本来すべきこととは異なることをしようとしているのではないかと、しばしば異論を唱える。
その投資は必要なものか?
現場に出て、汗まみれになって仕事に精通せよ。
知恵を使って、既存事業に集中して利益を伸ばせ。
売上の大きさを追わず、採算を高めよ。
あなたは、本当に会社の現状をきちんと捉えているのかと説諭を与えるのである。

そしてなお言うのだ。
心の底からの強い願望が高収益の原動力であると。



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