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Rambling Noise Vol.73 「ONE FROM THE HEART その3」

さて、その当時は家庭用ビデオデッキなんてものはまだ無かった。だから当時の少年少女は、大好きなテレビ漫画や特撮番組を懸命に真剣に鑑賞し、その眼に焼き付け、その耳で覚え込んだのだった。

オンデマンド放送や、ネット配信など夢にも思い浮かばないそんな世の中だったからこそだが、その記憶(たまに誤解)は絶対的だ。


そして、娯楽&情報源のもう一方の雄である本。ガキにとって本といえば、そりゃ漫画だ。

アサノさんは、ガキの頃からアホだったが国語は出来た。

それは、漢字にしても、文意にしても、言い回し、ヒロイズム、カタルシス、その他諸々にしても、それらは漫画で基礎造りをしたというワケだ。
それはそうだ。漫画の登場人物には、同世代の子供もいれば大人もいるのだから、その気になれば様々な語彙を吸収出来るのが理屈と言うもの。

そう、あれ。
堀江貴文さんの著書にある言葉に依ればこうなる。
「知的冒険の旅は、マンガを入口として始まることだってあるのだ(『疑う力』より)」
「同じ時間で最も情報密度が濃いのはマンガ。いま高名な学者や知識人のほとんどは、若い頃にマンガの影響を受けている。賢くなるためにマンガを活用する考え方は、もっと支持されるべきだ(『スマホ人生戦略』より)」

知の習得。

それに加えて、アサノさんにはとって数少ない娯楽だから、好きな漫画は何度も読む → 好きだからなんか模写してみる → 上達する → 楽しくなる → 暇があれば絵ばっか描いている → ついでにストーリーを考えてみる → 漫画家志望の出来上がり、という行動科学が成り立ったのだった。

そして中学生になって知った松田優作もアサノさんにとっての影響は大となった。

漫画もいいけど映画もネ。

晴れてアサノさんのガキの頃の夢は、漫画家かアウトローへと到達したのだった。めでたしめでたし。

えらいことだよ、おとっつあん。
止めてくれるな、おっかさん。
おっと、そうは問屋がdo not wholesale.

何故ならアサノさんの居場所は、茨城県の片田舎。鈍行列車で上野駅まで一時間半(だったかな?)。
実は、日本にインターネットが誕生したのは1984年であったりするが、そんなモンが世に幅を利かせるのは、中学生当時のアサノさんからすれば十六年後のこと。

行動出来ることの選択肢はめっちゃ少ない。

というか、無い。

自由を得る為には、大人になって上京するしかないのだった。

(続く)

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