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Rambling Noise Vol.18 「メルマガナイトへGo ahead! その6」

・・・こうやって書いていても、そしてアサノさん自体が今から思い返してみても、当時何故そんなに頑なボーイだったのか、不思議といえば不思議に思うのだが、それが当時のアサノさんのナチュラルだったのだから仕方がない。
しかも、修学旅行の後、なんのわだかまりもなく卒業までちゃっかり高校生活を過ごしていたのだから、う〜ん、どんだけ無神経な、鈍重なヤツだったのだろう。

人からどう思われようとも、自分のしたくないことは死んでもしたくないという、おかしなガキンチョだったのだ。多分。

ほんと、変なヤツ。


しかし、人というものはなかなか面白いもんであったりする。
修学旅行ってのは、サボったらしっかり旅行積立金が返還される仕組みになっていて、ほいでそのお金が戻ってきた際には、アサノさんのお父ちゃんは、「サトシは、きっと家計のことを考えたに違いない」と、勝手にいい感じに思い違いをしてくれたらしかった。
旅行のお金が戻ってくるなんて、アサノさんはちっとも知らなかったし、家計のことなんてもんは金輪際これっぽっちも考えてなかったというのにね。

因みに、アサノさんちは別に貧乏って迄のことはなかったけれども、消費に対してあんまり積極的な家庭ではなかったのは確かで、焼肉とかステーキとか、すきやきとかしゃぶしゃぶとか、うなぎとかフグとかってもんをアサノさんが食したのは上京してからだった。
お肉と言えば、もっぱら挽肉オンリーだったので、初めて焼肉屋へ行った時は辟易したものだ。

あーんど、家族旅行なんてものは一度もしたことがない。
亭主関白で口やかましいカミナリオヤジだったお父ちゃんに対し、珍しく冗談めかしてお母ちゃんが、「お父ちゃんは全然旅行に連れてってくれない」となじった時のお父ちゃんの返答がこうだ。

「だって、オレ社員旅行で行ってるからいいんだよ」

立派なクソ親父である。


さてさて。
まぁ、アサノさんにとっては、お父ちゃんがどう勘違いしようが、そりゃどうでも良いことだったので、わざわざそこを否定してさらにややこしくさせることまではしないでおいた。

うん。そのくらいの知恵は残っていたんだね。いやよかった、よかった。


なお、アサノさんの高校時代のクラスメイトたちにとって、この出来事はずっと謎の事件であったらしい。
それもなんだかなぁってお話ですが、なんということか、アサノさんが上京した後、

アサノさんの実家は知らないうちに引っ越しをしていた。


アサノさんが二年くらい振りに実家に電話してみると、『お掛けになった電話番号は現在使われておりません。新しい番号は・・・』と言う音声ガイダンスが流れてきた。
慌ててメモした番号に改めて掛けてみれば、電話口に出たお母ちゃんが発した第一声が、

「あー、サトシ。引っ越ししたんだよ」

だったと言う。


ううん。でもアサノさん。まぁ、二年間も連絡をよこさない者を気にする必要もないという説もごもっともでありますよ。
お互い様。ねぇ。

(続く)


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