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野鳥の話|ムシクイ|愛は知ろうとすることから始まる


※見たことのない鳥(ムシクイ)について書いています。
※ムシクイの写真は出ない代わりに、虫が出ます。


まだ見たことがない鳥に、ムシクイがいる。

ムシクイ?ムシューダ?
とぼけている私を置いてきぼりにして、鳥好きの人たちの間では最近この鳥の話題で持ちきりだ。


例えば昨日。
友人と久しぶりに連絡が取れたと思ったら「ムシクイは撮るのが難しい(>_<)」と言っていた。

今日。
鳥類関係の仕事をしてる弟が、家族ラインにムシクイの写真を送ってきた。タイムリーだな。

今朝だって。
鳥見に出かけた先で出会ったベテランバードウォッチャーの方が、「先日ここでセンダイムシクイの鳴き声がしたんですよ」と教えてくれた。

「そ・そうなんですか…!」

その価値をわかっていないのがモロにバレるような反応をしてしまって、ごめんなさい。



ムシクイってなんだっけ?と思って調べてみる。
センダイムシクイ、エゾムシクイ、オオムシクイ、いろいろいるぞ。いるけど。



言ったら悪いが、なんでそんな話題になるのかわからないような、ちょっと奥ゆかしいオリーブ色の見た目をしている。ウグイスに似てる、と思った私はバードウォッチャーとしてど素人なんだなと自覚する。
伸び代しかない。


そもそも、ムシクイという名前にも違和感がある。
虫なんて誰でも…と言ったら語弊があるけど、多くの鳥が一般的な食材として食べてるじゃないか。
虫を食べるのがムシクイなら、

これはヤマガラムシクイ。

ヤマガラ改め



これはエナガムシクイ。

エナガ改め


これはカワセミエビクイ。

カワセミ改め


こんな感じで名付けていかないと。


と、ここまでゴチャゴチャ言ったけど、実際に出会ったら態度が180度変わることがわかってる。

自分で出会った鳥は別格だ。
その鳴き声、ふるまい、飛び方、色の感じ、纏う雰囲気、そういうのがリアルな実感を伴って記憶に刻み込まれる。

これは一種の感動体験だと思う。知らなかったことを知ることの。そして好きになる。そのうえでもっと知りたくなる。

例えば上にあげたヤマガラやエナガ、カワセミは、実際に見るまであまり気に留めていなかった。だけど今は、横を掠めただけでどの種類かピンとくる。鳴き声がする方向を探す。今日はどんなふうに餌をとるのかと、その動きをじっと観察してしまう。

これを「好き」と言わずしてなんという。
だけど、この「好き」はどこから来てるのだろう?

かわいいから好き?
たしかにかわいい。

でもルックスが良いというのとはちょっと違う。

「愛らしい」。
これがしっくりくる。たぶん、情なのだ。知るために費やした時間の蓄積がもたらす、一方的な情。解像度が上がるほどにむしろ高まっていく、一方的な関心。

だからこそ、ひとたびムシクイに出会えば(もしくは時間をかけて学べば)、「他のどんな鳥とも違う、もちろんウグイスとも違う。個性的で素晴らしい鳥じゃないか」と言うだろう。わからないけど。

目立たないだとかムシなんて誰でも食べてるだとか言って、こんなにムシクイをあげつらうのはまだこの鳥をよく知らないからだ。きっとそう。

なので、今回は大目に見てほしい。

知れば知るほど君が好き!

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