ハミ、屋台で激辛清真麺に咳き込む 1987.9
昨夜は列車の床に寝転がって足を伸ばせたので、気持ちのよい朝を迎えることができた。ハミ駅(哈密)には朝10時か11時に到着した。フレームザックを担いで列車を下り、まずは駅の窓口で、翌朝の柳園までの硬座(二等座席)の切符を買った。柳園は敦煌に最も近い鉄道駅だ。
ハミ駅の駅舎を出ると、ウルムチと比べて街の規模がずいぶんと小さなことが分かった。駅前の通りはがらんとしており、数台の車のほか、ロバの馬車も停まっていた。とりあえず宿を探すべく、駅前からまっすぐ延びる通り「天山路」を歩くことにした。
外国人らしき人はいない。顔立ちを見たところ、ウイグル族と漢族が半々という印象を持った。ただ、今、考えるとカザフ族もいた可能性もある。現在のハミ(現クムル市)の民族構成は漢族69%、ウイグル族19%、カザフ族9%、回族3%となっている。
空は青く晴れ渡り、熟睡したこともあって、とても気分よかった。時折、荷台を引いたロバが通り過ぎた。
400〜500メートル進むと天山路は微妙に左にカーブし、そのカーブの場所に天馬賓館という名前の中規模ホテルがあった。早速、フロントの受付で空き部屋を尋ねると「有(ある)」との返事。大都市や観光地と違って、宿は確保しやすそうだ。早速チェックイン。ツインルームで値段は25元(約1,000円)ほどだったと思う。
宿にフレームザックを置いて一息つくと、空腹を感じ始めた。ホテルを出たところ、道路の脇に自転車に引かれた青い屋台が停まっていた。清真料理(イスラム料理)の冷麺を出す屋台だった。主人は白いふちなし帽をかぶっているので回族の男性だ。
一つ注文すると、大ぶりの茶碗に半透明のきしめんのような平たい麺を入れ、その上に赤茶色いタレをかけ、数枚の香草を載せてくれた(値段は数元だったと思う)。つるつるとしたのど越しはいいのだが、ノドを通り過ぎた瞬間、カーっという辛さが広がり、激しく咳き込んでしまった。並大抵の辛さではない。とても食べきれなかった。
屋台の主人は慌てて水を出してくれたが、沸騰させていない冷水を飲むのはお腹をこわす恐れがある。何とか我慢して、喉の痛みが引くのをじっと待った。
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