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高校入試はもう始まっている!都道府県別・内申点は何年生から評価される?

1月が終わろうとしている今日この頃。日本の学校で本格的な入試シーズンが始まっています。いま受験学年でない人は、必死にがんばっている受験生を見て「いずれはああなるのか…」と戦々恐々としているかもしれません。しかし、とくに公立高校を志望する中学生であれば、いま1年生・2年生だろうとすでに受験生であると言っても過言ではありません。中学3年生の内申点だけでなく、中学1・2年生の内申点が高校入試の得点に加算される自治体があるからです。
※この記事では便宜的に、各教科の5段階の評定を「内申点」と呼びます

今回は、2024年春に実施される公立高校入試で何年生の内申点が評価されるかを、全47都道府県について調べた結果を紹介します。ただし、この調査は各都道府県で共通に実施している一般選抜に相当するものを対象としており、推薦選抜に相当するものや高校独自の選抜についてはカバーしていないことにご注意ください。

まとめ

早速、全47都道府県の調査結果をまとめた地図を示します。

内申点は中学3年生のもののみを評価(地図の青色)

11都県
山形県、東京都、福井県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、兵庫県、鳥取県、福岡県、鹿児島県

内申点は中学2年生・3年生のものを評価(地図の緑色)

3県
神奈川県、富山県、奈良県

内申点は中学1年生・2年生・3年生のものを評価(地図の赤色)

上記以外の33道府県

全体として、中学1年生から評価する自治体が多いことがわかりますね。
「大都会だから3年生だけ」などといった傾向も見られません。また、入試で評価される項目全体に占める内申点の比重が大きいからと言って中学1年生から評価するわけでもないようですし、内申点の比重が小さいからと言って中学3年生のみ評価するわけでもないようです。
※内申点と学力検査などの配点比率については別の記事で扱う予定です

均等か、だんだん比重を大きくするか

中学1・2年生の内申点が評価される道府県でも、学年ごとの比重を均等にしているケースと、学年が上がるほど比重を大きくするケースがあります。

全学年で均等(1年=2年=3年)

青森県、宮城県、秋田県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、新潟県、山梨県、京都府、徳島県、愛媛県、沖縄県

中学3年生だけ高い(1年=2年<3年)

北海道、石川県、岐阜県、大阪府、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、香川県、高知県、熊本県、大分県
→3年生は1年生・2年生の2~3倍の点数になることが多いです

1年生より2年生、2年生より3年生が高い(1年<2年<3年)

岩手県
→2年生は1年生の2倍、3年生は1年生の3倍になります

高校によって異なる

埼玉県
→学年が上がるほど比重を大きくしている高校が多いです

学年別の配点を明言していない

滋賀県、山口県、佐賀県、長崎県、宮崎県

また、2年生・3年生の内申点を評価する3県(神奈川県、富山県、奈良県)では、いずれも2年生に比べて3年生の内申点を配点2倍にしていて、「だんだん比重を大きくする」方針を採用していることがわかります。

学年が上がるごとに比重を大きくするのは、受験を意識し始めてからの成績こそ重視してほしいという意図が現れているという点で、内申点は中学3年生のもののみを評価する方式に歩み寄っていると考えられます。

3年生の内申点だけでよいのか?

高校入試における内申点の評価期間が長いほど、「高校入試のために内申点をがんばって上げよう」と意識する期間が長くなると考えられます。当の中学生がそこまで意識しているのかは分かりませんが、「内申点のためにかたくるしい中学校生活になってしまう」と考える人もそれなりにいると思います。内申点は中学3年生のもののみを評価することにしているのは、そうした人の声を反映したものと言えるでしょう。

ただ、学年によって学習内容が大きく変わる科目では、どの学年の内申点が評価されるかは神経質な問題です。
たとえば「技術・家庭科」では、1年生で木材加工を、3年生で情報技術を学ぶ中学校が多いと思います。私が中学生の時もそうでした。1年生の木材加工の授業では本棚を作りましたが、手先の不器用さがたたって評定は「3」でした。一方、情報技術の授業ではプログラミングを扱いましたが、私にとっては有利な内容で評定は「5」でした(この頃からパソコンゲームを自作していました)。
極端な話、3年生の内申点だけが評価されるならば、木材加工ではなく、プログラミングが得意な生徒が有利になりますよね。こうした問題があるので、1年生・2年生の内申点も評価することは合理的な判断だと私は思います。

一方、内申点が3年生だけ評価される自治体であっても、「3年生になってからがんばればいいや」とは言えないでしょう。とくに「英語」や「数学」などの積み上げ型の科目では、3年生での学習が上手くいくかは、2年生までの学習次第である程度決まってしまうからです。こうした科目では、3年生になって内申点が急激に上がることはあまり起こらないのではないかと思います。

結局のところ、お住まいの都道府県がどこであろうと、中学1年生から高い内申点を取るに越したことはないと考えます。少なくとも公立高校入試であれば、中学校で好成績を収めることは共通の学力検査(東京都の自校作成問題や大阪府のC問題は除く)で高得点を獲得することにもつながるでしょう。

今後の展望

公立高校入試の一般選抜では「主に学力検査の点数と内申点が評価される」という大枠はどこでも同じですが、その内訳は千差万別です。その違いを色々な角度から考察していきたいです。
とくに内申点の取り扱いを議論するには、単に配点に注目するだけでなく、学力検査の難易度や他の入試制度との兼ね合い、高校受験をする集団の性質(中学受験で抜ける生徒がどれくらいいるか)などの要素も考慮しなければなりません。
どこよりも詳しくかつ冷静な内申点の議論を、今後も進めていきます。

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