見出し画像

男の子だとか、女の子だとか

先日、スーパーマーケットに行ったら突然のサプライズに子どもたちが感動した。
スーパーの出口で、店員さんが子どもたちにこっちの「雑誌」を特別無料配布していたのだ。どうやら、イギリスの国王のお誕生日だからめでたいね!ということでのプレゼントだったらしい。普段の生活で、全く意識したことがないイギリスとの繋がりを、意識させられる瞬間だが、そこに「支配国」「被支配国」だった歴史の重さは感じない。無邪気な感じで18,389km先の島国にいる王様を、国をあげてお祝いしている様子。

息子には小学生男子を対象にしたらしき「男の子雑誌」を、娘には就学前の女子向けの「女の子雑誌」が配られた。ちなみに最新号ではなく6ヶ月前くらいのもので、イギリスの王様の誕生日祝いに乗じた在庫処分的なものだったのだろうか。
まあ無料でもらっておいて文句をいう筋合いは全くない。

初めてちゃんと目を通す西洋の子どもたち向けに作られた英語の雑誌。子どもたち以上に私の方が興味津々だ。
やはり日本の雑誌のようにおもちゃがついているが、娘の方は小さな口紅とリップグロスセットで、息子の方には暗闇で光る恐竜の骨セットだった。ダンボール工作セットが懐かしくなる。

中身はどんなものだろうとページをめくると、女の子雑誌の方は見慣れないカラフルでキラキラしたキャラクターに溢れている以外、特段びっくりすることはなかった。一方、息子がもらった雑誌は、何度か見返してしまった。

生成AIへの指示がうまく伝わらなかった画像

まず、雑誌の中には切り取れる大きなポスターがついているのだが、そこには筋肉ムキムキのプロレスラーが雄叫びを上げながら勇敢に戦っている写真が使われている(裏面はスポーツカー)。プロレスは人気なのだろうか?女子プロレスラー特集も何ページかにわたり掲載されていた。そして何か有名なゲームなのか、大きなライフル銃や鉄砲を持って力強く敵と戦っている未来人のような格好をしたキャラクターが見開きで描かれていたり。
え?小学生向けですよね??とダブルチェックするように見ると読者投稿コーナーでは小学生男子からの「恥ずかしかった出来事告白」コーナーで、小学校の校門でママがお別れのキスをしてきて恥ずかしいから嫌になっちゃう!という投稿があって、やっぱり対象年齢は合っていたことを確認する。

こうして小さいうちから、雑誌というマスメディア媒体を通じて、男の子たちには攻撃性があるエンターテイメントが伝えられているのか・・・なんだか西洋の男の子も大変だなーと思い、ため息をついて雑誌をしまった。
別に日本の男子向け雑誌も同じようなものなのかもしれない。
でも、西洋はジェンダーレスなあり方の方がポリティカリーコレクトだ、みたいな言説を声高に叫んでいる印象がある割に、ここまで露骨に「マッチョ」な感じのコンテンツが小さい男の子向けに作られているという事実に少し違和感を感じずにはいられない。

ニュージーランドで暮らしていると、こっちにだって「女の子向け」「男の子向け」が至る所に存在しているのに気づく。
お買い得な値段でおもちゃ、お洋服から家具、食器などあらゆる(中国製の)ものが手に入る大手チェーン店では、子ども服コーナーは明らかに女子向けの方が力が入っている。男の子向けにはとりあえずマイクラやポケモンとかのキャラクターがついているものを作っておけばいいんでしょ、とサイズも種類も適当な感じで陳列している一方、女の子コーナーは大人気のプリンセスものや、フリフリでキラキラのお洋服が、様々なサイズで丁寧にたくさん用意されている。もちろん、女の子向けには髪飾りやら色々と追加オプション的なものの種類もすごい。

生成AIが作り出す画像に翻弄されている様子(右手に何を持っているの?)

他にも、息子が文房具屋さんの誕生日カードコーナーに行った時のこと。
3歳向けバースデーカード、4歳向けカード・・・と年齢別のお祝いカードがたくさん用意されていてびっくりするが、よく見ると全部なんだか、可愛らしい感じのばかりだ。
息子は友達の男の子に書くカードを探していたので、「どのカードもお友達が好きじゃなさそう」と困り顔。
なんでだろうな?と思ってその棚の端っこの方を改めて見ると、ちょこんと「男の子向けカード」というコーナーがあった。年齢別でもなんでもなく、アベンジャーズや、ゲーム風カード、車の絵なんかが書いてあるものがいくつか用意されていた。あんなに女の子対象には色々あるのになーと不思議がる私の横で、息子はあっさりと「これでいいかな」と目の前にあったカードをささっと選んで解決していた。

メディアだったり、ショッピング体験では結局ジェンダー分けされたコンテンツが用意されているものの、実際に彼らが日常的に接する人たちの様子は少し違うかもしれない。
例えば、息子の小学校の15:00のお迎えにはお父さんが2-3割いる。
日本だったら考えられないほどのお父さんの育児参加率と言えるのではないだろうか。かくいう我が家も、子どもたちのお迎え担当とその後の放課後のプレイデートアレンジから夕食の準備は全て夫がメインで担当している。
こういう親たちのあり方を見ていれば、男の人だったら仕事で忙しくて子育てに時間が持てなくて当たり前、という価値観は持ちづらいのではないかと思う。

習い事の場所でも、ジェンダーに囚われずに好きなことを好きなように挑戦しているのが伺える。
娘が通うダンス教室は小さな女の子に混じって一人だけ男の子が楽しそうに踊っている。サッカー教室では、息子のお友達の男の子と一緒に、そのお姉ちゃんも一緒に元気よくボールを追いかけていると聞いた。

また小学校二年生の息子の算数のクラスの様子を見ていれば、「女子は理系じゃない」なんて発言することはないんだろうな、と思う。息子の学校の算数の授業ではレベル別の実施されているのだが、息子のクラスの算数が出来るグループには、アジア系の男の子(おそらく親の方がアジア人ならではの教育熱心ぶりを発揮して家で色々教えているのではないかと推測)だけでなく、ニュージーランド人の女の子や中国系の女の子もしっかりと混じっている。

オークランドの上空を飛ぶジブリ風女の子なんだけど、箒がちょっとイメージと違う!

色々と、子どもを対象とするマーケティング戦略では、男の子・女の子ってこういうものでしょ!という、売り手側の(つまり大人の)ジェンダーバイアスが、映し出されている状況ではあるものの・・・・

実際に日常的に接していく人たちの様子を見る中で、息子と娘には、誰でも性別なんかにとらわれずに好きなことを好きなように追求していくのが当たり前だ!と思えるようになっていって欲しいと思う。
同時にその「好き」がジェンダーの典型イメージと重なったからと言って、それを恥じたり、自分(や他の人)の「好き」に重い蓋をしなくて良いとも、もちろん思っている。
なんとも難しいことを期待しすぎじゃないか、と思わなくもない。でもきっと今の時代を生きる子どもたちなら、バランス感良くなんとなくできていくのではないだろうか。


【スーパーマーケットで世界一周体験!】インドのスーパー、アメリカのスーパー、ヨーロッパのスーパー、中東スーパー、アフリカスーパー、韓国スーパー。
本当にどこも個性豊かで、とっても楽しい!
今も家ではアメリカスーパーで買ったカラフルなシリアルを食べて、
インド料理屋さんで買ったチャイマサラパウダーを入れたお茶を飲んで、
中東料理やでかったバターチキンのもとをつかってお昼を作ったりしています。

まだ見ぬ世界のスーパー、次はどこに行けるかな?!
https://youtu.be/nrmL4Gie-P4



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?