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違うことは楽しいことだ

昨日、坂本貴史さんの24時間ライブ配信マラソン #24のたりのたり  に出演しまして、長谷川恭久さんと3人で2時間、対談形式でデザインについてそれぞれの考えなどを述べ合うということを行いました。

坂本さんも長谷川さんも私も「デザイナー」。
でも少しづつ仕事内容や仕事の仕方や得意な範囲も違います。違うからこそ、自分の考えを再認識したり、そんな視点もあるのかと気付けたりします。

よく「麻美さんおすすめのいいデザイナーを紹介してください」と言われるのですが、実はデザイナーって、一緒に仕事することがあまりないんです。
ましてや長谷川さんや坂本さんと仕事でご一緒する機会は皆無です。

ですから、実際に自分以外のデザイナーが普段どんな仕事の仕方をしているのかを見る機会があまりないので、ご紹介するのも難しいのです。
逆にエンジニアさんとの方ががっぷり一緒に仕事する機会があるので、「こういうプロジェクトです」と聞いて向いてそうなエンジニアの方を推薦する方が的確にご要望にお応えしやすいなあといつも感じています。

ひとつボツった企画でお伝えしたかったこと

ロクナナワークショップ Onlineという全4回のイベントを企画していまして、昨日から参加申し込みの受付を開始しました。
第一弾は、昨日ご一緒させていただいた坂本貴史さん、たにぐちまことさんをお迎えして「今アツい!配信セミナー・テクニック」 をお届けします。
ご参加いただけましたら幸いです。

実はその全4回の企画のひとつに「デザイナーのマインドセット」の回を予定していたのですが、諸事情によりボツになりました。

その回で私が発信しようと思っていたのは、大雑把に言うと「自分と他者は違う」ということを知り、聞いてみようという心がけをするとコミュニケーションがスムーズになるよということでした。

もっと詳しく言うと、人間は自分が理解できないことに直面すると、不快感や怒り、拒絶の反応が起こるようにできているらしく、そうなりやすいんだと知ると仕事がしやすくなりはしませんかと投げかけてみるつもりでした。

専門学校の授業で学生たちにお願いしていること

何年も前から、新宿区にある東洋美術学校(専門学校)でUIデザインを教えているのですが、そこで毎年新しく授業が始まる時に学生たちにお願いというか、ルールとして守ってみてと言っていることがあります。

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私の授業は、ことあるごとにクラスのみんなの前でプレゼンテーションを行い、それに対してみんなで議論する、より良いアイデアや方法は無いかを自由に考えてみるということをかなり時間を割いて行っています。

何もルールを設けずにやってみると、どうしても「ここがおかしい」「そこがおかしい」という否定合戦が始まってしまいがちです。これは、年齢を重ねたベテランでも1対多でやられたらキツいですね。

またたくさん否定されたらどうしようと萎縮してしまい、なかなか発表できなくなり、ひとりで抱え込んでしまういがちです。

そこで、最初に少し強制的にこういうルールをしいてみています。

「発言する際は、良い点と改善案を必ず両方述べる」両方述べられない人は「良い点だけ述べるのならOK」としてやってみます。

褒められて嬉しくない人はほとんどいません。
また、人を褒めることは勝ち負けではないということも自然と体得してくれるようなので今の所うまくいっています。

これを繰り返していると、次第にルールを取り払っても指摘&否定合戦は起こらなくなります。
理解できなかった場合「そこがよくわからなかったのですが、どういう意図でそうしたのですか?教えてください」という言い方を自然とできるようになっています。

自分のアイデアや途中のデザインを見せても、頭ごなしに否定されないという環境が出来ているので、質問される側の学生も落ち着いてにこやかにのびのびと受け応えしています。

こういうことを重ねていると、次第に「ここはどうしたらいいのか悩んでいます」と臆せずにみんなの前で言えるようになっています。
それを受けた他の学生たちが真剣にこうしたらどうかああしたらどうかと前向きな議論を始めます。

これ、大人も実践したらかなり楽しい職場になるんじゃないかと思っているのですがどうでしょうか?

堂々とプレゼンテーションができるようになる

安心できる環境を作ると、みんな堂々とのびのびと自分たちのアイデアやデザインを発表できるようになります。

「楽しい」という状態は、好き勝手とは違い、より深い考察や責任感、主体性を育んでいるのではないかとよく感じます。
ものづくりは、人と違う視点を持っていることが非常に有利に働くことが多いですよね。
それが形になり切っていない初期段階では人にうまく伝わらないこともあります。

しかし、わからないから「それはおかしい」「ダメ」と頭ごなしに否定せず、どういうことなのか耳を傾けてみる心がけをすると、思わぬ素晴らしいプロダクトが生まれやすくなると私は思います。

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※2019年度の学習成果発表会

人が使う物を作るのだから、まずは人を知ろう

異なる物を排除したり攻撃して潰したりしないと自分や仲間の生命に危険が及ぶという防衛反応の心理が働くのは生物として皆が持っているものらしいですね。

ならば、ものづくりの場においては時にそれが障害となりうることがあると知っておくことも、UIデザインを続けていく上で大切なことなのではないかと思います。

だって、今作ろうとしているものは完成したらヒトが使うのですよね。
スマートフォンを片手で持って指が届く範囲だとか、アラートウィンドウのOKとキャンセルでどちらが右で左であるかだとか、それも重要な知識ではありますけれど、
人間そのものの特性に目を向けて、一緒に作り上げていくメンバーや仲間と建設的な議論を展開するためのノウハウを身に付けていけたらとても素敵ですね。

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