小説版・この道の先に Vol.10
3区を歩いたその足で7区の方へ進んだ時、
『ここは知ってる』という、『俺』の少し沈んだ声が聞こえた。
『俺』は7区を走ったことがあるのだろうか。その時、納得のいく結果を出せなかったのだろうか。
わたしは、小田原へと向かう道の姿を感じながら歩いてみた。
昔からずっと、行き交う人を見送り続けてきた道は、細かく縦にうねっている。
小田原へは下るように流れているから、
戸塚方面へは、やや上り気味になるだろう。
この波を乗りこなせないと、記録にはつながりにくいかもしれない。
『俺』はき