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こうして私はお遍路に行くことになった

私はまったく信心深くない。家に仏壇はあるが、たまに「あー、もう今日は休み!」と言って扉を開けない日もあるくらいだ。仏壇にだって休日があってもいいだろう。そのくせ、神宮のご神饌などと言ってクッキーを売っている。本当にすみません。

さて、今日は朝から工房でミーティングのち、田んぼへ行って畔の草刈り、昼からは民生委員の仕事で公民館や社協とやりとり、打ち合わせをして地元高齢者の食事会を算段し、チラシを作製。その後店へ行って楽天のメルマガ作成、配信設定、メールやりとりと、倉庫会社と打ち合わせ。ガツガツ仕事をこなしている。そう、旅が近づいているのだ。

11月のうち1週間。私は予定をまるまる開けていた。なぜかって?これに応募をしていたから。

応募総数753名のうちのひとりがわたし、武司くんに誘われて二人セットで応募した。だが選考に漏れ、1週間分の予定がまるっきり空白になってしまった。11月8日スタートのこのクリエイティブステイ、結果発表はなんと11月1日だ。日程はクリエイターが選べるのだが私たちは8日から希望しており、発表まではとりあえず予定を入れるわけにはいかない。なかなか酷だぜ道後。

そうゆうことで丸々1週間、真っ白になったスケジュール帳に仕事の予定を入れないのが私たちである。隙があれば旅に出るし、隙がなくても隙を作って旅に出る。こんなこともあろうかと、ちゃんとプランBを用意していた武司。そう、それが四国お遍路の旅である。お遍路!信心浅い私がお遍路に行くってよ、桐島。

この道後の発表があるずっと前に、私たちは遍路グッズを買い集めていた。なんか羽織る白い服や首に掛ける紫のヤツ、杖、札とか数珠、そういうものだ。お遍路をするには最低限の装備が必要らしく、舐めてかかると行ってから後悔することになるらしい。なにしろ武司が大真面目に「アレ買え」「これも買え」と小まめにメッセージを送ってくるのだ。私は言われるままお遍路ショップで買いそろえた。

数珠も「ばあちゃんにもらったのがあるからそれで」と言っていたら、ちゃんと珠の数があるらしく、新しく買わされた。タケシは自分でお遍路用の白装束をデザイン。きちんとプリントされたものも手渡された。どエライ入れ込みようだ。

このあたりから、もし道後で落選してもお遍路へ行けばいいじゃないか。道後に受かれば道後を拠点に周辺のお遍路にも行けばいい。むしろ道後に受かれば道後に1週間滞在しなきゃならん。却って窮屈では?むしろ落ちてもよくない?という自虐的な気分にもなりつつ発表を待っていたところ、あえなく選外となった。

倍率は15倍。落ちて当然。しかも私などクリエイターかと言われれば甚だ疑問であって、武司にくっついてって、あわよくば「まつやまあげ」の工場見学できたらな~と思っていたような不届きものである。結果的に巡礼の旅に出られるし結果オーライ、サンキュー道後!いや、負け惜しみだけど、そうなんだ。それでいいんだ。

しかし、いざとなるとそれまでに片づけねばならん仕事はたっぷりある。私たちの繁忙期は12月~5月で、じゃあ11月はオッケーかと言えばそんなことはまったくない。12月が繁忙期だからと言って12月から働くアホがどこにいますか?11月から12月の準備をするなんて言うのは当然であり、まともな経営者なら年中繁忙期に向けてなんらかのアクションをしているものである。

私はぐうたら経営者なので、11月の今頃になってアワアワと準備を始めているが、そこへ1週間の不在ときたもんだ。旅先で仕事をして「リモートお遍路です」と言うことはできるがお遍路とはひたすら寺をめぐり、移動の連続だから、一か所にとどまって仕事などできるわけがない。さあ大変だ。鞭打って棚上げにしておいた仕事をガーっと片づけるにも、仕事しまっちゃうおじさんは都合よく登場してはくれない。

どれから片づければいいのか分からずフリーズ、おもむろにGooglePlayからダウンロードし、市街戦で荒れた中生き延びるゲームを夜中までやる始末。

しばらく長期の旅をしていなかったのでエンジンもかかりにくい。しかし、ようやく昨日から動けるようになった。サクサク仕事は進む。むしろ定期的に旅に出ないと積極的に問題解決をしないのでは?と思わせるほどで、実際そうかも知れない。自分の仕事には納期がないから急き立てられることもなくやっぱり「いつかやればいい」などと思ってしまう。元来なまけものの私には「旅と言うデッドライン」を設けることで、そこへ向かって走りやすくなるようだ。出発まであと少し。次回は旅先からお届けになると思います。お遍路…どうなるんやろ…。

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