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農民社長のための経営入門 5

パプアニューギニア海産訪問記


とうとう行ってきた!

私は昨年のちょうど今頃からフリースケジュールを実践しているが、そのお手本ともなったフリースケジュールの超実践者である、パプアニューギニア海産へ行ってきたのである。社長の武藤さん曰く

「フリースケジュールも『パプアニューギニアならできますよね』って言われることあるんですよ」

社名が社名だけに、日本ではなくパプアニューギニアに会社があって現地の人を雇用していると思われることがあるようだ。確かにパッと聞いただけではそのように思うこともあろう。

とうとうやってきた

パプアニューギニア海産はパプアニューギニアではなく、大阪府摂津市というところにある。調べてみるととても小さい市だ。日本には791の市町村があり、摂津市はその中では766番目。なんともかわいい市なんである。791番目の蕨市が5.1㎢で成田空港の半分の大きさとのことだから、14.9㎢の摂津市は成田空港の1.5倍ということになる。やっぱ小さい。

さて、摂津市のサイトを調べてみると観光協会はなく、どうも観光の町ではなさそうだ。近隣の寝屋川市や茨木市を見ても観光色は薄い。うーん、観光を兼ねて行ってみようかと思ったけど、どうもあんまりなさそう。しかし目的は会社訪問。実際に運用されているフリースケジュールの現場を見ることが今回のミッションだ。

パプアニューギニア海産が工業団地にあることは認識していたのだけど、バス停から結構歩く。周囲に海産業者はない。なんとなくイメージで周りに缶詰屋さんとか海産物卸問屋があるように思っていたのだが、全然で、むしろ海とは正反対の材木業者がたくさんある。

材木と言うよりは「値打ちのある木」がある

材木と言うと。建材のように思うがどっちかと言うと、カウンターやテーブルなど、こだわりの木材があるようで、見るとあちこちに「銘木」の字がある。そんな中を歩いていくと白い壁に赤い文字の建物が見えてきた。

そろりとドアを開けるともうそこにはいつもの動画で見る工場が見えるではないか。そして武藤さんと初対面。Youtubeなど動画で見る背景が今リアルに私の目のまえに…。ここは店舗でもあり、いろいろと気の利いた商品も販売されている。

食材がいろいろある

ちょっとした自然食品店のような店構えでこだわりの食材や雑貨がおいてある。海老もここで買えるらしい。

ここに来るまで、武藤さんに会ったらこんなこともあんなことも聞こうと思っていたのだけど、実際対面すると、質問というよりはざっくばらんな話になっていく。私も取材ではないわけで、現場へ足を運んで現実を見ると別の発見があったりて、あらかじめ用意していた質問はどっかへ行ってしまう。

たしかにフリースケジュールはシステムなんだけど、私はどちらかと言うと工場の雰囲気というか空気を感じていた。私が武藤さんと話をしていた場所は店でもあるが、事務所もあって奥に階段があり、階下の工場から休憩に来たり、帰ったりするパートさんの出入りも多い。

普通だと、お客さんが来ていたら「こんにちは」とあいさつしたり、あるいは帰るときなら工場長である武藤さんに「おつかれさまでした」とか「お先に失礼します」などと言いがちである。しかし、私がいる間そのようなことはなかった。こういうことも、ルールで決まっているのだろう。確かに、パートさんが何人も帰るときに「お先に失礼します」って言うほうはひとりだけど、聞く方は何人分も聞くわけで、そのたびに話が中断されるのはちょっと困るかも知れない。

嫌い票などもみせてもらった

その日、工場では22名いるパートさんのうち、出勤してきていたのは15名。毎日ラジオを聞いている私だから分かるけど、今日の出勤は多めである。そして、工場は想像していたよりもずっと狭かった。15人が工場内のテーブルをあちこち動いてエビを剥いたりエビフライのパン粉を付けている。

清潔な工場内での作業風景


オペレーションについての説明を武藤さんから受ける

よく求人票に「当社は明るく活気があって家族のような会社!」みたいなことが書かれていたりするけど、ここパプアニューギニア海産はそんな感じではぜんぜんなくて明るく静か、丁寧で淡々としている、といった印象。

パーソナルスペースとそうでない場所が共存している休憩コーナー

1時に訪問して、4時近くまで話をしていたのだけど、そのなかで「フリースケジュールを始めてなにか困ったこと、不都合なことがあるか」という話題になった。結論としては全然なくて、むしろフリースケジュールをやめた方が大変なんである。けれど、これはやった人しか分からないかも知れない。一度フリースケジュールを始めたらもう元のやりかたには戻りたくないというのが本音だ。

いろんな働き方がある中で、フリースケジュールはひとつの方法であり、フリースケジュールの中でもいろんなやり方があるはずだ。サトナカを作っている工房はパプアニューギニア海産とはまた別の個性がある。真似するところもあるし、自分のところで工夫する別のこともある。

パートさんには悪いけど、トライアンドエラーで、いろいろやってはまた考えてやめる。やめたけどまたやる。みたいなことが本当に多い。振り回しているとも思う。けれど、考えることをやめることは停滞だし、停滞は膠着となる。考えながら動き、動きながら考える。昨日は今日と違うし、明日はまた違う。今はまだパプアニューギニア海産の真似をしている状況だ。うちなりのフリースケジュールができた時ようやくサトナカクッキーの工房がフリースケジュールと言えるのだと思う。

武藤さんありがとうございました
店の前でエビTシャツを着て。息子指定のポーズで。


そして、摂津市の隣、寝屋川の町をきっちり楽しんできました。寝屋川って比較的ダークな事件で名前が売れてしまっているけど、町自体は明るくて商店街も元気で駅の近くに神社も公園もあり、ごみひとつおちていない、きれいでいい町でしたよ。

たこ焼きもカレーもうまかった。図書館の充実具合がすごかった。
商店街の電機店の前に人が群がっていて一緒にWBC見ました。

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