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元夫と行く湯治旅2022 26日目 東鳴子温泉(宮城県大崎市)ー青根温泉(宮城県柴田郡)

実際に足を運ぶことの大切さがある、と思う。何回か書いていると思うけど、今から20年前「すきやばし次郎 旬を握る」と言う本を買った。

きっかけはCBCラジオのつボイノリオ「聞けば聞くほど」と言う番組で

こんなに開示して大丈夫なんだろうかと心配になっちゃうほどさらけ出した内容なんです。けど、「大丈夫。ぜったい同じものにはなりませんから」って次郎さんが言っているのです。

おおよそこういう内容だったけど、それ聞いてちょっと心がざわついた。なんだそれかっこいいじゃないか。

その時私はカフェを始めて5年くらい経っていた。どうしても次郎に行きたくてしょうがない。次郎に行きたくて行きたくてしょうがなかった。来る日も来る日もその本を読んで、自分でも本を見てアナゴを炊いたり、かんぴょう巻きを作ってみたり、魚を捌いて寿司を握ってみたりした。ある日、東京へ行く用事を思い付き、その中に次郎へ行く予定を組み込んだ。

銀座。どんなすごい場所にあるかと思ったら、通りから外れた階段を降りた地下の、拍子抜けするようなとこに次郎はあった。予約もせずにのれんをくぐり、自分でネタを選ぶか、桶で頼むか聞かれてその日は桶で頼むことにしていたからテーブル席に座って5500円くらいの桶を注文した。本に出ていた次郎さんがいる。私の寿司は次郎さんではなく、息子さん(長男さんのほう)が握った。品のよさそうなおばあさんが小さい子供と入ってきて、でもはじめて来るらしく、ここが次郎と言う店とは知らない様子だった。次郎さんが対応して注文の説明をしていた。おばあさんと孫はカウンターに座って、寿司は次郎さんが握っていた。帰りの会計は下の息子さんだった。釣りは全部新札だった。

翌日、また次郎へ行った。今度はカンターに座った。昨日食べた桶のなかでもう一度食べてみたかったネタのアナゴを頼んだ。ほかに、本を見て食べてみたかったクルマエビなんかも頼んだ。カウンターの角には会社で来ているような背広の男性が二人座っていて、請求書で食べている感じだった。次郎さんはその人たちの寿司を握り、私の寿司を握ってくれたのは息子さんだった。ネタケースは本にあったのと同じで整然としており、店内は隅々まで磨かれていた。カウンターの中は丸見えでそこでは小さな舞台が繰り広げられていた。14貫を1種類ずつ頼み滞在時間は20分。7500円だった。

それが私の次郎体験だ。本当に行っておいてよかったと思っている。私は別に寿司屋になりたかったわけではないけれど、仕事人の仕事を知ってそれを生で見たい、つまりはちゃんと自分の目で見て感じたいと思い、東京まで行った。それが私の基本だ。本や映像や雑誌は知るきっかけ、行動を促すための呼び水なんであって、それを見ただけで知った気になってはいけないと自分に言い聞かすようにしている。

今回の旅で仙台を経由することが分かって、以前からフォローしている山路さんのカフェへ行くことにした。山路さんの記事を読んでいたら行きたくなったのだった。鳴子を出て青根温泉へ行くのに2時間くらい時間があり、調べるとバス停から歩いて行けそうだ。仙台は経由地として地下鉄の乗り換えはしたことあるが街を歩くのは始めてだ。そもそも1か月の旅の間、毎日畳の部屋に籠っていたから、なんというか、ちょっと西洋の文明が欲しくなったというのもある。

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仙台の商店街モールを15分くらい歩いて行った先の2階にその店はあった。端のテーブルに座る。昼食とせっかくなのでケーキとコーヒーもいただいた。どれも申し分なくおいしかったけど、サラダのドレッシングが絶妙においしかった。皿がちゃんと重いのもよかった。ほの暗いのもいい。バレンタインブレンドはチョコレートケーキによく合っていた。カフェと言うものが日本の生活に定着し始めたころのような、きちんと重心のあるカフェ。

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今回は他にもうひとつ今回の旅で実際に行きたかったところがある。2011年春、会津若松の東山温泉「いろりの宿 芦名」に私たちの作ったサトナカが配られた、と後になって知った。当時はBOOK246という旅専門書籍店にタケシと一緒に作った伊勢の地図を扱ってもらっていた。東日本大震災があったとき、BOOK246の親会社から支援物資を送るけどなにかあれば一緒に持ってくよ、と声掛けがあった。

何か、と言われてもサトナカくらいしかない。避難している人に向けて当時サトナカをいくつ送っただろうか。集まった物資はそれぞれ配られ、私たちのサトナカは聞いたこともない。会津若松の宿に避難していた大熊町の方々に配られたとのことだった。大熊町は福島原発があった町で、震災の避難というよりは原発事故の日なんでその日、着の身着のままで宿へ来ていたのだった。

この話はまた後日。

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旅館大沼の館主、シンジさんと女将さんである母上。

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役場前から仙台行のバスに乗る。

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蔵王の畑に並ぶ白菜。

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本日の宿「不忘閣」部屋はこの建物ではない。

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「俺ってほんと男前」と本当に言っている。

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夕食へ向かうタケシ。

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撮影に忙しいタケシ。

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この宿は帰るまでに94段登らなくてはならない。

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最近のお楽しみ、折をみては宮本浩次の「あなた」を見て就寝。

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