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カウンターの外は動物園

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17年間やっていた、ワインバーで思った事、感じた事、お客さんのこと。お酒の小ネタにどうぞ。エッセイです。
かなり昔の話になったので値段を下げました。
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2016年1月の記事一覧

突いてばかりいませんか?

突いてばかりいませんか?

自分のことばかり喋る人の話を、茂木健一郎さんも自身のLINEブログで書かれていました。ちょっと前にも自慢話をする人のこと書きましたが、これについてもう少し書いてみようかな、と思いました。

すみません。突然ですが真面目にセックスの話しますね。

あの、行為の時にですね、男性ってどうしても「突く」ということに焦点を置きがちじゃないですか。擬音で言うなら「パンパンパン!!」みたいな、マッチョな感じ。あ

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「やあ!友達!」

「やあ!友達!」

ワインバーをしている、そういうと決まって「ソムリエなんですね」と、言われます。ワインをきちんと学んで資格を取っている人がワインバーができるのかと言うと、そういうわけではありません。別に資格がなくても大丈夫です。

私は天邪鬼なので、最初は資格を取っが方がいいのかな?と思っていましたが、そのうちに飲食業界でソムリエの資格を取るのが流行しだしたので、結局「取ったらみんなと同じやな~」と思って、取りませ

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地元が松本、という東京の人

地元が松本、という東京の人

「東京が地元ですか?」

と、聞く話を昨日書きました。今日は、東京から来た松本出身のお客さんの話を書きましょう。彼女は30代半ばくらいでしょうか。お伊勢参りに来た、いわゆる典型的な「おひとりさま」です。最初、私がいつものようにどちらから?と聞くと「東京です」と、言いました。続いて上の質問をしますと、

「松本です。長野の」

と、おっしゃいました。幸い少しは知っている町です。中には全然知らない土地

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地元が東京の人

地元が東京の人

どちらから?と聞いた時、

「東京です」

と言うお客さんには、「地元が東京ですか?」と、聞く事にしていました。すると、大抵の人は「あ、地元は岩手です」とか「岡山です」とか、言う訳です。

例えば、「大阪から来ました」という人には「地元が大阪ですか?」とは聞きません。例え、聞いたところで「元々は姫路です」とか「奈良です」という答えが返って来るからで、あんまり「青森です」とか「函館です」と言うことに

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酒場でモテない団塊の人

酒場でモテない団塊の人

割に、勘違いされているように思うのですが、男性は自分をよく見せたがるが故に余計に話し過ぎる傾向があります。と、言っても、今回は60歳過ぎの男性の話。その傾向が顕著です。とにかく、話す。しかも、自分のことを。しかも、ほぼ100%自慢話。

私が店をしていた頃の話なので、当時、団塊を呼ばれていた世代の人たちです。この人たちの自慢話の特徴は3つあります。

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同業者の匂い

同業者の匂い

お客さんの相手をしていると「この人どんな仕事をしているんだろう」と、興味を持つことがよくあります。世の中には私の知らない職業がたくさんありますが、長年店をしていて、色んな人に接していると「あ、このお客さん、もしかして公務員じゃないかな?」とか「もしかして先生?」とか、分かる時があります。

これは、客商売をやっている人はみんな、ある程度は分かるんじゃないでしょうか。

飲み屋で、お客さんと話してい

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1グロスと31センチ

1グロスと31センチ

飲み屋のカウンターというのは、愚痴を言いに来るところでもあるし、相談しに来たり、嬉しい事があった時言いたくなって来たり。色んな人が色んな話をしに来てくれるものですが、当然、自慢しに来る人もいます。自慢と聞くと、なんだか聞きたくないようでもありますが、自慢なんて友達や家族にはしにくかったりしますよね。なので、わざわざ店に来てそれとなく自慢する人も多く、ふんふん、聞いていると、

ん?それって結局自慢

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キレイなお札は秘密の銀行から

キレイなお札は秘密の銀行から

今から十数年ほど前、銀座の有名寿司店へ行きました。「すきやばし次郎 旬を握る」と言う、そこの寿司屋の大将に取材した本がきっかけでした。地元の寿司屋さんでさえ、ろくに行ったことない私が、銀座の寿司屋なんて、もう本当にドキドキです。でも、店内の写真も、どんなネタがあるのか、どんな人が働いているのか、オマケに厨房の写真までありましたから、私なりに十分調査して臨んだわけです。

一日目。お昼の開店して間も

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トークは有料となっております

トークは有料となっております

昔は色んなお店に行って、繋がりを作って、そこからまたお客さんが来てくれる。ということがよくありました。小さい町の店なので、お店同士もかなり仲がよくて、行き来が頻繁です。カウンターなどで「こちら、山吹町で居酒屋してるサクラヤさん。おいしい地酒、おいてるんですよ」と、他のお客さんに紹介すると「へえ、今度行ってみようかな」となります。

開店当初は、このシステムにとても助けられました。特に、うちの店は少

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焼き鳥屋選びから見た、男女の「好き」の違い

焼き鳥屋選びから見た、男女の「好き」の違い

男女平等と言われていても、そこは男と女。機能も考え方もずいぶんと違うように思います。私が、カウンターのお客さんを見ていて思ったのは、男と女では「好き」の種類が違う。ということです。

例えば、浮気をしていたのが奥さんにバレて「あの女と私とどっちが好きなのよ!」と詰め寄られたとします。(ええ!!ど、どっちが好きかだって!?)男の人はこう思うでしょう。だって、「どっちも好き」なのですから、どっちが好き

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聞いているのに知らんふり

聞いているのに知らんふり

いい感じにお酒も入って、いよいよ込み入った話になったとき、ふと、カウンターの中で働いている人が気になる。この人聞いてるんじゃない?もしかして全部聞かれてる?聞かれてたらいやだな...。そう思ったことはありますか?

まず、間違いなく、カウンターのお客さん同士での会話は、中の人も聞いています。特に、うちの場合はカウンターが6席だったので当然全部聞こえます。でも、「ウシシ、ワシにはぜんぶ聞こえとるんじ

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カウンターにおける「北風と太陽」理論

カウンターにおける「北風と太陽」理論

カウンターの中から見ていて、一生懸命口説いているのに「あぁ、これは望み薄だなぁ」と、分かる時があります。片方が一生懸命話をしている時、相手の体がどこを向いているかで、それが分かるのです。

まず、口説こうと思っている人が隣りにいるのに、カウンターの中の私に向かって喋らないですよね。普通は口説く相手を見て話します。顔だけ向けるのではなく、大抵は体もそっちを向いてます。相手も、それがイヤじゃなければ、

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会話がバスケットボールの人

会話がバスケットボールの人

会話のキャッチボール、という言葉があります。Aさんが話し、それに反応してBさんが話す。例えばこんな感じですね。

A「昨日、娘の運動会でさぁ」
B「あ、そう言えば小学校でやってたね」
A「俺、PTAのリレー走ったんだけど」
B「あぁ、あれよくコケるでしょ」
A「いや、コケなかったんだけど足がつっちゃって」
B「あはは、そりゃ運動不足だな」

と、まあ、こんな感じです。ところがこういうキャッチボール

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