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2020年代を駆け登る。新世代のソロアーティスト「ウ山あまね」

 ここ最近、ソロアーティストの活躍が目覚ましい。これはおれの体感かもしれないんだけど、2010年代前半はメジャーシーンもインディーズシーンもどっちかと言うとバンドの名前がよく見られていたような気がする。しかし2010年代後半になると話題に挙げられたり、所謂「次に来るアーティストは、これだ!」みたいな特集にソロで活動しているアーティストの名前が増えてきている気がする。誰でも知ってるところで言うと米津玄師星野源、インディーズシーンで言うと笹川真生メガシンノスケなどなどなど。何となくツイッターとかTik Tok などSNSの隆盛とソロアーティストの人気上昇に関係がありそうだけど今回はその話は置いといて。この記事で言いたいのは、この2020年代にふさわしい「新世代」のソロアーティストがいるんだぞ!ってことなのです。その名もウ山あまね。何回でも言いたくなるような名前だ。元々soundcloudに音楽をアップされていたのだけど、この度EPをリリースされまして、主要音楽配信サービスでも聴けるようになりました。ま、四の五の言わずに早速聴いてみましょうか。

ウ山あまね/セロテープデート

 この曲を聴いた時、おれはよくわからない絵や彫刻を見ている気分になったんですけど、みなさんは何を感じたでしょうか。美術館に置いてある展示品をボーっと見ながら完全に感覚だけでその芸術性を理解しようとする、みたいな。これはおれの美術の知識が乏しいからだと思うんだけど、追いつかないんですよね、頭が。でも何となくその作品が持つ技巧とか、作者の表現したいことが感じられるような、そんな感覚です。まぁ、それを言語化しようとしても「すごくきれいだと思いました」みたいな鑑賞のテストで確実にF評価をもらうような感想しかでないんですけど…。もっと語彙と知識が欲しい。
 にしても、ホントにめちゃくちゃやってると思います。この音楽。テクノやらロックやらエレクトロやらをごちゃまぜにしたようで、最後はしっかりポップにまとまっているのがキレイだと思わせる要因の一つになっている。これは別に比較する訳ではないんだけど、長谷川白紙や浦上想起などの音楽性というか、芸術性と似通った部分は多少なりともあると思う。聴けば聴くほど分からない部分が増えていくんだけど、その「分からない部分」を理解しようとすることも音楽なんじゃないかなと思わされました。
 それと映像も超美しい。サーモグラフィみたいな感じがすげー良い。スクリーンセーバーにしたい。

ウ山あまね/vEvEv

 個人的に一番好きな曲です。めちゃくちゃにカッコいい。ある人とかモノとかを好きで好きでたまらなく夢中になっているような感覚と覚醒。これはキモ・オタクだったら分かってもらえると思うんですけど、たまに夢に大好きなアニメとかゲームのキャラクターが出てくることあるじゃないですか。けどそういう時って「あ、これ夢だな」とふと思ってしまったときに確実に目を覚ましがちなんですよね。そしたら「何をやってるんだおれは…」って自己嫌悪に陥ってどうにか夢の続きを見ようと寝てみるんだけどもう全然寝れない、みたいな。なんかそんな感じの曲だと思いました。伝わる気がしない。
 三三七拍子だったり、アニメの女の子のサンプリングだったり、最後の音割れ上等歪みまくりサウンドだったり、良いところを挙げると枚挙に暇がないです。歌詞も最高だし。ナインインチネイルズタイヨンダイも海外の有名アーティストなんだけど、どうしてこれを採用したんだろ。そしてタイトルなんて読むんだ。AAっぽいけど何コレ。さっき夢の話をしたから目を瞑っているようにしか見えなくなっちゃった。そして映像、マジでキレイすぎる。布のゆらめく感じ美しすぎるでしょ。

ウ山あまね/いられないこのままじゃ

 ウ山あまねを知った一曲。今どきのよれたリズムののR&Bぽい曲。シンセの音とかは良い意味で気持ち悪いんだけど、それに合わさるメロディが優しいから、中和されてめちゃくちゃ心地良く聴ける。氏はソロ活動とは別に「神様クラブ」というユニットでも活動しているんだけど、こっちで見られるようなポップさもある。とにかく良い。

 はい、いかがだったでしょうか。冒頭に彼のことを「新世代」と表現したのですがこの言葉に違わぬ音楽だったと思います。ロックもポップも電子音楽も全部取り入れたうえで全てを調和している様は本当に美しいし、もっと名前が売れてほしいとも思うけど、何というかこういう音楽は大衆化されてほしくないな、とも思う。また別のアーティストの名前を出してしまうのだけど、君島大空とか松木美定とか、こういう芸術性に溢れた音楽は常に孤高であってほしいんです。聞き手のエゴですよねこれ。とりあえず、ライブを見にいきたい…。

 間違いない。それでは読んでいただきありがとうございました。


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