見出し画像

発見は一番のときめきです 1月13日(金)

高知県立美術館で開催中の合田佐和子展へ。

会期終了間近、人の少ない平日は今日がラストチャンス。午前中にやるべきことを済ませ、お昼も食べずに家を飛び出す。

美術館までは家から車で45分。駐車場から入口に向かう長いファサード。水の中を渡る感じと、上から入った光が天井に照らすデザイン。来るたびに異次元への橋みたいだと思う。

水の中を渡ってゆく。左右に並ぶ円柱形の柱もいい。
「帰る途(みち)もつもりもない」という晩年の言葉

入口で入場料1200円を払って、コインロッカーに荷物を全部入れる。
美術館にはたいてい返金型のコインロッカー(使う時に100円入れ、使い終わると返金される)がある。あちこち歩き回ったり、行ったり来たりするので荷物やコートなどは預けて、身軽な方がいい。

まずは駆け足でぱーっと場内をなでるように速足で全作品を眺める。それは気になる作品を見つけるため。私が美術館に行く理由には色々あるけれど、作品については、その時に響く作品が一つでもあればいい、と思っている。

「あ!」と目を引く作品をは対外2つか3つ。館内を行きつ戻りつしながら何度も見直す(動きが早くて挙動が不審なのか、係の人にややマークされている気がする)。

意外だったのは、インタビュー映像。めっぽうおもしろくて、どの言葉も魅力的で、目が釘付け。口調や言葉の選び方、声のトーン。作品は彼女の考えや暮らしと分かちがたく結びついている、というか、作品は彼女の人生そのものなんだなあ、と思う。

印象的だった言葉は
「発見は一番のときめきです。自分が抱きしめられる宝物だから」

「ときめき」や「宝物」という、特に芸術家として口にしにくい、キャッチーな言葉をぱっと使えてしまう彼女のとらわれのなさが胸を打つ。

朝からミルクティー2杯とスムージー(熟れすぎた柿とみかん、人参とレモン)を飲んだだけなので、おなかがぺこぺこ。さらに展示会でエネルギーを使い果たしてふらふら。

すがるような気持ちで閉店間際の雨風食堂へ。お味噌汁とたっぷりの野菜。天才的なバランスと質の高さ。何度食べても新鮮な驚きとありがたい気持ちでいっぱいになる。ここは私のセイフティーネット。

高知の名店雨風食堂

すっかりお腹も満たされて、気持ちも落ち着いたところで、2人の友人に電話。合田佐和子展がいかに素晴らしかったかを興奮気味に話し、「絶対見に行ってほしい」と伝える(一人はすでに2回観ていて、多いに話が盛り上がる)。

それにしてもこれだけの体験をさせてもらって1200円ってほんとに安いなあ、もっと行かなきゃ!と思うと同時に、美術館は一般的にはまだハードルが高い(来館者の多くは経済的にも時間的にも余裕がある高齢層だった)。もっとたくさんの人が来れるように、せめて高校生までは無料とかになったらいいのにな…

たとえば、ロンドンのナショナルギャラリーはすごく広くて、質が高い作品がたくさんあって、全館無料。だから、30分だけ時間がある、というときや、「ちょっと気分を変えたい」時でもすごく気軽に立ち寄れる。無料にする、というのは目に見える「サービス」以上に教育と福祉の面で、価値を生み出しているんじゃないかな、と美術館を後にしながら考えた。

美術館の床の質感や椅子のデザインを見るのも好き。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?