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女性の起業家はどこ? ヨーロッパと日本の現状

こんにちは、オランダ在住のサービスデザイナーASAKO (あさこ) です。
今回は世界共通の課題である女性の社会進出・社会地位向上について、ヨーロッパで見聞きしたこと、日本の現状について考えていきたいと思います。



ヨーロッパで語られる女性の参与問題

ヨーロッパでは女性の活躍は超ホットトピック!スタートアップやテック系のイベントに参加すると必ず話題になります。

女性が活躍できない起業家の世界

女性が創業者のスタートアップに対する投資金額が、男性が創業者にいるスタートアップに対してあまりに少ないのって、ご存知でしたか?

ヨーロッパでは女性が起業したスタートアップがVC (ベンチャーキャピタル) から投資を獲得できている金額は全体のたった0.9%しかないんです。起業家大国アメリカでもたった2% (Pitchbook 2022)。

男性が創業者に含まれている企業は獲得金額は爆あがりします😭

女性創業者のみの新興企業は926件の取引で43億ドルを獲得したが、少なくとも1人の女性創業者がいる起業は3,503件の取引で約380億ドルのベンチャー資金を調達した。

MORNINGSTAR Mar.6 2023 より


女性起業家が集まるイベントの1コマ

先日行ったイベントで、1人の女性起業家から語られた現状は本当に目を剥くものでした。

資金調達を目指したとき、VCから「男性の共同創業者をみつけたら投資を考えよう」と言われた。
最悪のオファーだけど、いろいろ考えて、結局アメリカに飛んで男性の共同創業者をみつけた。そしたら資金が調達できた。

とある女性起業家の話 (ASAKO翻訳)

この女性は左手の薬指にリングをしていたのですが、その理由もまた驚くべきもの。

この指輪、結婚指輪に見えるでしょ?フェイクなの。
未婚女性よりも既婚女性の方がビジネス世界で信頼されやすいっていう研究結果があるから(目の前にいる女性より「背後にいる男性の影」の方が大事)。だから資金調達とか重要なビジネス会議の時には嘘の指輪をしてくの。やってみて、ものすごいうまくいくから。

とある女性起業家の話 (ASAKO翻訳)

最悪のストーリーですが、現状を理解した上で生き延びている彼女はめちゃくちゃ強くて大好きだと思いました。文句ばっか言ってないで私もがんばろう。

女性全員より「ピーター」の数が多いCEOの世界

ヨーロッパでは、女性のCEO数より「ピーター」という名前のCEOの方が多いです (mgmt.SCOPE 2022)。笑えません。

ちなみに一歩先を行くアメリカでは、2018年のとき女性CEOが「ジョン」を上回り、初めて全女性CEOを合計した数が単独名の男性を上回るという快挙 が起こったのですが、その翌年には「ジェームズ」と同数になってしまうという変遷もありました(下図)。

出典 ブルームバーグ

そもそも男性の名前も年を追うごとに多様化してきている (西欧圏ではクリスチャンネームが減っているため) 背景がありこの比較自体が正しいかは容疑論ですが、それでも女性CEOの少なさを物語るわかりやすいデータです。


日本の状況

では日本の女性参画はどのようなものでしょうか!数字で見てみると、ジョンとかピーターとか言ってる場合じゃないくらい悲惨な状況であることがわかります😢

日本は先進国最下位レベルの男女賃金格差

日本の男女間の賃金格差は、OECD (経済協力開発機構)の38ヶ国の中で下から3番目。全体平均から10ポイント以上も「女性の賃金が男性よりめっちゃ少ない」国です。

男女賃金格差 OECD 2020年


女性がいない職場

そもそも数字で見てみると、正規雇用の現場は男性ばかりです。正社員の72.6%、総合職の79.3%が男性です。なんてこったい。

厚生労働省 令和3年雇用均等基本調査 2021年


じゃあ女性はどこにいるのかというと、非正規雇用労働者の7割近くが女性を占めているという現状があります。

2019年の労働者数は6004万人(総務省「労働力調査」)。うち非正規労働者は2166万人で、女性は1475万人と68%を占める。

PRESIDENT Online 2021 June


ちなみに日本で女性の管理職はたった7.8%。
日本は残念ながら、男女の格差においては後進国と言わざるをえません。まず多くの女性が社会参画し、昇進し、管理職になり、、そしてその活動の先にやっと、ジョンやピーターと競うような最低のスタート地点に立てるのだというのが現状でしょうか…(日本だとジョンやピーターに代わる名前は何なんですかね?笑)


1人の女性として、私がヨーロッパで感じたこと

ヨーロッパに来たからといって、男女の機会均等の問題がなくなることはありません。特に私がいるオランダは、ヨーロッパ内ではかなり悪い方です。

それでも私はオランダに来てすぐに「あれ、生きやすいな」と思いました。生きやすいと感じた理由は3つくらいある気がします。

① 男性も女性もいろんな人が問題を認識し「解決すべきだ」と少なくとも口に出している。

②女性同士がコミュニティを作って助け合おうとする姿をたくさん見ることができる。

私がよく行く Female Ventures(女性起業家コミュニティ)


③「女性らしさ」のようなステレオタイプが求められない

オランダでは一口に女性といっても、出身国も文化も年齢もバラバラ。協力はしあうけど、似ている必要はないし建前みたいなのも不要です。

日本の「女子力」という言葉はこわい

ヨーロッパで「Power of women」というと、先述したように「どうすれば女性起業家が投資を獲得できるか?」「どうすれば女性CEOが増やせるか?」という議論です。

一方日本ではどうでしょうか。女子力と聞くと、美容にどれだけお金と時間を使っているかとか、料理とか旅行とか、ジム行ってヨガやってるかとか...
ぜんぜん社会的参画度に寄与しないステレオタイプ的な趣味の話ばかり聞いてきたように思います。なにが「力」なんですかね...?


補足

さて、今回は私が日本にいたときからモヤモヤしていた女性参画の問題と、ヨーロッパに来て新しく得た視点について紹介させていただきました!

補足として、私の記事に偏見があることを述べておきます。私のオランダ経験は、高等教育を受けていて多様性の高い環境に慣れた人たちが多いコミュニティに限られています。田舎に行けばまた文化は違います。格差は世界中どこでも解決していません。

また社会参画の問題は女性だけでもありません。人種の多様性も、ジェンダーの多様性も、多くのコミュニティがありたくさんの方たちが活動しています!



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プロフィール写真をまだオランダで撮ってないのでAI生成画像です(笑)

お仕事の依頼・相談: 顧客リサーチやヨーロッパ進出ご支援します
asako@designguilds.com
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