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バンクシー:安全な場所から、眺めてる場合ではない。そういう緊張感を持ってしまうんだとおもう。

バンクシーについて
それほどよく知っているわけではなかったのだけど
興味がわいて行ってみた「バンクシーって誰?」展

現代のグラフィティアート、としてくくれば
キース・ヘリングやバスキアも有名だけど
バンクシーに対して感じることの種類が
キースやバスキアに対するそれと違ったのは
バンクシーが存命のアーティストであることに
由来しているかもしれない


グラフィティ(=落書き)という
「違法行為」を自らの表現手段に選ぶことは
何が描いてあるかに関わらずそのこと自体が
メッセージ性を強く帯びているようにおもう


よく考えれば
キースはジェンダー、バスキアは人種において
「合法的に」差別されやすい出自をもっている。
法律を始めとする既成の枠の中で
息苦しさ以上の生きにくさがあったことは
想像に難くない。
いろいろと触発されるものは、あるけれども
当時よりも時代が進んだ「いま」からみると
「合法」であることがおかしかったと
判断ができる部分が、それなりにある。
答え合わせが既にできているというか
いまを「合ってる」として、安全な場所から
彼らの遺作を眺めているような気がしている


ところがバンクシーは
自分と同じ時代を生きているアーティストだ。
出自こそ不明だけども、資本主義を始めとする
既成の枠組みへの批判的スタンスがうかがえる。
私みたいな、資本主義のぬるま湯に浸かった者が
何が「合ってる」のか?なんて迷っているうちに
彼はパレスチナの瓦礫に子猫を描いたり
「世界一眺めの悪いホテル」を建てたり
高額落札された自らの作品を、その場で
瞬時にシュレッダーで刻んだりしている。
しかも、その表現手段がグラフィティ。
「違法行為」だ。


安全な場所から、眺めている場合ではない。
そういう緊張感を持ってしまうんだとおもう。
キース・ヘリングは以前から好きだけれども
そんな緊張感を持ったことはなかった



バンクシーは、彼の作品を購入する人を
「こんなの買うやつの気がしれない」と
バカにしているそうだ。
ほとんどコピーしか飾っていない展示会に
わざわざ足を運ぶ私もきっと
「気がしれない」うちの一人なのだろう。

でも、そんな「気がしれない」やつらの
注目を引くことが彼の目的でもあるはずで
もしかしたらそこには
彼自身が抱えるパラドックスが
横たわっているのかもしれない。



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