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劇団ねこのバロン第二回公演「再びの、生きがい」製作記録〜その3

劇団ねこのバロン主宰の折笠安彦(以下、私)です。

23年4月21日から23日に横浜のSTスポットで開催した劇団ねこのバロン第二回公演「再びの、生きがい」製作記録〜その3です。記録とともに、少しでも劇団ねこのバロンを知ってもらいたくて書きます。

その1とその2はこちらです。その1から読まなくても大丈夫です。

その2では、オリジナルの脚本が完成するまでを書きました。

今回は、稽古について書きます。

稽古場と稽古頻度

主な稽古場は、横浜市内の公共施設です。

この施設の中の芝居の稽古に適した場所で行いました。

稽古頻度は、12月から1月は平日に週2回、2月以降は平日週2回、土曜日1回の合計週3回です。

稽古曜日は、キャストの都合で設定していますが、全員が合うとは限りません。
キャストが7人、メインキャストが6人しかいません。それもメインキャストのほとんどが出っ放しなので、欠席者がいても代役がいないんです。

稽古過程の後半の時期になると、音を出してくれた加戸谷さんや、声だけ出演の松尾さんが代役を勤めてくれたので助かりました。
でも、それができない日もあり、そういう時は出ているキャストが、あっちいったりこっちいったりで二役を勤めました。小さい劇団のあるあるでしょうね。
それでも代役をやるというのは楽しいし、本人にも役に立つと信じています。

これでも稽古です

稽古場での心がけ

ハラスメントはしない

演劇界の一部ではハラスメントが問題になっています。このnoteにもそれに関する記事を見かけることがあります。
演出でもある私は、ハラスメントは絶対にしないということを決めました。
当たり前のことであり、決めましたと偉そうに言うことではありませんが。

柔らかい雰囲気の稽古場にする

ある劇団の演出の方が、抜き稽古の区切りで「はい、ありがとうございました」と言ってからダメ出しをしていました。
それに結構衝撃を受けました。
当たり前に稽古しただけのキャストが、演出に感謝される理由はないのですが、そう言われるだけで心が和むんです。
そうすると、次に出てくるダメもすっと入ってくる感じがしました。

それを受け、稽古場はできるだけ柔らかい雰囲気にしました。
ハラスメントはもちろん、あまりギスギスした雰囲気だとキャストが萎縮して、本来持っている実力を発揮することができないと思うからです。萎縮して実力を発揮できない事例というのも見てきました。
それって本当に勿体無い。

コメント出しには理由を説明する

いくら柔らかい雰囲気で稽古しても、稽古は稽古ですから何でもOKというわけではありません。必要なダメ出しもします。
しかし、ダメ出しをする時に、可能な限り何故ダメなのかという理由を説明するようにしました。これはなかなか大変な作業です。
というのは、ダメだと感じる部分には感覚的なことがあり、それをわかりやすい言葉で伝えるのはなかなか難しいんです。
「とにかくダメなんです」では話になりません。
(こう何回もダメという言葉を使うのもキツイですよね)

なんとなくわからないという顔をしていたこともあったので、伝えきれていないこともあったのかもしれませんね。語彙力不足に反省です。

それでも柔らかい雰囲気の稽古場を心掛けたためか、座組のまとまりは良かったと思います。楽しく稽古できましたよ。

お願いしたこと

稽古でキャストにお願いしたことがあります。

「台詞を覚えてもらう必要はあるが、あの場面はああしよう、こうしようと色々と家で作って稽古場に持ってくることはやめてください。」

これは紅月劇団ワークショップで言われたことなんですけど、かなり刺さりました。キャストが家で作ったものを各々が好き勝手に稽古場で出していたら、それがうまく噛み合うわけがありません。

役としてその場に何をするために来ているのかを考えて入り、入ったらその場に身を置いて、相手の台詞を受ける、あるいは周りの環境の変化を感じ、それを咀嚼して適切に反応することを求めました。

全ての芝居がそうだとは言いません。しかし、ねこのバロンではそのような芝居作りをしていきます。

公演会場での稽古ができた!

ある時、会場のSTスポットとも窓口になってくれた鯵坂(いか、会美ちゃん)から「STで本番よりもはるかに安い値段で稽古できますよ。やりませんか?」という連絡が来ました。
「何!それはやる!」という二つ返事を返しました。

本番会場で稽古をすると、声量、広さ感、出る/捌ける、小道具処理、衣装替えなどについて様子を知ることができるという点で非常にメリットがあります。
照明を照らすことはできませんが、音出しもOKとのことでしたので、劇中のダンスや歌も本番環境でできました。

ありがたし!

STスポットで稽古
劇中ダンスの稽古

STスポットで公演を予定している方は、ぜひ!

まとめ

再びの、生きがいの稽古について、その考え方について書きました。
稽古って劇団の数だけやり方があるように思います。
でも、ハラスメントなんてものが、演劇界から一掃されて、関係する人が安心して稽古ができるようにしなければ演劇界の将来は危ういと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回以降はスタッフワークについて。