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氷解【ショートショート】

遠く雷の音が響いてくる。
近づいているのか。
遠ざかっているのか。
降り出した。
どうやら近づいているらしい。

僕は雷が怖い。
家にいるときに雷が鳴ると、迷惑がる美枝子を抱きしめている。美枝子は同棲して二年になる彼女だ。
僕は美枝子のことが好きなわけではなかった。嫌いではないし、一緒にいて楽しい。
けれどそれが、一緒にいる対象が、どうしても美枝子である必要がなかった。
美枝子のように居心地のいい相手であれば、誰でもよかった。
僕はただ、一人になることを恐れていたのだ。

僕には3つ下の弟がいる。幼い頃弟は病弱で、何度も入院した。
その度に母は弟について行ってしまう。
僕は寂しかったが、弟も母も悪くないことを知っていたので、けっしてそれを口には出さなかった。
だが、ある時、僕は泣いてしまった。
授業参観日のことだった。母が来てくれると言っていたので、僕は楽しみにしていた。授業中、何度も振り返る。けれど母はいない。その日結局母は来なかった。
帰り道をとぼとぼと歩いていると、途中母と行き合った。僕は泣いた。母も泣いていた。

僕は両親が死んでしまうことをいつも恐れていた。
彼女の換えはいるけれど、両親の換えはいない。
僕は両親をこんなに愛していることに、大人になるまで気づかなかった。
けれどもう大人だから、それを隠して生きている。
彼女のことを一番に愛しているフリをし、このまま行けば結婚をし、温かい家庭を築いているフリをするだろう。
けれど僕は美枝子のことも、これまで付き合ってきた誰のことも、本気で好きになったことはないような気がする。

「ねえ、洋平、別れてくれない?」
「…え?」
あまりに突然のことに、僕はパニックになった。
「私じゃ…私じゃだめなのかなあって…私じゃ洋平の傷は埋められないのかなあって思って」
美枝子は泣いていた。
「洋平の抱えてる悲しみ…気づいてた。けど、洋平はいつまで経っても頼ってくれないから、心を開いてくれないから、だから私じゃだめなのかなって思って」
気づくと、僕の頬にも涙が伝っていた。
「ごめん…ありがとう」
僕はそれしか言えなかった。けれど美枝子は抱きしめてくれた。
「ごめん…」
美枝子は泣きやんで、僕だけが泣いていた。
僕に張り付いていた、氷が解けていった。
僕は、恐れていた。誰しもがいつか自分の元を去る。いつもその時のことばかり考えて、心の底から相手のことを好きにならないようにしていた。
けれど僕は、もう恐れないことにした。
先のことは分からない。けれど僕は、美枝子と歩いていこうと思った。


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最初は題材が違ってたので、文章のテンションに一貫性がなくて、ゴメンナサイ😭

先日はご心配をおかけし、すみませんでした。

先週末から、どうも腸炎?食中毒?になってしまいました。

夏の疲れが溜まりきって、うつ状態になっていたみたいです(^_^;)


ここのところ、毎年秋に体調崩すのですが、どうも夏の疲れのせいだと分かりました。

この時期体調崩されてる方多いと思います。

踏ん張りが効かないのはご自分のせいでなく、体が疲れてらっしゃるのですから、どうかご自分に鞭打ったりなさらないでくださいね✨

来週の月曜日から3日ほど入院してきます☺

悪化ではないのでご心配なく(^_-)

ところで、病院ってDVDプレーヤーついてるものですかね?厚生連の病院なんですけど…。

3日もいると、きっとヒマだろうなあと、本とdvd持って行くつもりです(^○^)

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