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トーストから始まる恋【ショートショート コメディ】

私はさくら。花の女子高生。いつもは余裕持って出るんだけど、今日はちょっと寝坊しちゃった。てへ。

「いってきまーす」

いつものように…おっと、いつもは落ち着いて食べてから出るんだけど今日は間に合わないので、トーストくわえて走る。

「ひゃばーひ、ひこくひひゃふ(やばーい、遅刻しちゃう)」トーストくわえながらだと、こんな喋り方になる。

三丁目の石井さん家の角を猛スピードで曲がる。毎日のことだから慣れたものだ。

だけど今日は予想外なことが!

「きゃっ…いたたた」

反対から来た学ランの人にぶつかった。イケメンかな、と期待しながら見上げる。

「ごめんなさい!今日日直で急いでて………げえ!と思ったらなんだ多古くんかぁー」

せっかく、少女漫画でよくある、イケメンとの出会いかと思って、最初のデートは遊園地!とか妄想しながら、かわいこぶって言ったのに。そこにいたのは一丁目の地球外生命体の多古くんだった。

「なやえはゆあてほさから」

「大丈夫、怪我してないから。多古くんは大丈夫?」

「ふとけねにこなふとのね」4本の手を振りながら大丈夫だと言ってくれる。

「よかった。ごめん!ガチに急いでるから、また今度ねー」

多古くんは「気にしないで」と、手をふってくれた。

彼は、幼稚園の時からの幼馴染だ。火星から来たらしい。他の市にも地球外から来た人はいっぱいいるんだけど、私の住むとこは特別多いみたい。今のクラスにも木星から来た伊加さんや、もっと遠い冥王星から来た小折さんなんかもいる。ちなみに私が通ってるのは女子高だ。とほほ。出会いほしいな。


「ふぅー、終わったぁ」

「さくらー、帰りになんか食べてかない?」

「いいねー、いくー!」

というわけで、私は友達のあんずとあんみつを食べに来た。

お店の中が満席で、今日は温かいし、テラスでいいよね、とあんずと注文してテラス席で待っていると、あれ?おかしい、目が回る…??あ、遠くであんずの声が…。


気づいたら、私は自分の部屋のベッドの上に寝ていた。

「あれ?私なんで家に…あんみつのためにお昼ごはん代ケチったのにあんみつ食べた記憶が…」

ぼんやりしているとペットボトルのお茶を持って多古くんが部屋に入ってきた。

「あれ?多古くん、どうして…」

「ゆてけふきにけねえぬなかめき」

「え!そうだったんだ、私、お腹すきすぎて倒れて、多古くんが家まで運んでくれたんたぁ、ごめんね」

多古くんは、いやいや、気にするなと手を振っている。

多古くん…ずっとちっちゃい頃からそばにいてくれて、もしかして私のこと好きなんじゃ…。あ、なんかドキドキする。

「多古くん、私、多古くんの彼女に立候補してもいい?」

「!……むねこしおとのにえそめそ…ごめん」

あ。…やだー、さくらの勘違い!!!

「いいのいいの!気にしないで!母国のフィアンセとお幸せにー」

さくらの恋、1日で終わりましたー(T_T)

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タコくんのセリフは、適当にフリックして打ってみました。




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