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ハロルド・ピンターの戯曲を読了

久しぶりに戯曲を読みました。

俳優時代の後期、買ったけど読まなかったやつですw

俳優を目指す人達は最初はハムレットやかもめといった古典を稽古で使う事が多いですが、このハロルド・ピンターは近代の劇作家です。

時代もそんな遠くないので現代人の感覚に近い言動を登場人物たちはします。

この戯曲を買おうと思った理由なのですが、

「サブテキスト」をしっかり埋めないと演じる事ができない、役は言葉に発している内容とはまるで違う気持ちを抱えているはず、そんな探り合いの戯曲だと聞いたからです。

人間というのは本音で語る機会というのは非常に少ない、台本には書かれていない、何か声に出せない想いを抱えているはずだ、だから俳優もその感覚を芝居で反映させなければならないというのを勉強していた時だったのでいいかもしれないと思ったのですよね。

で、数年の時を経て読んだわけですが・・・む、難しすぎる・・・、

というのが正直なところ😓

「間」というト書きが多すぎる・・・これをどう解釈すれば良いんだ?と頭を抱えるのは必至です。チェーホフでもこんな多くなかったろうにw

そもそも役がなんでこんな事を言うのか、こんな行動をするのか理解できないんだけど・・・と思ったら訳者あとがきにも書かれていました。

しかし人間には、他人の行動を認識することができても、行動の動機や理由を理解できるとは限らない。ある行動を選ぶ当の人物にとってさえ、自分がなぜそんな行動ををしたのかが分からないことがある。

リアルはそんな全ての動機・理由が分かるほど単純ではないんですよね〜。

それと同じように人間は平気で嘘をつくし、人によって態度や口調を変える、同じように生きた人間が登場する台本に書かれていることが作家、役が相手に伝えたいことなんて思わない方がいい、

こんな風に教わってからは自分の芝居観が変わったのを思い出すな〜。

収録作の中でも「背信」が面白いと聞いたのですが、これも最初は役たちは何を言っているのかさっぱり分からなかったのですが 笑

それもそのはず。この戯曲、時間を遡っているので、物語が進んでいくうちに前の場面のセリフの意味がわかったり、全体像が見えてくる形になのです。

時間が真っ直ぐ進まない戯曲というのも俳優は演じるのが大変だぞ〜w

最初のシーンからその時間分の積み重ねを抱えて演じなければいけないわけですし、適当に演じるのが許されない、というかできない戯曲ですね。

この戯曲こそ「サブテキスト」どう埋めるのか、芝居大好き人間はものすごいやりがいを感じるかもしれませんが、心折れる作業でもあると思います 笑

今まで学んできた事をnoteで自分の言葉で言語化して、演技に対する理解は深めたつもりでしたが、この戯曲はそれでも理解が難しい大変、難解なものでした。

芝居、人間の心というのは果てしなく奥が深いですね。

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