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雑談のノリで余命宣告されたので

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"先日、雑談のノリで余命宣告受けまして。 希望としまして、延命措置せず「ピンピンころり」を選択しました。" This is our Ending note.
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体調が悪すぎる

体調が悪すぎる

物語調で自分のことを書くって難しいですね。
死にそうすぎてそんな余裕ない。

という気持ちになったり、
今年いっぱいで今まで達成してなかったこと片付けるぞ!

と、闘志が燃える日があったり、
情緒が乱気流に乗ってる。そんな状況です。

ですが、しょせん人の日記です。
自分のエンディングノートも兼ねてるかもしれないし、
旅立つ何日前あたりはこんな気分という備忘録の日があっても良いのかもしれない。

やること4、読みたい本を読む

やること4、読みたい本を読む

仮に1年数ヶ月の命だとして、あと何冊読めるか考えるとおよそ50冊くらいになるはずだ。
現に父から渡された本屋大賞の本も300ページほどだったから読了まで1週間かかるだろう。

学生時代、文献を大量に読み漁る学部に4年いたおかげで、活字アレルギーを起こすことはない。が、問題は内容だ。
感情の起伏が激しい物語は乗り物酔いみたいな胸焼けが残ってしまう。
薄さのわりに情報が押し込まれ、ちょっと仲良くなった

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やること3、父と暮らす

やること3、父と暮らす

血便が出た。
もしかしたら、バリウム出すのに力んで切れ痔になっただけかも。
検査結果来る前に肛門科行くか…いや、もう少し材料集まってからにしよう。

5:48。父は起きてお茶をしばいてた。

「お父さんおはよう」
「おはよう。お茶いる?」
「うん、ありがとう。」

天気雨がしとしと降る音をBGMに、
お茶をすする音、新聞のパラパラめくれる音が縁側に落ちる。
子どもの頃はこのBGMに公文の宿題を解く

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イカロスの夢2

イカロスの夢2

何もないはずの駅に降り立つと、
例の駅員と誰かが言い争っているようだった。
何を話してるのかまでは聞き取れなかった。

するとどこからか出てきた黒い影のようなものに、
その人が囲まれて、消えた。
怖いとか逃げなきゃみたいな気持ちは起きなかった。

「別のお客さんも来るんだ。」
「…顔みました?」
「いいえ、ぼんやり影っぽくて全然。話してた言葉もよくわからなかったです。」
「そうでしたか。いつも通り

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やること2、祝福せよ

やること2、祝福せよ

結局実家に着いたのは夕方6時で真っ暗だった。
「おかえり、何かあったの?」
「私の誕生日祝って欲しくて帰ってきた。お父さんの好きなモンブランにしたよ」

祝福してほしいのは本音だったのかもしれない。
思えば祝福どころか、誕生日だったのに散々だった。

「何歳になったんだっけ?」
「34かな。」
「そっか。じゃあ刺身で一杯やるか。」

語呂合わせで刺身になった。
31って言ってたらサーティワン祭りだ

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やること1、断捨離

やること1、断捨離

事情聴取が終わって解放されたところでマウイと合流した。
松井という苗字だが、彼の顔の濃さと体格の良さに敬意を表して「マウイ」というあだ名が定着した。
「警察沙汰か?手上げてないか?大丈夫か?」
「自分からは手出してないから大丈夫だ。ありがとう。」
「せっかくだし、気晴らしに喫茶店でも行くか?」
「その前に病院に用がある。」

火曜日に保険証や診察券を取りに行こうと思っていたが、サトシの件があったの

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再会

再会

「もしもし、どうしたの?」
「今日って時間ある?昨日のMRIの結果でお話ししたいことがあるんだけど。」
「ない。じゃ、」
「あ、待って!水族館デートしませんか?」
「は?むり。」と言って切った。
なぜ、私がMRIを受けたことを知ってるんだ?仮に病院の職員だとしても、守秘義務という観点で先に個別で電話をかけるのはいかがなものか。そもそもいつサトシと電話番号交換した?
朝から腹立たしい。

車ではなく

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誕生日、人間ドックへ行くことに

誕生日、人間ドックへ行くことに

「最近、イカロス…鳥人間コンテストしながら島から脱出するみたいな夢見るのよね。」
「なんだかICO(昔の孤島脱出ゲーム)みたいだね。」
ユナのくちびるが桜色に塗り変わる。春色のリップいいな。

「毎回流れは一緒なんだけど、駅員さんから返される切符の有効期限だけ、どんどんカウントダウンしてくの」
「えー、余命宣告みたい」
「でも健康診断でどこも異常ないんだよ?」
「いうて、今までバリウムとか血液検査

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プロローグ: パイプ椅子のイカロス

プロローグ: パイプ椅子のイカロス

夢の中で空を飛ぶ。
よくある夢のひとつだと思う。
でも、「パイプ椅子振り回してたら空飛んでたわ」
なんて人は稀だと思う。

その夢の中でパイプ椅子を操って、翼のように自在に飛べた。
「エーゲ海はええ下界…」
しょうもないことを言った瞬間、バランスを崩して落ちかけた。
幸い近くの駅に無事降り立つことができた。
よく見ると蔦が絡まり、廃屋と化した駅舎だった。

誰もいない。
左から快速電車が颯爽と駆け

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