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ひっきりなしに声をかけられ連れ込まれるホスピタリティの国、イラン
標高1000~2000mほど、イラン高原を行く。
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峠に達すると、果物売りの人たちに手招きされて、チャイをいただいた。
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イラン人は、角砂糖を口の中に入れてからチャイを飲む。
やってみたら、砂糖の存在感が倍増してナイス。
スイカも甘くて最高においしい。
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「ジャパーン! グッドカントリー!」と言ってくれる。
日本人はイランの文化についてほとんど知らないが、イラン人は「おしん」とか「水戸黄門」とか「キャプテン翼」とか、意外なものをよく知っている。
日本に行ったことのないイラン人も口をそろえて「ジャパン! グッドカントリー!」と言うのはこういう日本文化の浸透も影響しているようだ。
もちろん日本に行ったことがあるイラン人も多いことは、テレカ世代の人ならよく知っているでしょう。
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ゴムという街。
やはり街を歩いていると、よく声をかけられる。
ミニスーパーに入ると、店員も客も興味津々の目で僕を見る。
店員にからまれた。
「オレたちはゲイだ! ジャパーン! イェーイ!」
とバカみたいに騒いで、抱きつかれたりキスされたりした。
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「短パンなんか履いて素足を出しやがって、ここはイスラムだぞ、クレイジーな日本人め!」
「クレイジーはおまえらだろ、イスラムでは同性愛はご法度だろ!」
とやり合うと、一同大声で笑って盛り上がる。
女性だけでなく男性も、肌を露出するのはよろしくないのは知っている。
ラフな格好でモスクには入らないようにはしているが、街を歩いているだけでもよく足を凝視される。
でも暑っ苦しくて長ズボンなんか履いてらんない。
ごめんなさい。
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手を振ってくれるドライバーの多いこと。
止まって飲み物や果物を差し入れてくれる人もいる。
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標高2000mほどでキャンプ。
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標高1500m、イスファハーン。
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16~18世紀に都として栄えた。
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イランのオープニングアワーは、ラテンのシエスタに似ている。
ランチタイムが終わると、ほとんどの店は閉まってゴーストタウン状態になる。
ディナータイムは20時からスタート。
僕はふだん買い物も晩飯も明るいうちにすませて、夜は宿でのんびりすごすのが習慣になっているので、なかなか慣れず調子を狂わされる。
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標高1200m、ヤズド。
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ヤズドは、ゾロアスター教の本拠地。
ゾロアスター教は古代ペルシャを起源とし、7世紀にイスラム化するまでペルシャで信仰されてきた。
現在はヤズドの住民の1割がゾロアスター教徒で、寺院もある。
ちなみに、開祖の名ゾロアスターをドイツ語読みするとツァラトゥストラとなり、ニーチェの「ツァラトゥストラかく語りき」のモデルである。
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シーア派の特徴は、
偶像崇拝に対して比較的寛容で、ホメイニーの肖像などはあちこちで見かける。
スンナ派のアザーンが1日5回に対して、シーア派は1日3回で、ボリュームも控えめ。
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何て書いてあるんでしょうね。
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想像を超える気温上昇。
標高1000mで真夏でもないのに37℃にもなるなんて反則でしょう。
暑い、乾く。
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街と街の間隔は100km以上。
水の管理を誤ると生死に関わる。
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道路の下の排水用トンネルが唯一の日陰。
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キャンプ地もこれ以外の選択肢はなく、毎晩道路の下で寝る。
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もう少しで水が切れるというところで、小さな街が現れた。
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砂漠に現れた小さなオアシスでも、ここのおばさんは英語を話せた。
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「あなたのインスタ教えてよ」と言われた。
Facebookもtwitterもブロックされているイランでは、Instagramが大人気。
どのSNSが普及しているかは、国によって大きく偏りがある。
それはいいのだが、メッセージのやり取りをする際のプラットフォームが世界的に統一されていないのはとても面倒だ。
僕としては、有名なものは一通りアカウントをつくっておかないと、出会った人と連絡先の交換をするのに困る。
SNSはひとつにまとめて統一するのが理想、複数のものに手を広げるのは煩わしい。
次の補給地まで160km。
炭酸6Lと水3Lを買いこんで、また砂漠へ。
街にたどり着く頃、車が止まって「ウチに泊まりなさい」と声をかけてくれた家族。
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僕はペルシャ語はまったく話せないというのに、子供たちはおかまいなしにペルシャ語でガンガン話しかけてくる。
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都市から離れた田舎街ほど、ひっきりなしに声をかけられたり、ごちそうになったり、家に泊めてくれたりする。
感謝の気持ちで一杯なのは言うまでもないけど、こういう国民性ってどうやって形成されるのだろうか。
次の街では、ケーキ屋に連れ込まれた。
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酒が禁じられているイスラムでは、嗜好品として水タバコはとても一般的。
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なんだか全然仕事しないな、この人たち。
「日本人が来たぞ!」と家族親族が続々と集まってくる。
この金髪お母さん、イスラム社会では相当イケイケな方。
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初対面でいきなり「セルフィー! セルフィー!」と一緒に写真を撮りまくり、その後も僕の写真を撮りまくってその場でインスタに上げていた。
箸が転がってもおかしい年頃ってわけでもないだろうに、ちょっとしたことでもケラケラ笑ってキャーキャー騒いで、愉快な人だった。
女性と接することがめったにないイスラム圏でこういうのは、なかなかめずらしい。
もう一人お母さんがいたが、その人は黒衣装で黒いスカーフをしっかりかぶり、僕には親切に接しくれたものの、写真は撮らせてくれなかった。
みんなでケーキづくり。
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日本人は、人と出会っても最初に名前を聞かないことが多いが、世界の国々ではまず最初に互いの名前を伝え合うのがふつうだ。
僕の名前「リョウ」はほとんどの言語で存在しない発音で、いつも相手を困らせてしまう。
厨房にホワイトボードがあって、スペルを書いてくれと言われて書いてみたが、そもそもかれらにとって存在しない発音なのだからスペルを教えてもムダなのである。
しかも「リョウ」という発音に「RYO」という日本式ローマ字表記は明らかに間違っており、感覚的には「LYO」の方が近いと思う。
さらにムダなことだが、漢字で自分のフルネームを書いて見せたら、皆さん「オー! ビューティフル!」と大いにウケた。
「君の名前をケーキに書いてくれ!」
「えっ!?」
なんだかよくわからない展開になってしまったが、「ぜひぜひ」と言うのでチョコソースで書いてみた。
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完成。
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売りに出されちゃったけど、いいの?
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消防署の敷地内でテントを張らせてもらった。
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トイレとシャワーもあり、食事まで出してくれた。
とにかく誰もが親切だ。
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聖地マシュハド。
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カメラの持ち込みは禁止だが、なぜかスマホでの撮影はOK。
流暢な英語を話すここの聖職者たちも、日本人だと答えただけで目を輝かせた。
日本のヒーターはグレートだ、車もグレートだ、ハヤオ・ミヤザキもグレートだ、と。
僕自身は何もしていないのに絶賛されまくって変な気分になる。
流暢な日本語を話す巡礼者のおじさんからも話しかけられた。
1980~90年代に日本に15年住んでいたという。
「オレの日本語はどうだ? まだ忘れないよ」
「オレは毎晩トルコのビールを飲んでるけど、アサヒスーパードライが恋しいよ」
「東京じゃよく六本木に行ってナンパしたぜ」
などなど、隣に奥さんいたのだが日本語わからないのをいいことに、ぶっちゃけてくれた。
「歳はいくつだ? なんで結婚しない? ひとりはよくないよ、イランの女はどうだ? 結婚しなよ」
と、くどくど言いながら去っていった。
マシュハドにある外国人向け定番宿。
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ここでは、前もってオーダーすると奥さんがディナーをつくってくれる。
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驚くほどうまい!
レストランのメニューにはこんなものない、まるで別物じゃないか。
どうやら、イランでは外食産業が盛り上がらないらしく、飲食店といったら布みたいな生地のケバブ屋か、雑なファーストフード屋か、の二択となる。
ふつうに旅してたら、これがイランの食文化なのかと見下してしまうが、家庭ではこんなにもバリエーション豊かでオリジナリティあるものが食されていたとは。
ネバネバした食感のものが多いというのも興味深い。
我々日本人もネバネバ大好きだ。
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こんなにガツガツモリモリむさぼったのは、イランでは初めてだ。
宿のオーナーは他の旅行者たちに言う。
「多すぎて残してしまっても気にしないで、リョウが全部食べてくれるから、ハハハ!」
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