若きフィリピン、成長する未来はあるものの過密さと汚染と貧困の渦
首都マニラ。
空港から走り出すと、たちまちバイクの波に飲み込まれる。
自転車レーンあり。
しかし交差点が近づくと右折車が自転車レーンに侵入して迫ってくる。
信号が赤になると、右折車が自転車レーンをふさいで進めなくなる。
バスもいちいち自転車レーンをふさぐ。
この矛盾を解消できないでいる国は多い。
想像していた以上の近代的大都市。
しかしクラクションは鳴る。
そして格差。
あちこちにセブンイレブン、ミスドもある。
セブンイレブンの中にもミスドコーナがある。
肉まんや唐揚げも。
コンビニ文化で日本を近くに感じる。
我々にとっては当たり前の見慣れた光景でも、世界的にはこういうコンビニ文化はごく局地的。
セブンイレブンに客が来るとドアを開けてくれる人がいる。
物乞いだ。
唐辛子は全力で拒否したいが、ローカルフードはやっぱり気になる。
おお、おいしい。
辛くない。
唐辛子さえ入ってなければアジアンフードは何だっておいしい。
ただ、腹はまったく膨れない。
もう1軒。
ラーメンのようだが味はまったくラーメンとは違う。
化学調味料は一切使ってなさそうな、なんとも素朴な味。
食事をしていると、10歳ぐらいの子供が店に入ってくることがある。
物乞いだ。
現金社会。
キャッシュレスは進んでおらず、カード払いできる店はごく限られている。
自分と似た顔の人たち。
コンビニ文化、多様な食、和食屋も無数にあり。
もはや食に不自由することはない。
これはもうほぼ帰国したと言っても過言ではない。
決定的な違いは、若さ。
平均年齢24歳、日本の半分。
出生率は2.7、東南アジアではトップ。
人口1億958万人。
日本を超える人口大国になるのも時間の問題。
現在の大統領は、かの独裁者マルコスの息子。
副大統領は、かのドゥテルテの娘。
なんとも不気味な強キャラぞろい。
ドゥテルテ元大統領も含め、現政権も高い支持率を獲得しているのは国が急成長の最中にある証拠か。
民主主義の末期症状でどうにも立ち行かず衰退の一途をたどる老衰国日本からすると、独裁色の強い若きASEAN諸国がこれからどう手腕を振るっていくのか、見ものだ。
巨大ショッピングモール多数。
YOSHINOYA!!!
味は文句ないし、割高なのも仕方ない。
ただ、なんでこんな少ない!?
ミニミニサイズすぎて食べたうちに入らん。
フィリピン人は日本人より少食なのか、たしかに体格が小柄だ。
MARUGAME!!!
久々に冷たいうどん食べたかったけど、長蛇の列で断念。
ラーメン屋多数。
味は文句ない。
ただただ少ない。
お子様じゃないのだが。
満腹を知りたい。
ダイソーを始め、日本の雑貨専門店なども多数ある。
店内で商品を見てると、やっぱ日本製ってすげーなーと感心。
日本の影響力は低下する一方とはいえ、製造業におけるジャパニーズクオリティは依然として世界トップだ。
マクドナルドは、ビッグマックのセットが250ペソ(672円)。日本より安い。
ビッグマックの価格でその国の物価や経済力が計れるという「ビッグマック指数」は興味深いものだが、もちろん大雑把な指標にすぎない。
先日、物価の安いスリランカでマクドナルドがやけに高くて驚かされたが、なんとスリランカはビッグマック指数で世界9位にランクインしている(ただしユーロ圏を1ヶ国としてカウントしたランキング)。
アルゼンチンも上位にいるが、おそらく公定レートで換算しているせいだろう。
裕福な欧米諸国が占める中、スリランカがトップ10入りしているのは何かのバグとしか思えない。
理由は不明だが、経済や物価というのはそれほど単純ではないということだ。
一体いつになったらマニラから脱出できるのか。
もしかしたらすでに脱しているのかもしれないが、この交通地獄は果てしなく続く。
バスジャマすぎ問題。
いやバスだけじゃないのだが、どいつもこいつも次から次へと自転車レーンを立ちふさぎ、行く手を阻む。
日本と違って、老人はいない。
朝のラッシュアワー、バスに乗る多くは学生。
若者なら自転車通学通勤でもすればバスを減らせると思うのだが、ムリなのかなー。
自転車なら交通費も維持費もタダ同然ですむし渋滞も改善されるのに。
貧困国ほどバス離れができないのはなぜなのか。
貧困国ドライバーというのは、発進する時に決して後方確認をしないので、いつも自転車とぶつかるタイミングで走り出す。
停車する時もちょうどぶつかるタイミングで行く手を沮み、発進する時もちょうどぶつかるタイミングで行く手を沮む。
何のためにミラーというものが付いているのか、考えてみたことないのかな。
逆走車も多い。
やむにやまれぬ事情があって一時的に逆走しているわけではなく、ふつーに逆走してる。
ただでさえジャマ者だらけなのに、どうして逆走車までこっちがよけてやらなきゃならんのか。
どいつもこいつも、規定のレーン内をおとなしく走っていられんのか。
日本では「他人に迷惑だけはかけるな」という教訓が行き過ぎたあまり息苦しい社会になってしまったが、フィリピンの交通は「他人に迷惑だけかけて生きろ」と教育された人たちの集まり、みたいな感じ。
フィリピンは、7641の島からなる世界7位の多島海国家。
ちなみに日本の島の数は6853で世界8位。
総面積は、日本から北海道をのぞいた面積ほど。
最大の島は首都マニラがあるここルソン島で、韓国やアイスランドと同じぐらいの面積。
人口5700万人、これも韓国と同じぐらいか。
マレー系を始めとする多民族国家。
言語も多数におよぶが、公用語はフィリピン語(タガログ語)と英語。
タガログ語はもともと独自の文字があったが、現在はラテン文字のみ。
キリスト教93%、でも強い宗教色は感じられない。
1521年、世界一周中のマゼランが到来。
スペインの植民地となり、フェリペ二世にちなんでフィリピンと命名された。
現在もスペイン語由来の言葉が多数見られる。
全世界がスペインとポルトガルによって二分された大航海時代初期。
1529年サラゴサ条約で定められた子午線によると日本はポルトガルの支配エリアということで、ザビエルがやって来て南蛮文化がもたらされた。
フィリピンも同じくポルトガル圏だったのだが、サラゴサ条約以前にスペインが領有したという先取権により、スペイン支配が維持された。
1898年、米西戦争。
領土拡大の野望で広大な本土を獲得したアメリカは、飽き足らずスペインを打ち負かし、スペイン領であったキューバ、プエルトリコ、フィリピン、グアムまでも掌握。
フィリピンでの英語の通用度の高さはアメリカ植民地時代の影響。
1941年、日本がアメリカを駆逐してフィリピンを支配。
この時に追放されたアメリカの在フィリピン司令官が、かのダグラス・マッカーサー。
マッカーサーはこの敗戦の屈辱を、後に日本でリベンジすることになる。
コンビニの元祖セブンイレブンはもともとアメリカの企業だったが、1991年に日本が買収。
イートインもあり、エアコンの効いた店内でランチ。
1965年より国の発展に寄与したマルコス大統領は国民からの支持を得た後、独裁化。
大統領夫人イメルダの贅沢三昧などでも悪名高いマルコスファミリーであったが、反対勢力のアキノ氏暗殺、不正選挙発覚などで国民の怒りが爆発。
1986年市民革命によって政権崩壊、その後アキノ未亡人が大統領となって民主化された。
2016年に大統領に就任したドゥテルテは、人権無視という国際的非難を浴びながらも衝撃的なパワープレーで麻薬組織を撲滅し、治安を回復させたことで人気を博した。
トランプ、プーチン、エルドアンなどと並ぶ剛腕政治を象徴するひとりとして世界にインパクトを与えた。
ドゥテルテはかねてからマルコスファミリーと付き合いがあり、退任後に独裁者の息子ボンボン・マルコスを次期大統領に立て、副大統領に自分の娘サラ・ドゥテルテを立てた。
ドゥテルテ自身はすでに政界引退を公言しているが、現政権においてもそのバックで強い影響力をおよぼしていると推測される。
都市圏から脱しても、交通量は多く人の気配が絶えない。
路面もボコボコでひどい。
中国におねだりしてまともな道路をつくってもらいなよ、という時代はもう終わってしまったのか。
思えばスリランカは、交通はメチャクチャでも道路は新しく路面はきれいだったな。
物価は、世界的な異常インフレを思えばフィリピンはまだ安い方。
炭酸1.5Lが65ペソ(175円)前後。
宿はだいた2000円以下ですむ。
田舎街でも交通地獄。
排気ガスで喉が気持ち悪い。
そりゃ老人はいないわな、こんな環境で長生きなんかできるか。
戦前みたいな風景だが、大きめの街なら近代的ショッピングモールがある。
ロードバイク乗りのおじさんに声をかけられ、ごちそうになった。
65歳、自転車に荷物を積んで旅をするのが夢だけどフィリピン人の経済力ではなかなか難しい、と。
写真や動画を撮られまくった。
マヨン山(2463m)。
フィリピンは火山の国、地震の国、台風の国。
マヨン山は活火山で、たびたび噴火している。
ルソン島からフェリーを乗り継いで、セブ島へ。
セブシティ。
また地獄。
フィリピン随一のリゾートとして名高いセブ島。
リゾートなんだからいろいろクオリティが上がって快適になるのかと思いきや、とんでもなかった。
ゴミとヘドロの貧困街。
ひっどい環境。
ルソン島より劣悪。
川も、目をそらしたくなるような汚染されたドブ。
こんなのが流れ込む海で泳ぐのか。
セブ島は南北にのびる細長い島で、面積は山梨県ほど。
どこへ行っても交通量は多いしクラクションは鳴るが、この辺はだいぶマシか。
物価上昇。
クオリティは上がらなくとも、リゾートというだけで高くなる。
宿は2000円じゃすまなくなってきた。
まともなスーパーがなくて不便、食料の調達に困る。
やっぱルソン島は大都会だったんだな。
たまに小さな街に現れるセブンイレブンが唯一の救い。
セブンイレブンでは冷たいドリンクはもちろん、ソフトクリームも売ってる。
道路環境は劣悪、路面はボッコボコ、快適なサイクリングは到底望めない。
あちこちで工事をしているようだが、進捗はとても悪そう。
ただ重機で掘ったりしているだけで、新たに生まれ変わった路面は1箇所も見当たらない。
10年後にまたここに来たらどうなってるのかな。
セブシティに戻る。
排気ガスで喉が気持ち悪い。
セブシティのすぐそばにあるパッと気づかないほど小さな島、マクタン島へ。
観光収入って、国によってはGDPの大きな割合を占めるけど、印象としては格差を生み出してばかりで、貧困層の底上げまでは至らないように思える。
セブ島はマゼランが殺された地と言われているが、正確にはここマクタン島。
当時ここはイスラム圏で、キリスト教の布教を始めたマゼランに対してラプラプという領主が激しく抵抗し、巧みな戦術で返り討った。
世界史的には主役はマゼランだが、ここでは侵略者を討伐した勇者ラプラプが英雄となっている。
ラプラプの背後に、マゼランのモニュメント。
上端部が損失してしまっている。
手入れもされておらず、雑草が生えている。
マゼランはここで没したが、部下たちはスペインに帰還して世界一周を達成。
そしてその後、結局フィリピンはスペインの植民地となってしまう。
とにかく暑い東南アジアの文化といえば、なんたってかき氷。
フィリピンではかき氷は見かけないなと思い調べてみたら、なんとあのハロハロがフィリピン原産なのだそうだ。
ミニストップという傑作スイーツを生み出すコンビニは今も存続しているだろうか。
個性あるコンビニはどこも三大巨頭に吸収されてしまって、日本のコンビニ文化も昨今はめっきりつまらなくなってしまった。
ともあれもう出国間近、急げハロハロ!
紫色のアイスは、ウベと呼ばれるヤムイモの一種が原料。
ココナッツミルクに浸されたシャーベットに、ゼリーなど複数のトッピング。
ミニストップのハロハロとはまったく別物。
「ハロハロ」とは「ごちゃまぜ」という意味だそうで、自由なバリエーションがあっていいんじゃないかな。
マレーシアのチェンドルを思い起こさせる。
おそらく最初期はもっとシンプルで、チェンドルと同じような原型だったのではないだろうか。
追加。
店員のお姉さんがめずらしがって、僕の写真を撮りまくっていた。
やっぱり、熱帯ではかき氷しか勝たん。
ついさっきまで、とっとと出国してしまいたいとしか思ってなかったのに、すっかり上機嫌ハイテンション。
もう1軒。
見えていない下の方はココナッツミルクベースのシャーベット。
1軒目もそうだったけど、トッピングにコーンを入れるのだけはいただけないな。
他の東南アジアのようにかき氷専門店とか屋台があるわけではなく、軽食店のひとつのメニューとしてハロハロがある、だから今まで気づかなかった。
もういっちょ。
Chowingという中華ファーストフードチェーン。
Halo Halo Supreme。
5人前。
完。
もう思い残すことはない。
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