サイクリング・ヒマラヤ、自転車で登ってみる標高5416m
標高800m、ネパール第2の都市ポカラ。
ヒマラヤのアンナプルナ山系を一望。
マチャプチャレ(6993m)。
神聖な場所とされて登頂は禁じられており、未踏峰。
ポカラを基点としてアンナプルナの山々をぐるっと周る「アンナプルナサーキット」をサイクリングする。
ヒマラヤを間近に見ながら走れる稀有なルート。
一周425km、その一部がトレッキングコースとなっているが自転車での通行も可。
草が歩いてる。
欧米人トレッカーに人気のアンナプルナ・サーキットだが、トレッキングのためにつくられた道路ではなく、ここに住む人々の生活道路となっている。
一日何十本もの川を渡る。
一応、道。
車両が通行することを前提につくられていないため、ふつうの道路ではありえないほどの急勾配。
歩いた方が早かったりする。
標高が上がると、再びそこはチベット仏教圏。
低地のネパール人とは民族も言語も宗教も違う。
インドのラダックと同じチベット人。
一回転させると一回お経を唱えるのと同じ功徳があるというマニ車。
ネパール人もやはり自転車を触りにくる習性がある。
特に子供は「サイクル、サイクル」と言いながら吸い付けられるかのように自転車に向かってきて、触りまくる。
これぐらいの年齢ならかわいいので許す。
標高3000m。
アンナプルナⅢ峰(7555m)。
いい感じ。
ガンガプルナ(7454m)。
ありがたいことに、数kmおきに村がある。
村には宿、レストラン、売店がある。
道がどんなに険しくとも、必要なものはそろっているので困ることはない。
宿は1泊200円前後と安い。
ただ、食費などの物価は標高とともに上昇していく。
ネパールはとても物価の安い国だが、ここでは僕の活力源であるコカコーラも高くて手が出ない。
ホットシャワーやWi-Fi等も標高とともに消失していく。
ローカル向けの安いレストランを見つけてお邪魔してしまうこともある。
やっぱりたまらん、チベタンフード。
モモ。
トゥクパ。
チベタンブレッド。
チャイもおいしい。
山というよりは巨大な氷の塊のようなヒマラヤが間近に迫る。
標高4000m。
ラダック&カシミールで高度順化したおかげで、この標高でも平気。
宿はいたって質素で、ここまで来ると電気も通っていないが、寝場所と食事をいただけるだけでもありがたい。
道。
歩いた方が早い道。
もはや自転車は荷物。
押して歩くこともできない。
バッグをはずしてバッグだけ担いで運び上げ、戻って今度は自転車を担いで運び上げ、、、これを何度も繰り返す。
通りすがりのトレッカーが「Crazy Japanese!」と言ってくれた。
やったね!
登りの最後の宿は標高4900m。
翌朝、いよいよ峠にアタック。
-5℃。
冷たい風が吹き荒れ、体感温度はもっと低い。
ペットボトルの水が凍らないよう、時々シェイクする。
急傾斜+低酸素。
わずかな距離でも、なかなか進まない。
トレッカーたちが次々に僕を抜いていく。
こんなところまで自転車で来るというのは、酔狂でしかない。
それでもいい。
んがーっ!!!
標高5416m、トロン・ラ!!!
ああ、生きてるって感じ。
峠を越えれば、あとはひたすら下り。
下りも、登りに劣らず苦戦を強いられる。
この超スティープ+雪と氷と石では、とても乗っていられない。
ブレーキを握る手をちょっとでもゆるめたら、落ちていく。
足を踏み外したりもしないよう、一歩一歩慎重に下る。
道路状況が良くなると、あとはスイスイ下り続けるだけ。
ポカラからトロン・ラまで8日間登り、トロン・ラから4日間下って、ポカラに戻ってきた。
計12日、一周425kmのアンナプルナサーキットサイクリング。
感無量。
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