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冷涼なる南の島の透明感:NZ南島編 1

フェリーで北島から南島へ渡り、東海岸を南下。

無数のオットセイのコロニー。

元来、ニュージーランドに生息する哺乳類はこういった海洋生物とコウモリのみ。
捕食者不在の島国。
無防備だなぁ。

人間による乱獲の時代もあり、人間が持ち込んだ哺乳類等の脅威もある。
オットセイたちは道路を車が走っていても無反応だが、自転車に乗った僕が現れると一斉に警戒モードになる。
安眠を妨害してしまってすまんね。

カイコウラ。

なんと美しい街。

ニュージーランドに入国してから、僕以外でキャンプ場でテントを張っている人をまだ見ていない。
夏季は混雑するらしい。

朝はいつも洗濯物凍結。

会う人会う人、「なんで冬にサイクリングしてるんだよ?」と聞いてくるが、いやベストシーズンでしょ。

こんなところにも。

オットセイの群れ、けっこう臭い。

走行中、ムッとケモノ臭を感じたら、そこにいる。

南島最大の街、クライストチャーチ。

2011年2月の大地震でこの街の名が記憶に残っているかと思う。
多くの建物が倒壊する甚大な被害を受け、日本人も28名犠牲になった。
ニュージーランド人にとって歴史的大震災となったその翌月に、同じ太平洋プレートの端に位置する我々も、あまりに深い傷を刻む大災害に襲われることとなった。

現在はビルも家屋も真新しいものが並んでいる。

カイコウラのキャンプ場で出会った女性宅でお世話になることに。
彼女、モーリーンも震災で家を失い、現在は市街中心の新しい家で暮らしている。

都会の一人暮らしとしては日本(東京)では考えられないほど広々とゆったりしている。
すでにリタイアして年金暮らししており、部屋もあり余っているのでいくらでも泊まっていきなさいと言ってくれた。

ごちそうもつくってくれる。

魚、野菜をふんだんに使っている。
物価高のニュージーランドではずっと粗食続きで、栄養が欠乏している身には実にありがたい。
金額を推測するのは失礼になるかもしれないが、これらの食材をスーパーで買いそろえるだけでもとんでもない額になっていると思う。

とても親しみやすい人柄の上、彼女の英語は僕の耳には聴き取りやすく、話しやすく、楽しく会話できる。

キャンピングカー仕様のハイエースで郊外の丘までドライブに連れて行ってもらった。

クライストチャーチを一望。

オーストラリア北部を旅していた時、太平洋戦争で日本軍がオーストラリアまで来て交戦したということを知って驚いたが、ニュージーランドにも日本軍が来ていたというのはここで初めて聞いた。
学校を卒業して大人になってから知る、それも現地に来て初めて知る史実というのが多すぎる。

夜。
月に一度開催されるというご近所さんの立食パーティにご一緒させてもらった。

どこの家もオシャレだし、やっぱ生活水準高いな。

左折車と干渉しない自転車レーン。

路駐車と干渉しない自転車レーン。

内陸へ。

街明かりが少なく晴天率が高いためか、天体観測に適したエリアとなっている。
「ダークスカイ保護区」なんて初めて。

標高700m、テカポ湖。

美しい湖だが多くの人でにぎわう有数の観光地、ツーリスティックが過ぎる。
旅行者の半分ぐらいが中国人。
中国からの旅行者ではなく在住者だが、やっぱ存在感強いな。

宿もキャンプ場も高すぎてとても泊まれず。
他国の観光地に比べたら格段に落ち着いてはいるものの、こういう空気になじめるはずもなく、美しい風景にも素直に浸れない。

湖畔の街から12kmほど、テカポ湖の隣にあるアレクサンドリナ湖に安いキャンプ場があるようで、そこまで逃避。

交通量激減、人気なし。

いいじゃない。

自転車旅はこうでないとね。

アレクサンドリナ湖。

これは、大当たり。

静寂。

無人のキャンプ場、NZ$10(883円)。
「Honesty Box」に現金を入れる。
アラスカやカナダにもこういう現金投入式の無人キャンプ場が数多くあった。

サイトと簡易トイレがあるのみ。
これに10ドル払うなら野宿した方がいいが、こういう地域はたいてい野宿禁止、見つかったら面倒なことになるだろう。

他に2組のキャンパーが来ていた。
僕と同じく喧騒から逃れたい人たちなのだろう。
何をするわけでもなく、ただ座って時をすごしている。

僕は日本人らしくせかせかと、炊事、水浴び、洗濯。
日が出ているうちにやるべきことをすませてしまった方がいい。

今宵は豚骨ラーメン。

ニュージーランドでは、まだ一度もパスタを買っていない。
地方の小さなスーパーでも、たいていアジアンフードのコーナーがあって助かる。

すぐ近くに川があり、水浴びして洗濯して。

そして夕刻。

夜は星空に浸る。
人工的な灯はもちろんなく、月も出ていない。
やはり南半球の星にはうっとりとさせられる。

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