イスラムとヒンドゥーが混じり合うシク教の世界
国境を越えると、そこはインドだった。
アムリトサル。
インドといえばヒンドゥー教だが、ここはシク教の本拠地。
シク教はイスラムとヒンドゥーのハイブリッド。
一神教のイスラムと多神教のヒンドゥーを融合させてしまったトリッキーな宗教。
シク教は一神教で、反カースト、禁酒、禁煙。
シク教徒はインドの人口のわずか2%だが、商才に長け、海外に進出して各地で影響力を持っている。
僕も世界各地でシク教徒に出会い、大変お世話になった。
インド以外の国でも、長いひげを生やしてターバンを巻いた人を見かけたら、それはシク教徒。
名前も、男性ならSingh、女性ならKaurと決まっているのでわかりやすい。
あたりまえのことだが、女性がふつうに街を歩いているのにはっとさせられる。
髪や肌を見せるのは悪いことでもなんでもないし、男性と会話してもいいし、バイクや自転車を運転する女性も見かける。
パキスタンではありえなかった光景。
いきなりカレーがうまい、さすが。
なんとも香ばしく、コクがあって味わい深い。
僕は辛いものがまったくダメなので、甘口のヨーグルト系を注文。
それでも僕には少々辛いのだが、インドの人にとってはこんなのはスイーツ扱いのようで、訝しげな目で見られたりする。
日本ではインドカレーといえばナンだが、本場インドではナンよりもチャパティが主流。
いつも焼きたてを出してくれて、これもたまらなくおいしい、しかもいくらでもおかわりできる。
ラッシーは冷えてて甘くて濃厚。
シク教の総本山、ゴールデンテンプル。
寝てる。
自由な人たちだなあ。
外国人は上位カーストなのだろうか。
なにかと優遇されたり、いきなり「写真撮らせて」と言われたりする。
あ、でもシク教は反カーストのはず。
無料で配給される食事。
僕がシク教徒でないのは誰の目にも明らかだが、ここは誰でもウェルカムのようだ。
メニューはもちろんカレー。
シク教寺院も世界各地にあり、誰でも入れて無料で食事ができる。
衝撃的なインドの皿洗い。
厳格な宗教もあればこんなゆるゆるなのもある。
どちらも不思議と安らかになれる。
安らかな気持ちになれたアムリトサルだが、走行開始するとまた猛烈な排気ガスと耳をつんざくクラクションに打ちひしがれる。
現在、インドの人口は13億5千万人。
中国は14億人。
2027年にインドが中国を抜いて世界一の人口大国となるとの予測。
現在の世界の総人口は75億9千万人。
世界の3人に1人は中国人かインド人ということになる。
ただし、あくまでこれは統計上の数字。
中国では一人っ子政策時代に複数生んでしまったら戸籍登録せずこっそり育てていたし、インドの統計だってわかったもんじゃない、実際はもっと多いだろう。
インドの面積は日本の8.7倍で、世界7位。
人口密度は日本よりも高い。
お隣のバングラデシュは、日本の4割ほどの面積だが、人口はロシアよりも多い。
台湾は九州ほどの面積だが、人口はオーストラリアに匹敵する。
なぜ人類はこんなにもアジアに集中するのか。
理由のひとつとして、米が挙げられる。
米は耕地面積あたりのカロリーが高く、効率的にエネルギーを摂取することができて、しかも連作障害を起こさない。
ふだん何気なく食べている米、穀物の中ではスーパー優等生のようだ。
ただ、米を育てるには大量の水が必要で、雨が多く降る米食文化のアジアで人口が増加しやすい、といわれている。
でも、インドは米よりは小麦。
発展途上国はどこも人口が増えるもので、落ち着くと減少に転じる、というのは共通の法則としてある。
にしてもここまで人が多い理由は、まだよくわからない。
自転車を停めると、すかさず群がってきて触りまくるインド人たち。
チャイ。
インドのチャイって、シナモンとかスパイスが入ってると思ってたが、けっこうふつうにミルクティー。
やっぱりチャパティ、おいしい。
田舎の方では甘口カレーはなく、辛口カレーばかりで死にそう。
インド人もやっぱりフレンドリー。
しょっちゅう囲まれる。
インド名物(?)、デコチャリ。
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