未来の朝井れいかを見抜かれた思い出の「手ぬぐい」

いま私のVoicyのプレミアムチャンネルの中で、
毎月新しいお題を提示して、
1ヶ月間取り組んだら身体や心、生活の質、
はたまた人生にどういった変化が訪れるのかについて
効果検証を行う新企画を始めています。

その今月のお題が「1日3つ物を捨てる」なんです。

それで私の目の前には今、
とても大事にしてきた思い出の品を置いています。

今日これを何気なく捨てるのではなくて、
これを得てからのエピソード、私の歴史、
これを捨てるに至った思いを話したいと思います。

皆さんの心に何かピンとくるものがあれば嬉しいです。

ではそれが何かというと、たった1枚の手ぬぐい。

かわいらしいタヌキがいっぱい載った、
なんてことはない手ぬぐいです。

これを見ただけでは、
何でこんな古ぼけたものを大切に持っているの?と
思われるかもしれません。

だからこの手ぬぐいを持っていた経緯をぜひ聞いてください。

私は22歳で結婚し、
その半年後に旦那さんが末期がんで余命2ヶ月と言われ、
26歳の時に旦那さんが亡くなります。

そしてその後、旦那の闘病時代にすごく役に立った
アロマセラピーをもっと深く勉強したいと思って、
アロマセラピーの学校に通いました。

元々アロマやハーブが好きで、
ボタニカルのお酒についても勉強できるし、
生活費も稼がなきゃいけないしというということで、
学校に並行して27歳でアルバイトバーテンダーを始めます。

そんな時に学校で講座のお知らせがあり、
私は興味があってそれに行きました。

そしたら偶然、その同じ学校から生徒さんが
1人だけいらっしゃっていました。

そこで医学講座をしてくださったサロンが、
私の技術の基礎固めをしてくれた
中国整体推拿(すいな)療法をされている
サロンだったのです。

私は講座を通して、
推拿が人の健康を考えていくのに素晴らしい療法だと実感したので、
講座を学ぶ傍らで同じ学校の女の子と
アルバイトをすることになりました。

その子が私にこの手ぬぐいをプレゼントしてくれたんです。

学校で仲が良かったわけではないし、
推拿サロンに入っても同期というだけで
友達っぽくなっていたわけではないのですが
プレゼントしてくれました。

そのときに彼女が、
「この手ぬぐいのタヌキには“他を抜く”という意味があります。
朝井さんはこのタヌキの言葉の意味の通りに、
他を抜いて、どんどん高みに登っていかれる方だと思います。
だからこの手ぬぐいを選びました」
と言ってくれたんです。

思い出すとすごくジーンときます。

推拿整体のサロンのお師匠さんは、
人に施術を施すときに手ぬぐいをいつも使っていました。

親指を垂直に立てて、
身体に深く差し込んでいく鋭い施術法なので、
そのままやると親指の爪が当たってしまいます。

でもタオルだと厚すぎるんですよね。

というわけで、薄さが絶妙な手ぬぐいを
そのサロンでは使っており、
推拿整体師としてデビューする私達も
いつも手ぬぐいを片手に施術に当たっていました。

だからその子は手ぬぐいをくれたのです。

その子からもらったとき、
「私は他を抜けると見られているのか」
という意外性もありました。

というのも私は、今でこそ独立をして、本を10冊も出し、
テレビやメディアに出させてもらったり講演会で喋ったり、
整体師としては「他を抜いた」動きになっているように思えます。

でも当時は独立する気なんてなかったですし、
推拿サロンだって29歳で時給1000円のアルバイトです。

どこに就職していたわけでもなく、フリーターみたいなものです。

私は夫を病気で亡くして誓ったことがありました。

自分が病気になったわけじゃないので
病気になった人の気持ちはわからないけども、
その周りで支える人の気持ちはわかります。

私が当時すごく困ったのは、とにかく情報が無いことと、得た情報が正しいかどうかわからないこと。20年ぐらい前の話ではありますが、「自分のように困っている方々に正確な情報を届けられる情報屋さんになりたい」と強く思ったんです。

余命2ヶ月と言われた夫が、
見よう見まねでマッサージをしたり、健康食品を食べたり、
保険の利かない治療をやってみたり。

そんなこんなで病院の治療なくして
3年半も生きながらえたわけですよ。

だから、病院以外の部分でできることって
沢山あるなと思いました。

だけどそれ以上に「病気にならない身体を保つ」、
その意識が大事だと思ったので、
私は本当の健康とは何かというのを
一生涯追求していこうと誓ったんです。

だからそれを仕事にして抜きん出て、
世の中で有名になってやるぜ!という考えが全くなかったので、
推拿サロンに一緒に入った子に
そのように見られていたっていうのがとても意外でしたし、
そうやって他を抜いて活躍してほしいという気持ちを
いただけたことが、とても嬉しかったです。

こういう他人からの受け売り、
他人からのイメージが自分の脳裏や潜在意識に
ポンと入ってそこから芽吹くことも、
人生には多々あるんじゃないかなというのが
ここで皆さんにお伝えしたいことです。

ある意味、自分で思う自分像って
意外に見えていなかったりするものです。

さっき言った通り、私は野心のかけらもなかったけれど、
他人からのイメージで自分の意識が書き換えられました。

とてもいい意味で私は影響を受けたんだなと、
今さらながら感じます。

その後、様々なことが人生で起こりましたけれども、
いつもその手ぬぐいを見て彼女が言ってくれた言葉を頭に浮かべて、
ぐっと手ぬぐいを握りしめて踏ん張ってきたなと
改めて思い出しました。

▼音声で聞きたい方はこちら

(2022年6月19日配信分)

「緩和ケア」と「産後ケア」。一見対極な存在と見られがちですが、両方を経験しそれらは近い存在であり、両方の重要性を心から訴えたい。これらの在り方捉え方の啓蒙、それらにお役に立てる活動をすることが私の将来の目標です。頂いたサポートはそのために使わせて頂きます!