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19.アイとルビーにとっての「嘘」の意味(後編)

ルビーにとっての「嘘」の意味

前回はアイにとっての「嘘」の意味について検討しました。今回はルビーにとっての「嘘」の意味、そしてアイとルビーの違いについて検討してみましょう。

ルビーも、転生する前の「天童寺さりな」として生まれた人生においては、長い期間を病院のベッドで過ごし、12歳で亡くなってしまいました。しかし、アイとルビーにとっての嘘の意味は異なるように描かれています。

当noteマガジン 18.アイとルビーにとっての「嘘」の意味(前編)より

ルビーにとっての「嘘」の意味は、天童寺さりな(以下、さりな)にとっての「嘘」 が大きく影響していることはいうまでもないでしょう。さりなは、少なくとも4歳までは十分な愛情を注がれ、育てられてきたことが描写されています。

推しの子121話より

「10年生きられる可能性は1割にも満たないと知り、母親の心は壊れてしまいました」

さりなは、母親からの愛を求め続けていましたが、両親は「目を背けたいかのように(推しの子115話より引用)」宮崎の病院にさりなを入院させ、さりなの元に訪れることも少なくなっていきました。

そんな中、さりなは母親からの愛情を向けてもらえるように「天童寺さりなという役」を演じること=本当の自分を隠して、自分の気持ちに「嘘」をつくことで、さりなとしての12歳までの人生を生き延びてきました。

推しの子115話より
推しの子115話より


「お母さんに愛してほしかった(推しの子121話より引用)」


推しの子121話より


「さりなは、毎日毎日母を待ち続けました。愛されていると信じて(推しの子121話より引用)」

「けれど終末の日、母親は彼女の元に訪れなかった(推しの子121話より引用)」

推しの子121話より

そう、さりなにとって、「嘘は愛」ではなく、「愛は嘘」だったのです。
そんな中でもさりなにとっての救いは、アイとゴロー(せんせ)がいたことでした。アイとゴローの存在は、まさに光でした。

推しの子121話

転生後のルビーは、さりなの時からの推しである、アイから愛を受けて育ちましたが、アイがファンに殺害されてしまい、宮崎ではゴローの遺体を見つけてしまい、ゴローが既にこの世にいないことを知ることとなりました。
さりな時代・ルビー時代と、まさに波乱万丈の人生といえるでしょう。

ルビーは、アイのようにアイドルとして生きることを目指し、愛をふりまくアイドルとして「嘘」を「愛」にしようと無理をしてきました。

推しの子123話より

「さりなにとっての救いは、アイとゴロー(せんせ)がいたこと」と書きましたが、
ルビーにとっての救いは、アイが嘘ではなく本当に愛してくれていたことを知ることができたこと、そしてもう亡くなっていて二度と会えないと思っていたゴローが、双子の兄のアクアとしてそばに居たこと」ではないでしょうか。

推しの子10話より
推しの子10話より

以上をまとめると、
アイにとっての「嘘」は「愛するための手段」
(アイ「アイドルになればファンを愛せると思った」、「母親になれば子供を愛せると思った」それぞれ推しの子10話より引用)

ルビー(そして前世のさりな)にとっての「嘘」は「愛されるための手段」
(ルビー(さりな)「お母さんに愛してほしかった。だけど、お母さんは私を愛しては居なかった」「だから私はママに代替を願った。そんな汚い願いを押し付けた」それぞれ推しの子121話より引用)

だったのかもしれません。

もちろん、愛することと愛されることはセットです。アイもルビーも同じく「愛すること」「愛されること」の両方を願っていたのではないかと思います。ただ、「嘘」という視点で考えた時には、このような違いとして見ることもできるのではないでしょうか。

アイは、ルビーとアクアを愛していました。”ウソ”は”本当”になりました。
そして、
ルビーは既に愛されています。ルビーはアイに愛されていました。
一番近い存在として見守ってくれる双子の兄アクアは、前世のせんせ(ゴロー)です。B小町のメンバーやスタッフ、ファンに愛されています。もう不要な嘘は要りません。 ルビーはもう自分の人生を生きればよくなりました。

推しの子123話より

「ゴローへの愛」と「アクアへの愛」が今後どうなっていくか、また有馬かなからの愛憎(友達なのに嫉妬しちゃって)がどうなっていくかは、また別のお話。

推しの子136話より

愛の反対は憎しみではなく無関心であり、愛と憎しみは表裏一体。
果たして今後、アクアやルビー、有馬かな、黒川あかね、MEMちょ達の
関係性はどのようになっていくのでしょうか。

そして、憎しみと復讐劇の行方はいかに。

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