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脳味噌探し

「まさか、先生が警察のお世話になるなんて
思ってもみませんでしたよ」
霞が紙の頬に絆創膏を貼りながら、呆れたように
話した。
「イタタタ。霞ちゃん、もっと優しく頼む」
紙が堪らず弱音を吐いた。
「なに、いってんですか。もっと痛くしちゃえ」
霞が絆創膏を思い切り剥がした。
「こっこらこらこら」
紙が顔を顰めて頬を押さえた。
「脳はな」
「ハイ」
「十パーセントしか使われていないって
説があってな」
「ああーっ、知ってます。都市伝説ですよね
それ」
「たしかに世界中の科学者たちの見解も
この学説に否定的だ」
紙がソファーから立ち上がって、カップに
コーヒーを淹れた。
「でも先生は学説を信じている」
霞が紙を指さした。
「指を差すな、指を」
紙が霞の指を払った。




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