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【エッセイ】記念日

 うすうす感づいていたが、わたしは完璧主義だったようだ。
 今思うと、小さなころはちょっとの失敗ですべてがめちゃくちゃになってしまったように感じて自分の中でかんしゃくを起こしていた。少し成長してからは、途中で辞めることが嫌で、何かを始めることを恐れ、興味のないような素振りで世間を見ていた。
 やり始めるからには放り出してはいけない。永遠の愛を誓うような覚悟で物事に臨まなければならないと信じていた。そしてほとんどの物事にはその覚悟が持てないので、やってみたいけどやらずじまい。
 そうするうちに、挑戦すること、やってみることから遠く離れ、多くの可能性がわたしの前を通り過ぎていってしまった(と思う)。
 やりたいことはやってみてもいい。やめたければやめてもいい。失敗してもいい。その全てを「是」とは言えないけど、もっと気楽に物事に向き合ってもいいのかもしれない。
 文章を書くのが好きだ。でも自分が納得できるものを書けないかもしれない。誰に見せるものでもない。それって意味ある?
 じゃあ、意味のあることって世の中にそんなにたくさんあるのかな? 意味って必要?
 趣味でエッセイを書いているという女性がいた(雑誌に載っていた)。
 そうか、趣味でいいじゃない。とわたしは思った。
 決して「趣味」を見下す発言ではない。大作でなくていい。誰の目に触れなくても、評価されなくても、完結しなくてもいい。
 やりたいからやる。それでいい。今さらながらに気づいてしまった。そして、心がすごく軽くなった。
 早速、久しぶりに書いているのがこの文章です。
 見せたいような、見せたくないような。
 読んでほしいような、ほしくないような。
 そんな嬉し恥ずかしのウキウキ感を久しぶりに感じている。
 でもやっぱり、せっかく書くからには、ひと様の目に触れる日が来るとうれしいな。
 2019年10月3日。今日から趣味は「文章を書くこと」にします。

より素敵な文章となるよう、これからも長く書いていきたいです。ぜひサポートをお願いいたします。